音楽放談 pt.2

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エモい –Velvet Teenがかっこいいという話

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好きなバンドや音楽は数多くあるが、多くの場合その理由は自分なりに説明できるものが多い。

 

個人的な癖でそうしたいという欲求があるのでそもそもそうするようにはしているのだけど、まず曲が好きというのは大前提として、じゃあもう少し具体化するとそのどんなところなのか、というところをどう掘り下げられるかという話である。

 

しかし、中にはうまくポイントを掴めないんだけど、気がつけば全部アルバムを聴いているし、何かしらの曲を途切れなく聴いているしアーティストが何組か存在する。

 

洋楽だと歌詞もダイレクトに入ってはこないのでわざわざ歌詞なり対訳なりを見ないと何を歌っているのかわからないが、それをしないにも関わらずなんか好きなのである。

 

私にとってそんな存在の一つがVelvet Teenというバンドだ。

 

デビューしてもう20年以上と既にベテランの領域にいるが、商業的に大きく売れたかといえばそうでもない。

 

1stアルバムは当時その物語性と音楽的な美しさもあり大絶賛されていたのはなんとなく記憶しているが、私はリアルタイムでは聴いていなかった。

 

考えてみたら何きっかけで聴こうと思ったのかは覚えていないが、ともあれ当時既に3rdまで出ていたと思うが、短期間で全て揃えて、またアルバム未収録曲をせっせと集めて自分で編集版を作るなど、えらい勢いで好きなバンドに上がっていった記憶である。

 

そして嬉しいことに彼らはちょいちょい来日しており、しかも地方含めたライブハウスを回ってくれるのだ。

 

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コロナ以降は流石にないが、つい数年前にもきており、日本でPV撮影もしている。

 

スタジアムバンドになれるくらいの曲の良さがありながら、変わらずロックバンド然とした佇まいがまたカッコいいのだ。

 

今年は1stリリースから20年だそうだ。

 

前作から少し間が空いているが、また是非来日してほしいバンドの一つ、またもっと多くの人にも聴いてほしいバンドなので、ざらっとおすすめ曲をまとめてみよう。

 

 

まずはバンドについて

彼らは結成が2000年、初めはエレクトロ系のソロプロジェクトとして始まり、そこからメンバーが増えてバンド形態に。

 

デビュー当時はGt/Vo、B、Drの3人組であった。

 

1stはDeath Cab Gor Cutieのプロデュースだったんですね。

 

と言って私はこのバンドは聴いたことないのだけど。

 

そこから幾分かの脱退、追加を繰り返し一時は5人編成だった気がするが、今はまた3人編成となっている。

 

曲はほとんどがボーカルのJudahによるもので、キャリアを通して音楽性自体は大きく変わっていない。

 

基本的にはロックが真ん中にあり、曲やアルバムによって打ち込み系の音も使っている。

 

それが彼らの独自色を作っている一つでもあろう。

 

また、ドラマーは確か1番新しいメンバーだが、手数も多く体もデカいので人力トランス並みに打ちながらえらいパワフルなプレイを炸裂させている。

 

数年前の来日公演で、小さなライブハウスでは収まりきらないくらいだったが、ともあれバリバリの現役である。

 

余談だが、その来日の時に観たJudahのギターはかなり年季が入っており、角は色が落ちているしテープで補強されているしで、買い替えてもええやろと思ったが、とはいえちゃんとなるんだからいいだろう。

 

そんなところにロックバンドなものを感じたものだ。

 

 

既に完成系、1st『out of the fierce parade』(2002年)

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モノクロームでちょっと不気味さもあるジャケット、烏飛んできてるし。

 

ズバリアルバムのテーマは生と死ということで、アルバムラストの曲はまさに"Death"という曲である。

 

1曲目は"A Special Gift to You"。

 

これは生まれた瞬間からそれまでと別な存在になっていくその時を描いているのかな、と思っている。

 

スペシャルギフトとは生であり、人は成長に従って野生から理性の存在になっていく。

 

なんて個別解釈してたら足らないので、とりあえず聴いてほしい曲をば。

 

