生きていればどうしようもなく途方に暮れることがある。
結構頑張ったつもりなんだが結果は出ないし、どう考えても不運でしかないようなことでひっくり返ったり、理不尽に叩きのめされたり。
40手前になっても凹むものは凹むし、しんどいものはしんどい。
自分の素力不足だってあるのはわかっているけど、そうは言っても途方に暮れてしまうことだってあるものである。
アフリカで子供が死んだとか、戦争でもっと大変な国があるとか、宇宙は広いとか、そういう話じゃないんだよ。
それと比べればと言われても、しんどいものはしんどいのである。
私はそうやって訳のわからない前向きを無理やり強要する言説が大嫌いで、しんどいものはしんどいのだ。
それは相対的なものじゃなくて、自分の中では絶対なのだから、何の慰めにもならないことにそろそろ気づいて欲しいところだ。
さて、そんなわけで途方に暮れたようなとき、どうしたもんかねぇと思わず空を見上げるしかないようなときに個人的につい頭をよぎるような曲をいくつかピックアップ。
どうしようもないことってあるからね。
The Streets "It Was Supposed To Be So Easy"
まずはUKのリリックを変えたThe Streetsの2ndの1曲目に収録された"It Was Supposed To Be So Easy"。
歌詞の内容は、レンタルビデオを返しに行ったのに中身を家に忘れたとか、水たまりの水を車に引っ掛けられたとか、ATMの行列でアホみたいに待たされた挙句金が口座になかったとか、そんなトホホな出来事が続いた挙句「こんなはずじゃなかったのに」と思わず呟くようなものである。
いっそ何もせず一日中寝てた方がよかったじゃないか、というね。
なんだか知らないがタイミングが合わなくて全部うまくいかない日ってたまにあるよね。
私も、以前体調が悪くて近所の病院に行ったら、その日に限って臨時休業。
別のところへ行ったら予約の受付終了、ドラッグストアへ行ったら欲しい薬は在庫切れ、なんていう本当にまじかよ・・・と思うことが割と最近あった。
仕事でも何でもそうだけど、ちょっとのタイミングで大なり小なり思うような流れにならないことなんてザラだし、それは努力とか頑張りとかそんなものとは別の次元で発生する。
こんなものはどうしようもないし、普通だったら気にかけるまでもない出来事で終わるはずなのにな、なんて思わず空を見上げてしまう。
そんなときに頭に流れて仕方ない1曲だ。
ゆらゆら帝国"でっかいクエスチョンマーク"
この曲については歌詞の部分的なところでささってくることが多いが、理不尽とかモヤモヤとかが頭の中でぐるぐるしているときに、まさに歌詞の通り「寝れないぜ今夜、目が冴えて」なんて状態になる。
あれって俺が悪いのか?いや悪くないだろ!でも何で俺のせいになっているの?
