音楽放談 pt.2

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ナンセンスなハイセンス ―Golden Age Of Grotesque

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最近Hollywood Undeadなるヴィジュアル系バンドがアメリカで人気だそうだ。

Slipknotよろしく覆面集団で、いわゆるミクスチャー的音楽を展開しており、Limp Bizkidみたいと言って大人気だそうだ。

何を唄っているかは知らないが、ややOut of Date感も醸しつつ、まだいたのかという類いの音楽である。

ぶっちゃけSlipknotのコンセプトをそのまんま頂戴したような奴らで、どうなんだろうと思うんだけど、まあどうでもいい。

ともあれこういうタイプのアーティストというのは一定の割合で常に存在し続けるものであると言うのは面白いことである。

やはりそういうのを求める人がいるってことだろうね。

ある種の変身願望みたいなものの投影だろうか。

最近海外で日本のアニメや、それにまつわるコスプレなどの文化が流行っている背景にもそういうものがあるとかいう分析があったような。


それはともかく、そういういわうるヴィジュアル系と言って思い出すのは、やはりMarilyn Mansonであろう。

90年代、当時時代の寵児となっていたTrentの秘蔵っ子というふれこみで現れた彼らは、非常にショッッキングなヴィジュアルと、犯罪者の名を関した名前でセンセーショナルにメディアにも取り上げられた。

しかし、それだけなら単なる色物で終わるんだけど、そこはさすがトレントの目にかなった奴らで、そんな半端ものではない。

元々ジャーナリストでもあったというヴォーカル、マンソンのインテリジェンスこそが彼らの本領であった。

サウンド的にはインダストリアルとメタルとゴスと、と言った具合なので基本的には激しい訳だが、それ以上に歌詞の過激さが当時は波紋を呼んだ訳である。


彼ら(と言うよりマンソン)は、その詞の中で批判しているのはキリスト教であり、そこに盲目に従う民衆であり、アメリカという社会である。

ブラックジョークを基本としつつ、その精神はきわめてシリアス。

ただFuckと叫ぶだけの馬鹿ではない。

そうした過激なメッセージがポップなメロディに乗って、しかも非常に一目を引くヴィジュアルも相まってたびたび世間の批難の矢面に立たされることもある訳で、しばしば各種関係方面の団体ともめていたそうだ。

もっとも有名な事件と言えば、映画にもなったコロンバイン高校の銃乱射事件であろう。

たまたま犯人の子たちが彼らの音楽を好んで聴いていたり、事件を起こしたときの格好が黒いトレンチコートという、マンソンらを連想させるようなものであったため、彼らはスケープゴートに仕立て上げられたのであった。

実際にはそんな事実はなかった、なんていう話もあるが、犯人が自殺してしまったこともあり、やり場のない怒りとやるせなさの矛先が彼らに向いたのであろう。

日本でもしばしば似たような現象は起こるが、そうした大衆の無知をこそ彼は批判していたのではないかと思う。


そんなマンソンも近年はあまりぱっとしない。

切れ味でいえば「Antichrist Superstar」がピークであったと言わざるをえない。

まあ個人的に一番好きなアルバムは「Holly Wood」だけどね。

ちょっとジョークよりに走りすぎちゃった感があったと思うのですね。

で、今のところ最新作となる「Eat Me, Drink Me」は、曲ごとでは好きな曲もあるけど、アルバムとしては聴けないなあ、というのが正直なところ。

ちょっと内に向きすぎな感じがするんだよね。

ただ、このアルバムは言ってみればマンソン自身のパーソナルな問題を解決するために作られたような印象なので、次に出るアルバムはまた面白いことになるんじゃないかな、と思っている。

そんなアルバムも、今月には出ると言うことで、先行配信された音源を聴く限りにおいてはかなり大きな変化が見て取れる。

副次的な話題としては、ジョーディ=ツィギーの復帰である。

マンソン黄金時代にマンソンとともにソングライターとしても名を馳せていただけに、再び期待も集まる訳である。

NINのツアーにも参加したり、結構あっちこっちでギターを引いていたので、それほど懐かしい感はないんだけど、やっぱり楽しみな話題である。


さて、そんなマンソンであるが、今回は「Golden Age Of Grotesque」である。

このアルバムは、ぶっちゃけ重過ぎてあんまり通しては聴けない。

曲個々で聴くとかっこいい曲いっぱいのアルバムなので、友人はこれはどツボと喜んでいたが、自分はちょっと疲れちゃうな、という印象であった。

でも、このアルバムの"This Is The New Shit"は、大好きだね。

特に「Do you get it? (No!) Do you Want it? (Yeah!)」という下りがすごく好き。

明日なんて来ない、これが新しいクソッタレだ、という下りが続くんだけど、いいよ、こういう批判精神。

最近この曲のこの下りがやけに頭から放れなくて。


また、"(S)aint"という曲もいい。

曲もかっこいいし、歌詞も好きだね。

あと、"mOBSENE"はいかにも彼らしい卑猥で挑発的な曲であるし、また'Doll-Digga Buzz-Buzz Ziggety-Zag'なんかは女子プロレスラーのGAMI(知ってるか!?)が入場曲に使っていたりなど、基本はポップなのである。

そういう意味で悪いアルバムでは決してないし、いかにも彼らしい(アルバムアートも含めて)アルバムではある。

まあ、私ダークな作品が好きなんですよ。


現在ではマイケミなんかがこいつらの味を薄くしたような存在だ、なんていわれているようだが、実際は大分違うんじゃないかと思う。

でも、マンソンも曲の中で彼らをディスったりしているのは、ちょっと残念なんだけど。

ともあれ、今月でる新譜は楽しみである。


それにしても、今月は忙しい。

Maximo Parkは既にとっくに買ったが、来週にはHorrors、再来週にはマンソンが、そして月末にはCursiveも出るようだ。

毎週毎週こうも出るんじゃ、金がさすがにまずいぜ。

安月給なので。

でも、うれしい悲鳴ですね。