音楽放談 pt.2

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Like a give a FucKKK!!! ーLouden Up Now

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ここ数年の音楽業界の流れというのは実に早い。

Arctic Monkeysは既に古典のような扱い、Klaxonsも新しい基軸を示すことが求められている風がある。

今はダンス×ロックの組み合わせが一つのメインストリームな訳であるが、その内訳ももはや多様を極めすぎている。

踊れる、というキーワードさえあればOKていう感じもするけど。

この潮流の最先端にいたのが、当時ポストロックリバイバルと言われていた一群である。

RaptureLCD Soundsystem、Faintそして!!!ら。

彼らの音楽は今に至る流れに絶大な影響を、アーティストだけでなく業界などにおいても発揮しただろう。

その大半は今でも現役だし、当然のように良い音楽を作り続けている。

Raptureについてはめっきり聞かなくなってしまったが、そろそろ新作が出ても良さそうなタイミングである。

Faintは去年出したばかりなので、また当分はツアーであろう。

客入りの寂しかった来日公演であったが、めちゃくちゃかっこ良くて最高のライヴだったので、是非また来てほしいものだ。

LCDについても、そろそろ新作の動向が聞かれても良さそうだが。

次はどんな奴をもってくるか、本当に愉しみだ。


さて、今回は!!!について。

現在3rdまで出している訳であるが、アルバムごとに飛躍的な進化を遂げまくっている変態集団である。

1stはなんと未だ未聴という有様であるが、2nd以降に観る音楽性については、ファンクが一番根っこにあるとは思うけど、いろんな要素が文字通りごっちゃ煮にされていて、なんとも言いがたい。

ただ、聞くともう踊るしかないでしょう、というのは間違いない。

彼らの音楽にはパンクというタームも用いられる。

その所以は、やはりそこにみなぎる怒り、攻撃性、ストレート性であろう。

音楽自体は決してストレートとは言いがたいが、アチチュードは極めてストレートである。

特に2ndはそれが最も顕著である。

ぐるぐる回るような音の向こうにクソッタレと吐き捨てるようなフラストレーション、ふざけるなよと睨みつける鋭い視点が見えて、その尖り具合がなるほどパンクである。


このバンドは確か6人か7人編成と言う大所帯バンドで、基本的には人力演奏である。

打ち込みもゼロではないが、音楽のボトムを支える重低音、ミニマリスティックなビート、カッティングギター、どれもこれもはっきり一音一音が聞こえて、尚かつきちんと調和している。

ヴォーカルもそれほど強く主張してくるよりは楽器の一部のような使い方で、でもちゃんと言葉は通ってくる(といっても英語なのでわかりませんがね)。

絶妙なアレンジというやつだね。

やっぱりまず重低音がしっかりしていることが、ロックには重要だよね。

グルーヴという言葉を来て一番しっくりくるのは彼らのような音楽である。


歌詞に目を向けると、1曲目でまず聴く側に突きつける。

この言葉が受け入れられないなら、この音楽で踊れないなら、話にならないからもういいよ、みたいな。

2曲目からは一気に辛辣な言葉が吹き出し始める。

「Like a give a Fuck, Like a give a Shit about the Fuck」というフレーズを終盤繰り返すのであるが、この吐き捨て方がたまらなくかっこいい。

ムカつくことがあると、このフレーズの部分だけ頭の中でぐるぐる回り始める。

前半部の一つの山場が"Hello? Is this thing on?"であろう。

歌詞の内容としては、現状に不満があるのになんのかんの言って動こうとしない奴を間接的に批判しているのかな、という感じがする。

アップテンポな曲調で、アウトロの部分が特に好き。


これ以降はより直接的な言葉でもって政治、政府などを批判する。

"Shit Scheuisse Merde"の2部作は、直訳すると「クソクソクソ」という、身もふたもないもの。

実名で政治家を批判しており、非常に過激。

続く"Me & Giuliani Down By The School Yard (True Story)"では、当時のNY市長ジュリアーニの政策に対する直接的な批判。

曲そのものはポップで明るくアップテンポで、でも音の疎密は極めて明確で、ビートはひたすら反復。

彼らはCanを非常に強くリスペクトしているので(インスト曲で"Dear Can"という曲も収録されているので)。

中盤でのそらにのぼる様な盛り上がり方がまたいい。

その後また少し落として、曲調も少し変わりながら、やっぱりミニマル。

この曲は9分に亘る大作であるが、シングルで出され、大絶賛され、彼らが単なるリバイバルバンドという認識を改めさせた作品である。

完全にオリジナルであり、もはやここにはポストパンクの音楽的リバイバルなんてものは見当たらない(事もないのだろうけど、そんなことを彼方に追いやるだけのオリジナリティを獲得している)。


最後の曲が実は個人的にはすごく好きで、ギターかな?の音とヴォーカルと電子音とピアノの曲で、シンプルというよりは、後夜祭のような曲という印象である。

歌詞がすごく好きなのである。

なんと言うか、最後まで捻くれている感じ。

情景的な曲調で、内容とも良く合っている。

良いですよ。


彼らの3rdがまた偉いことになっていた訳であるが、攻撃性とかシンプルさでいえばこちらの方が上かな、と思う。

まあ、実質はこの2枚は別次元のアルバムであると捉えた方が良いかもしれない。

いずれもそれぞれに印象が違うので、これがたったアルバム1枚経ただけか?という思いもしてしまう。

歌詞のアプローチもかなり変わっているので、余計にそう感じるのだろう。

いずれにしろ、このバンドは是非ライヴを観たい。

2年前の来日は、就活中と言っていかなかったので、今の猛烈に後悔している。

頼むから、もう一度、こないかなあ、と思う。

単純に即効性もあり、メッセージもある。

彼らはLCDとメンバーも一部シェアしているのだが、ほんと、NY界隈のバンドが今はめちゃくちゃ面白い。