今年に入って新譜が続々出ており、既に時間と金銭が追いつかなくなりつつある。
Yeah Yeah Yeahs、Maximo Park、Cursive、Marilyn Manson、Eagles Of Death Metal、Horrorsなんかは順調に買っている訳であるが、まだBlack Dice、Kasabianなんかは買ってないし。
実は過去の音源とかも買っているし、友人から借りたりもしているため、余計に追いつかない。
でも、それでも新譜が出るのはうれしいし、そういうニュースは愉しみにさせてくれる。
したがって、あくまでうれしい悲鳴でしかないんだけどね。
で、今年には出るんじゃないか、と言われているが、あんまり話題にならないのがNine Black Alps。
既に3年くらいのスパンが経つし、そろそろ出る頃だと思っているのだが、ここ数年の音楽の流行と言う観点からすると、ちょっと違うと言えば違うのである。
既に2ndについては書いたのであるが、彼らのグランジを思わせるギターが印象的な音楽で、しばしばNirvanaが指摘される。
しかし、聴けば聴くほど、彼らは彼らであることがわかるし、Nirvanaを目指している訳でもない。
むしろ、彼らが影響されたというのはSonic YouthやPixiesというから、ある意味ではNirvanaと同じ影響を受け、それが表現されているため、結果的に似たところがでたという程度であろう。
根本的なメンタリティはやはり全然違うし。
彼らには破滅的な要素はない。
以前にも書いたんだけど、彼らはとにかく曲がいい。
ものすごく私にはグッドテイストなのである。
ギターのメロディも、激しいドラムも、しっかりしたベースも、そしてちょっと切ないヴォーカルも。
非常にポップだし、ダイナミックなのででかいところでも十分に響くであろうわかりやすさ。
それでも、どこか閉塞的な感覚を覚えさせるノイズが空間を支配しているようなところもあり、その空気は絶妙である。
今回は、そんな彼らの1stアルバムである。
2ndの、もう少し荒削りな感じなので、彼らの音楽的な芯がすでに確立されていたことが伺える。
曲に目を向けると、2ndよりも前向きっちゅうか、そんな感じはある。
一方で、満たされない、なんだか納得いかない、でも仕方ないのかな?みたいなフィーリングもあり、実は彼らの詞もすごく好きなの。
で、”Unsatisfied”というズバリなタイトルの曲もある訳であるが、この曲がとにかく良い。
イントロのギターメロからして最高に心をくすぐる。
「これまでやってきたこと全てにうんざりだ、満足できない」というフレーズがすごく来るのですね。
まあ彼らの感じたことと背景とかは違うのかも知れないけど、そういう感覚が私の人生には常につきまとう。
名曲である。
また、”Cosmopolitan”"Headlights"なども掛け値なしにかっこいいし、PVも最高にイカしている。
アルバム通して30分ちょっとしかなく、非常に短いが密度は最高で、もう終わり?なんて感覚は全くない。
何度でも聴きたくなるテンポの良さもあるし。
最近このアルバムが本当に好きで、よく聴いている。
冒頭の新譜たちも聞き込みたいんだけど、このアルバムを聴いているときに得られる感覚がすごく良いのである。
気持ちよくなれるのですよ。
彼らは派手さはないし、多分メディアでもそんなんに話題にはならないと思う。
次のアルバムでも、基本的な音楽性は変わらず、ただより良い曲が提供されるだけであろう。
スタイル的にはグランジの第2世代みたいな捉え方をされるかも知れないし、今のようにアルバムごとに趣向を変えるアーティストが多い中にあっては、刺激的な存在ではないかも知れない。
それでも、こういう良い曲を書けるバンドと言うのは、むしろ今は少ないのかも知れない。
純粋に曲のみを取り出したときに、ものすごく良さが光るバンドであろう。
ぜひとも聴いてみて欲しい1枚である。