音楽放談 pt.2

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原色の出所 ― The Horrors

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今年に入って幾多の新譜が出され、自分の興味のある奴は大方買ってはいるのだが、ここのところその他の部分で出費が多い為、思うように買えないものも。

そうはいってもかなり買っている方だ、とは周りによく言われることである。

Yeah Yeah Yeah's、Eagles of Death MetalMaximo ParkCursiveなどなど。

大分イメージも固まってきたので、順次これらについても書いて行けたらな、と思っている。

そんな中で、今日は一部では絶賛されつつも、今一その評価が一般化しないバンドThe Horrorsの新譜である。


1stについては「聴かずに居て損こいた!」という内容のみであったので、ちょっとだけ補足すると、この1stはかなり鋭いと言うか、尖っているというよりはもっと直接的に攻撃性を示しているような曲たちで、神経質なオルガンの音も相まって非常に粗暴で、荒々しく、仄暗い路地裏で白い歯を見せてニヤリと笑っているような不気味さを持ったアルバムであった。

その危ない雰囲気が抜群であった訳であるが、一方でこれがずっと続くということは想像しにくい部分があった。

当時の大方の見方も、一発屋的なものが多かったしね。

実際自分も飛び道具的なバンドと捉えていたので、聴かなかったのである。

それでも一部では非常に高評価を得ていたのは、彼らが本質的にロックであったからであろう。


そんな中届けられた2ndアルバムは、周囲の度肝を抜いた。

まず音楽的な変化があまりに劇的であった為である。

前回までの荒々しい雰囲気は影を潜め、もっと空間的な広がりのある音世界が展開されたからである。

それこそ引き合いに出されるのがMy Bloody Valentine的なギターノイズの轟音、リズム的にはStone Roses的なものを感じるし、全体的なムードではJoy Division的でもある。

リズムに関しては、ミニマリスティックなものが印象的である。

人の神経を逆撫でするのが面白くて仕方ない、という空気ではなく、むしろもっと訴えかけるようなヴォーカルもかなりびっくりな変化である。

1st的なエッセンスももちろんない訳ではないが、別のバンドといってもそう思えてしまうほどの変化である。


どないしたの?と思わず聴きたくなってしまうが、本人にしてみれば別段特別の変化というつもりはなく、単に自分の中にあったものを出したに過ぎなかったようだ。

これだけの変化に、メディアではこぞって評価をひっくり返した。

一方で、デビュー当時から評価していた奴はそれ観たことか、とばかりであったが。

しかし、個人的にはやはり1stの方が音楽的には好みではある。

2ndももちろん良いんだけど、ただ少し全体的に若いと言うか、もう少し深みのあるものができても良かったのではないか、という気もしている。

まあ、単に音響的な処理が個人的に好きなので、そういう部分がもう少し出せる曲だと思うし、であるからもっとやってほしかった、というだけなんだけど。

彼らがもう少しキャリアを重ねた後であれば、もっと面白いものに仕上がったのではないか、とは思うよね。


それにしても、こうしてアルバム1枚で音楽的に大きく変化するバンドには、決まって賛否両論が巻き起こる。

彼らの知名度からはそれほど大それたものは起きないけど、それでも1stの方が、という奴はいるだろう(例えば私ね)。

Linkin Parkの前作みたいなものだね。

でも、私に限っていえば、1stのほうが好きだといってとて、もし彼らが1stと同じようなものを作ってきたら、果たして歓迎したであろうか、というと、そうでもないかもしれない。

きっと気に入るし、素直にいいと評価するだろうが、結構早くに飽きてしまうんじゃないかな、とも思うのである。

それは、彼らの音楽に込められたテンションなどが、一回限りの輝きだからこそ意義のあるものであるからだろう。

繰り返さないからこそいい、というかね。

思うに、彼らの「同じことはしたくない」という強い意志があるからこそ、1stの特異性は出たんだと思うし、2ndもこうして良盤に仕上がったのではないかとも思うしね。

仮に1stが好きなら1stを聴けば良いのである。

こういう曲をもっと聴きたい、という気持ちもあるけど、でも彼らはこれで良いのである。


いずれにしても、非常に独特な出で立ちと立ち位置ながら、そんなことは構わず己の道を突き進む彼ら。

今後も実に愉しみである。

今年はまたサマソニにも出るので、ライヴも愉しみである。