受動的な環境が時に新しい発見につながることがあって、それは選択的にあれこれやっているとなかなか起こらない事象だったりする。
特にネットは検索だったりレコメンドだったりと、ある程度以上自分の既存の趣味趣向に沿った情報が多く提示されるし、仮にそうでない情報があってもスルーしてしまいがちだ。
昔まだここまでネットが普及する一歩手前くらいの時に、新聞の利点として網羅性と非選択的な情報の提示みたいな話があった。
しかし今に至れば偏った視点での情報パッケージでしかないので、新聞を見るなら色々な紙面を見ないと良くないよな、と思うわけであるが、ともあれ純粋な情報メディアというよりはもはや思想を示すような側面が強いようにも感じてしまう。
それはともかく、一方的に提示される情報も役立つもので、最近そんな出会いをしたのが台湾のバンド、Elephant Gymである。
今年のフジロックに出演して大きく話題になったのだけど、私も御多分に洩れず配信で観て、聴いて、めちゃカッコええやんけ!となった口だ。
実は名前自体は知っていて、LITEと交流があるので以前配信ライブでベースの子が共演しており、そこで一応認知はしていた。
だがその時に彼らの音源を聴いたわけでもなかったので、対して気にしなかった。
そんな折にライブを観たわけだが、こんなカッコいいとは知らなんだ。
そもそも東南アジアのバンドとかもたまにフェスで出ていたから、接点は持てそうなものの結局他のステージを観ているし、私が観ていたら音楽情報メディアでも登場しないので知る機会がなかったんですよね。
それこそ韓国のヒョゴは一時話題になったので、ちょい聞いたことあるくらいだったのよ。
で、Elephant Gymである。
音楽的にはLITEと共演するだけあって、いわゆるマスロック、ポストロック系で、toeやMice Paradeなんかにも通じるところがある。
実際EPでtoeの曲もカバーしているので、こちらも交流があるのかな。
After Hourは台湾でもやってるしね。
ともあれ、とりあえず買ったのがこちらのEP。
1st EPのようだが、彼らを有名にしたきっかけが1曲目の"Finger"という曲のライブ映像だった。
彼らは3人組なんだけど、ベースとギターが兄妹で、兄がギター、妹がベース、そしてドラムはその友人とかだったと思うが、ベースの子をセンターに据えた配置でやるんだけど、この子のテクニックがすさまじい。
爪弾いたりストロークしたりタッピングしたりと、目まぐるしく曲展開に合わせて演奏法も変えながらブリブリに弾きまくる。
そこにタイトなドラムが下地支えした、流麗なギターが乗っかってなんと心地よいこと。
イントロはますロック的な細かなフレーズで始まり、ゆったりとした展開になりながらかき鳴らすようなエモい展開へと発展していくような構成で、この手の音楽のエッセンス詰め込みまくりで好きな人にはたまらないはずである。
このEPには4曲収録されており、ボーカル曲もあるのだけど、台湾なので台湾語で歌われている。
個人的に耳馴染みのある言語ではないので、その響きも新鮮ではあるんだけど、ウィスパー系なのでスッと入ってくる。
まぁ、意味とかはもちろんわかんないんだけどね。
ちなみに曲によってギターのお兄ちゃんとベースの妹ちゃんがどちらも歌う。
テクニカルな曲からエモな曲まで幅広で、曲そのものもセンスがいい。
フルアルバムはまだ1枚かな、EPを数枚出しているので、まずはそれらを聴きながら、本当は11月の来日も行きたかったがまんまとチケット即完。
この演奏は生で聴きたかったな。
彼らに限らず、図らずも最近東南アジアなんかのバンドの名前を目にする機会が多いのだけど、いずれも非常に評価も高く、実際いい曲を耳にする。
ちゃんと聴いたことはまだないけど、これからまたおりをみて聴いてみたいものだ。