音楽放談 pt.2

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街の景色と日常と -Analogfish


City of Symphony (Quiet City ver.)

先日アナログフィッシュが楽曲をリリース。

 

"City Of Symphony"という曲のリアレンジヴァージョンで、個人的に彼らの楽曲の中でもトップ3に入る大好きな曲だ。

 

アルバム『Newclear』というこれまた傑作アルバムに収録されており、アルバムのラスト飾っている。

 

リリースされたのは2011年の件の震災のすぐ後だ。

 

その時の時勢を反映するように、圧倒的な絶望感や喪失感に苛まれている一方で、本質的な温もりや人間関係のあり方が描かれていて、その世界観や価値観に私は珍しく共感しまくってしまい、以来このバンドが大好きで仕方ない有様だ。

 

東京でやるライブはほぼ全て足を運んでいるし、なんならこのブログでもここ2年くらいで一番話題にしているバンドである。

 

本当にいい曲を書くんだ。

 

 

で、今回リアレンジverのリリースされた"City Of Symphony”だが、元々はやけのはらというヒップホップアーティストの共作なので、オリジナル盤ではラップパートはやけのはらが歌っており、メンバーはコーラスや部分的な歌を担当している。

 

ちょうど最近では呂布カルマと共作した”Pinfu”と配分は近しい。やけのはらの歌っているラップパートは下岡さんが歌い、メロディーパートは健太郎さんが歌っている。

 

オリジナル盤と比べると曲調自体が全体に静かで穏やか、歌い方もとても優しい響きになっている。

 

ライブではこういうヴォーカルをとることが多かったけど、こうして改めて音源にするとやっぱり曲そのものがいいので、また違う滲み方をして素晴らしい。


アナログフィッシュ feat.やけのはら "City of Symphony" (Official Music Video)

オリジナルverがこちらだ。

 

 

私がこの曲を好きな理由の一番大きな要素はなによりそのリリックだ。

 

テーマって世界平和だと思っていて、それを目指そうと思った時にこういう人間関係の在り方がいいと思うんだよね、ということを描いていると思っている。

 

彼ら、特に下岡さんの価値観だと思うけど、彼の描く歌詞の主人公は、人の気持ちがわからないやつが多い。

 

そのことを彼は不安に思っているんだけど、しかしその周りにはそんな彼のことを愛してくれる(というよりは受け入れてくれている)人がいて、その存在を彼は全力で感謝するし、わからないけど何かしてあげたいと常に思っているのである。

 

人は他人のことはわからないという、そういう視点に立脚しているんだけど、大事なことはだからダメではなくて、それでもお互いに楽しく、幸せに過ごすためにはどうしたらいいんだろうと言うことを常に考えているような、そんな歌詞なのである。

 

そのあり方はパーソナルな恋愛関係を通して描かれることもあるんだけど、この曲はもっと大きな社会という視点で描かれている。

 

街のLayer 風のLayer
僕のLayer 君のLayer
折り重なって生まれるストーリー
続きはどこに

 全体としては淡々とした情景描写が続く中で、間に心理描写が挟まれて、そのことで現実と歌の世界が融和していくようで、だからこそ身につまされるのである。

 

何かと殺伐とすることが多いし、ハラスメントだなんだとどんどん窮屈になっていくような世の中だけど、そんな時代だからこそ、こういう歌を聞いてちょっと考えてみようよ、なんていいたくもなる。

 

別にこの曲で何も感じない人もきっといると思うし、それはそれで価値観の違いだから残念に思っても仕方のないことだと思っている。

 

それを押し付けたら同じことだからね。

 

 

ともあれ、彼らのファンの目線からすれば、こうして好きな曲のリアレンジはそれはそれでとても嬉しいサービスだ。

 

ただでさえ優しい曲が、もっと優しくなっているところに彼らの本質を見る思いだ

 

そういうバンドとしてのキャラクタも彼らの魅力の一つである。

 

 

ちなみに、このMVはファンの人からの応募映像で構成している。

 

私はそういうの苦手なので応募しなかったけど、いろんな街の景色や風景画使われている。

 

彼らの最近曲はこうして街の風景を使うことも多いのだけど、ひょっとしたらあなたの知っている景色もあるかもしれないですよ。

 

音楽も食事も仕事も政治も、全部日常の一つなのである。

 

インターネットも他ならない現実の一つなのだから、そこだけ非現実があるわけではない。

 

人と人は価値観が違うのは当たり前だし、相手のことがわかるなんてことは、残念ながらない。

 

それでもわかろうと努力することはできるし、たとえ理解できなくても、共感できなくても、そういう人もいると受け入れる努力はできるだろう。

 

それができないなら距離をおくだけだし、わざわざ闘う理由なんてないはずだ。

 

もちろん時には闘うことが必要な場面もあると思うけど、その目的が自分の正当性を示すためであってはいけないだろう。

 

人といて幸せだなと思う瞬間って、自分が受け入れられているという安心感があるときではないだろうか。

 

それが愛されているということだろうし、人を受け入れてる時は愛しているという状態なんじゃないかな、なんて思うのだ。

 

 

ま、ともあれ曲としてとても優しくて素敵な曲なので、是非一度聞いてみてね、という話である。