彼らにとって3rdに当たる今作は、かなり大きな新機軸を打ち出したことも相まって、かなり高評価を得ている。
前作はややダークと言うか、全体的なトーンとしてはダウナーであった。
当時はメンバー間の緊張状態が極めて高かった、それにより解散の可能性もあったというから当然といえば当然か。
そんな作品を経て、各自の課外活動も経て世に出た今作は、非常に陽性な作品であると言える。
1stのようなハチャメチャさはさすがにないが、2ndのような成熟感を出しつつ、シンセと言う新基軸を持ち出し、楽しんで音楽を作っているのが伝わってくる。
1曲目でシングルにもなった"Zero"がすごく顕著だと思うが、ダンサブルさが大きな比重を占め、NW的なアプローチが耳を引く。
一方でいわゆるリバイバル的な感覚はないので、そこでは彼らの味がしっかり出ているんだと思う。
前半が比較的アッパーな曲が多いのに対し、中盤以降は曲調自体は2nd的なものが多い印象がある。
アッパーについても、1stのような感じはないのは残念な気も。
また、彼らの音楽的な個性の重要な要素の一つであったニックのギターも今作ではほとんど聴かれない。
徹底して彼はシンセを鳴らしたようだ。
それが面白くもあり、そのプロセスを本人たちも楽しんだからこそこのムードが生まれたのであろう。
しかしである。
個人的にはあまり好きな作品ではない。
バンドとしては大きな変化でも、音的には衝撃を覚えるものではないし、センスは良いし当たり前のように悪くはないのだが、良盤といった評価が妥当ではないだろうか。
まあ、音楽の専門的な話を持ち出すとすごいのかもしれんが、少なくとも自分にはそういう風にしか感じられなかった。
むしろ、その前にだしたEPの方が遥かに良かった。
聴いていて面白いと思ったのは最初だけだったの。
ガッカリはしなかったけど、ん~ま、いいよ、くらいな感じなんだよね。
なので、既にi-Podからは抜いてしまった。
悪くはない。
曲も良いと思う。
だけど、なんか物足りなさを感じてしまうんだよね。
曲でいえば1st("Maps""Y Control"は最強)、アルバムでいえば2nd(通して聴いて一番心地よい構成、長さ)、トータルではEP(単に短いからかな?)、なんかそのどこにも入り込まない感じがしてしまうのである。
なんどもいうけど、悪くはないの。
でも、個人的には「これは!!」という感じがなくて。
単に期待と違った、てだけかも知れないけどね。
多分年間アルバムの中では「新機軸でどうの」と言った具合に乗るくらいのものだとは思うけど、ちょっと物足りなかった。
までも、また少し時間を置いてから聴くと、評価は変わるかもしれないのでね。
センスは間違いなくいいよ。
・・・偉そうに言ってしまった。