今の住居に引っ越してきてもう5年以上になるが、いまだに近所には未知のゾーンが多い。
基本的には住宅街なのでそもそもなにがあるというものでもないのだけど、ちょっとした飲食店や公園など、地味に私の心に刺さるスポットがあるんだなとちょくちょく発見している。
だいたい電車に乗って出かけてしまうので、それらに目配せすることもなかったが、最近はそんな何かがないかとウロウロしたり、地図を掘り下げてみたりするのがちょっと楽しい。
今日は歩いて10分くらいのところにある銭湯へ初めて行ってみた。
これについては存在していることは知っていたが、家に風呂はついているし、わざわざ行く理由もなかったんだけど、湯船に浸かりたいと思っても湯を張るのも面倒だし、それに私の個人的なムーブメントとして、これまでやっていなかったちょっとしたことをして変化をつけよう、というのがあるので、せっかくなので行ってみたわけだ。
洗い場と浴槽があるだけのシンプルなところで、石鹸なども持ち込まないといけないので本当にただのでかい風呂なんだけど、それはそれでなんだか悪くなく、ゆったりと足を伸ばして軽く汗が出る程度に使って出てきた。
今日は秋のように涼しく、夕方には雨も止んで爽やかに風が吹いていたので帰り道は湯冷しにもちょうどよかった。
またたまに行ってみよう。
さて、先日サマソニにも行ったので、そこでみたあたらしいアーティストの音源なんかも聞くようになっている。
それこそRina SawayamaとCHAIは CDも買ってきたんだけど、どちらも気に入って最近よく聴いている。
他方で、買ったけどあまり当時は聴かなかったものや、最近ご無沙汰だったなというものも改めて聴いている。
例えばSt. Vincentは元々聴いていたけど、最近はあまり聴いていなかったところ、先のサマソニのライブで感動したので改めて聴いている。
最新アルバムではないが、個人的には前作に当たる『Masseduction』が好きだったのでそちらを。
まさに今の日本にドンピシャな「政権の腐敗!」と日本語でシュプレヒコールされる曲もあり、しかしこの曲のサビ部分の歌詞が「私をオンにするものをオフにはできない」というのが実にいいなと思ったわけだ。
歌詞をちゃんと読み込むことも最近はちゃんとしていなかったのでね。
新譜もまたちゃんと聴こう。
またなんの気なしに気いてみたのがこちら。
日本でも音楽ファンにとってはある程度馴染みがあるとはいえ、そこまで人気もないというのが正直なところなのだけど、音楽の渋みとジャケットの洗練された感じが素晴らしいThe National。
本国アメリカではグラミーも獲っているので人気らしいが、そんな彼らの目下の最新作が19年にリリースの『I Am Easy To Find』。
ショートフィルムとも連動したところもあるので、日本盤のボーナスデイスクではそのフィルムスコアも収録されている。
このバンドのヴォーカルは渋いバリトンヴォイスが特徴的だが、ちょっと草臥れた感じがするので本当に渋みがすごいんだけど、このアルバムでは複数の女性ヴォーカルがゲスト参加。
曲に彩りを添えており、相互の対比が実に美しい。
今日外出のおりに改めて聴いていたんだけど、アレンジも丁寧だし、細かく目配せされている感じもあって、こんなに聴きどころ満載やったんな、とようやく気がついた思いだ。
特に好きなのがこの曲。
イントロからアウトロまで、全部好き。
メロディや本編的なところが元々すごくいいなと思って好きな曲だったけど、どちらかというと一定のテンションを保つヴォーカルに対して、ドラムなどの演奏は後半に従い激しさを増している。
そしてアウトロの効果音的なところも、今日初めて気づいたけどたまらない切なさみたいなものを感じて、なんて綺麗な曲なのかしらと感動してしまった。
20年3月に2デイズの来日がきまっていたのに、コロナでなくなってしまったのが今でも残念だ。
改めてきてくれること願っている。
つづいては、こちらはなんやかんや定期的に聴いているのだけど、やっぱりかっこいいなと毎回思うバンド。
00年代に、他のバンドに先駆けてポストパンクリバイバルで注目されたThe Faintのベストアルバムだ。
アルバムについては入手できるものは全て入手したけど、それでもなおこのベスト盤はこれはこれとして素晴らしい。
ちょっとダークなベースラインブリブリに効かせた曲自体がそもそも好きなテイストなんだけど、彼らはダンスミュージック的なマナーも心ているので、聴いていると踊りたくなってしまう。
日本ではコアな音楽ファンには支持されていたものの、あまり大きな成功を収めたとは言い難い。
しかし、このバンドは本当にもっと売れてもよかったと思うんだけどな。
全部かっこいい。
アーティストとしてはずっと聴いているけど、アルバムについてはやっぱりこれが好きだなと遡ってしまう系がこちら。
チルウェイブと呼ばれた一軍の代表格、Toro Y moiの3rdになるのかな、『Anything In Return』。
私が彼の音楽を初めて聴いたのがこのアルバムのシングル“Say That”だった。
今見ても実に不思議なPVだが、曲もどこかモヤの向こうにいる何かを掴もうとするようなイメージを勝手に持っているのだけど、いずれにせよ肩の力が全く入っていない感じ。
アルバム全体もポップさもありながらゆるさがあって、しかしなんか焦燥感みたいなものを感じるのは気のせいかもしれないけど、ともあれ彼のアルバムは全部持っているのだけど、このアルバムがアルバムとしては1番好きかなと思い、また聴き直している次第だ。
こちらもライブを見たことがないので、また是非きてほしいなと切に願っている。
と、数は多くないけどこの辺りは最近聞き直していてやっぱりいいなと思ったり、思い直したりしたわけだ。
新しいものはそれはそれとして、アップデートされたものが提示されるのでいいのは確かなんだけど、他方で色褪せないもの、名曲はやっぱり名曲だし、名盤はやっぱり名盤なのである。
世間的に売れている売れていないなんてのは大した問題じゃなくて、やっぱり私はこれが好き、と思えるものをいくつ見つけられるかが人生の彩りとなっていくのではないだろうか。
まあ、ここで挙げたものは評価もちゃんとされているものばかりだけどね。
ただ、どのバンドも日本ではそこまで人気なわけでもないし、ポップアイコン的に目立っているわけでもないので、来日はなかなかないかなと思いつつ、待ち侘びている次第である。