まずはなんと言っても代表曲の一つであるこちら。


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イントロの激しくメタリックなギターがかっこいい。

 

その背後に骨太なベースと割とゆっくりめなテンポを刻むドラムとの対比が痺れる。

 

堰を切ったように高らかに歌うVoの素敵だ。

 

ハイトーン気味で、曲によってはRadioheadのようでもあるが、どちらかと言えばCursiveアメリカのエモ系バンドの系譜だろう。

 

最近のエモの定義は少し変わっているらしいが、今様のエモではなくてこの頃のエモね。

 

細かい話はともかく、タイトルは確か造語で、Apathyは無関心といった意味だが、頭にRadioをくっつけて現代社会についてのそれというような意味だったかと。

 

「Come, It's Time To Wake Up!」と謳われるところからも文字通り目を覚ませと呼びかける。

 

1曲目からの落差がすごい。

 

続く2曲目も名曲、“Prize Fighter"。


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イントロの銀盤も綺麗で、全体に流麗さも感じる曲だ。

 

とりあえず、聴いて。

 

ラストを飾るのは先にもかいたこちら。


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”Death“という曲だが、暗いというよりは過ぎ去った後の静寂感のようである。

 

見事なパッケージ。

 

このアルバムで当時は大注目を浴びており、次世代の中心的バンドになるだろうと期待されていたそうな。

 

いきなり方向転換、プログレ化した2nd『Elysium』(2004年)

大注目の1stからわずか2年で新作をリリース、作っているうちにそれとなくまとまりも出てきたので、これをだそうとなったという話の2ndである。

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1stから長尺の曲はあったにせよ、3分弱のポップな曲があったことで世に広まったのだが、この2ndは1曲1曲が長尺、そして組曲のようだし個別の曲というよりはアルバム全体で1曲という感じだった。


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エモ的な激情もなく、静かめな曲が続くこともあり、ここで世間の期待値を裏切る結果となった。

 

この裏切るというのは、単にポップな曲出してくれ!売れる曲作ってくれ!という期待を裏切っただけで、この作品そのもののクオリティが悪いとかいう話ではもちろんない。

 

思ったより彼らはマイペースだったのだろう。

 

確かにシングルカットしようと思うとなかなかキャッチーさがない分難しさはあるが、アルバムとしては展開もドラマチックで聞き応え抜群だ。

 

このアルバムを聴いても思うが、3ピースのバンドとは思えない。

 

それと、この当時のライブってどんな感じだったのかなと素朴に思うよな。

 

ちょうどこのアルバムに前後して、メンバーの一人が病気によりバンドを離脱してしまったそうだ。

 

しかし、それでもわずか2年後に次のアルバムをリリースしている。

 

人力トランスドラム炸裂、アグレッシブな3rd『Cum Loude!』(2006年)

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新たなドラマーを迎えての作品だが、前作と打って変わって非常にアグレッシブな曲が並んでいる。

 

打ち込みも入れているので、元々の彼らの特性も出しながら新たな境地も見せたような格好だ。

 

来日時にもラストで演奏されたが、このアルバムの代表曲の一つがこちらか。


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東京でのライブではCinema Stuffの辻さんがギターを弾いていたな。

 

ドラマーの手数が凄まじく、そこを見せるための曲かと思うくらいだが、アルバムでは録音がややくぐもって聞こえるのは気のせいか、ちょっと勿体無い気がしたものだ。

 

ただ曲は基本的にいいし、アレンジも含めてかっこいい。

 

ラストに行くに従いさらにグーっと盛り上がっていく展開も非常にいいアルバムだ。

 

ちなみにこんな曲もある。


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"Tokyoto"という曲である。

 

音が良くないな。。。

 

最高傑作、4th『All Is lllusory』(2015年)

その後バンドはパタリと沈黙、シングルなどのリリースはあったが、大きな動きはない状況がつづいていた。

 

私が彼らを聴き始めたのは確か2010年とかそれくらいだったので、ちょうど活動の間だった。

 

だからライブなんてくるはずもなく、ああもっと早く聴いておけばよかったと思っていたが、長い沈黙を経てアルバムをリリース、しかもそのアルバムがめちゃくちゃよかった。

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ややおどろおどろしいようなジャケットアートは、もはや彼らのセンスなのだろう。

 

しかし、このアルバムの1曲目からめちゃくちゃ爽やかな音で幕を開ける。

 

朝イチで聞くならこれだろ、と思わずにはいられない。

 

その音源がなかったので、先行シングルにも収録されていたこちらを。


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"No Star“という曲だが、イントロから好き。

 

ヴォーカルを聞くといくぶん落ち着いた雰囲気を纏ったような印象もあるが、あのハイトーンは健在。

 

そしてドラムもしばきまくりだ。

 

このアルバムツアーで私は初めて彼らのライブを見ることができたのだけど、彼らを招聘したのは日本のインディバンドだった。

 

その中心にいたのが先にも少し書いたCinema Stuffだ。

 

昔からアメリカのインディーシーンと日本のバンドは一定の親交があったらしく、有名なところではEastern YouthとCurisiveだ。

 

CursiveのVo、ティム・ケイシャーはオマハのSaddle Creekというレーベルでも中心的な存在だったが、彼の別バンドではイースタンの曲をカバーしている。

 

その地続き的な縁なのかはわからないが、ともあれ素晴らしいアメリカのバンドをもっとみてほしいという思いから呼び寄せて、東北も含む日本全国ツアーを実現。

 

その対バンでは、アメリカでレコード会社が同じLITEもゲスト参加していた。

 

それはともかく、こういう動きのおかげで私は彼らを見ることができたのだけど、2015年と2018年の2度実現しており、私はどっちにも行ったね。

 

よかった、曲もいいしライブもいいし、会場のノリもすっごいよかった。

 

このツアーではPVも撮影され、正式に彼らのオフィシャルとして配信されている。


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仙台の飲み屋街らしいが、なんかこういうのって嬉しいですよね。

 

そんなトピックもありながらだが、このアルバムはキャッチーな曲もありつつ、静かな曲との折り合いも含めてアルバムとしての完成度も非常に高い。

 

元々いい曲を書くバンドなので、それがいいバランスで結実したような印象だ。

 

何より変わらないロックバンド然とした佇まいに、個人的にグッときて仕方ない。

 

このご時世に、日本全国のライブハウスを、日本のインディバンドみたいに回ってくれる心意気も最高だ。

 

もっと商業的に成功してくれたら本望だ。

 

アルバム以外にも名曲満載

彼らはアルバムには正式に収録されておらず、ボートラ、Bサイド集に収録された曲もいい曲が多い。

 

シングルとしてはこれらを出してもよかったんじゃないかというくらいだ。


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"Naked Girl"という曲だが、この爽やかさよ。

 

他にもこちら。


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こちらはMagnetic Fieldsというアーティストのカバー曲らしいが、バンドにマッチしすぎだ。

 

ファルセットなヴォーカルも美しく、切なさをたたえたメロディも秀逸。

 

曲自体は彼らのオリジナルではないにせよ、素晴らしい仕上がりだ。

 

またの来日、お待ちしております

2015年以降は目立った活動状況も見えてこず、ファンとしては寂しい限りだが、SNSはたまにだが投稿があり、3/20は1stアルバムがリリースされた日だそうで、ちょうど20周年とのこと。

 

このアルバムがもう20年?というところにまず驚きつつ、自分の年齢を感じずにはいられないが、ともあれそうして一緒に年をとるバンドがいるというのはなんだか幸せだ。

 

これから彼らがここ日本も含めて大きくブレイクすることはもうないかもしれないが、それでもまた来日して、たくさんライブやってほしいな。

 

なんで彼らがこんなに好きなのかわからないと冒頭に書いたけど、根本には彼らの音楽を聴いていると、本当に音楽が好きなんだろうなということをなんとなくでも感じられるからかもしれない。

 

純粋さみたいなものが私にはとても魅力的で、自分自身が邪心に溢れているのでこういう存在自体がとても素敵だなと思うのですよ。

 

ともあれ、本当に新曲もツアーも待ってます。

 

それまではまだまだ旧作も聴き続けてますよ。


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