そんな懊悩に駆られているときに巨大なクエスチョンマークとともにこの曲が流れてくるのだ。
あぶらだこ"象の背"
ちょっと精神的にぐったり具合が進行したときにはあぶらだこの"象の背"だ。
「なぜ生きているのかわからなくて1人で外に出てみる」から始まるなかなかの曲だ。
挙句「象の上の乗って君らを踏み潰してやりたい」である。
でも、本当にそんな気分になることってあるのよね。
別に誰でもよかった・・・なんていうのは通り魔の理屈だが、必ずしも特定の誰かが憎いわけじゃなくて、ただ漠然と全てが憎いと思ってしまう瞬間も、人にはあると思うんですよね。
その感情を無理に否定するよりは、できるだけ受け止めながら本当に爆発しないようにすることが大事であるよ。
Analogfish "Weddnesday"
続いてはアナログフィッシュの"Wednesday"。
ちょっと毛色は違うけど、都会の中での孤独感を歌ったような曲である。
「この街の中で僕を知る人は、君以外いないのに」という一節が非常に印象的である。
曲としては失恋のあと、不意に1人を痛感した主人公の、それまでと変わってしまった日常にようやく気がついてしまった時の物悲しさを表現している。
私は地方から出てきた組なのだけど、そうすると昔からの人間関係なんてないし、こちらに出てきてからできた友人ももちろんいるし、むしろこちらの方が今は多いけど、でも住んでいるところは離れているし、別にいつも会うわけでもない。
身近な人がいな区なってしまったことにふと気づいて、その気持ちを一生懸命振り払おうとする心情の描写が秀逸な1曲だ。
途方に暮れるのは、何も強烈な感情に振られたときばかりではなくて、なんかふと訪れるものでもあるのよね。
髭"Acoustic"
続いては髭の”Acoustic"。
しばらく落ち込んだり悩んだりしているうちに、だんだん怒りとか腹立たしさみたいな強い感情が強化されてくることがある。
それでもなお前向きな方向に向かう人もあるもので、そんな心情を歌ったように思う。
「やんなっちゃうんだよ〜」なんて歌われるが、私も時々どうしようもないことに巻き込まれたときには、部屋の中で1人で「やんなっちゃう!」と叫んでいる。
客観的に見て心配にもなるが、そうでもしないと本当に死にたくなってくるのだ。
私にだって言いたいことはあるし、文句だってあるさ。
でもそれを堪えて前向きに解決しようとしているこのメッセージが届くのか!?
届かないんだよな、だからやんなっちゃう。
筋肉少女帯"元祖高木ブー伝説"
その果てにたどり着くのはもはやキレるしかない。
筋肉少女帯の”元祖高木ブー伝説”は、どちらかというと自分の不甲斐なさ、無力さの果てに暴れ散らすような曲だが、兎にも角にもそうする以外に自分の精神的な平衡を保てないのよね。
歌詞自体は恋愛の場面を謳っているが、後でうだうだ言っても結局その場で何もできなかったのは私自身で、そうなるともうどこにぶつければいいのやら・・・。
そんなふうに思ってしまう人は精神衛生的に自分を追い込みがちなので、本当にたまには他責に他責を重ねて自分は酒を飲んでさっさと寝るくらいでいいと思う。
8otto"Rolling"
最後はこちら、日本が誇るべきロックンロールバンド8ottoの”Rolling”。
この曲にこそ社会人だからこそわかるであろう苦難がギュッと詰まっている。
「働いて、ぐらついて、逃げたいって、星を見る」
よくあるよね。
でも、それでもやっていくしかないのが人生である。
歳をとってよかったと思うことの一つが、そういういい意味でのあきらめみたいなものができるようになったことだろうか。
諦めにも前向きと後ろ向きがあると思っているけど、この曲は前者だと思っていて、なんだかんだ言って認めてくれる人が1人でもいることで頑張れる、みたいな感じなんだけど、存外そういうものである。
いろんな価値観があるし、暮らし方もあるから別に否定はしないけど、でも多くの人にとってはそれが生きることになっているところもある。
大体80年もある中で、何もせずに浪費だけしている時間なんて私には退屈だ。
大変だし、やりたくねぇなって思うこともたくさんある。
でも、幸い同僚はいいやつばっか、友達もいいやつばっか、苦労はあるけど頑張るための材料をくれる人はいるのである。
残念ながら恋人も嫁もいないが、それでも生きていける糧はまだ私の中にはあるしね。
まあ、いつ尽きるかわからないが、それはそのときに考えよう。
いずれにせよ、人生なんて基本的には理不尽だし、世の中の大半は自分の思い通りにならない。
なんなら自分自身ですら思うようには動いてくれない。
そんな現実に徒歩にくれることの方が多いけど、だからこそ気にしてもしょうがないじゃん、みたいな考え方もある。
私はどうしても悩んでしまうし、頭の中がぐるぐるするとあらゆるものに手がつかず、結果いっときは自律神経を病んだわけだし、今もまだそれはがっつりと爪痕を残している。
そんなことにいつまでも時間使っているなら酒でも飲んで、素敵な音楽を聴いて、こうやってたまに好き勝手喚き散らして、それとなく楽しく生きていけるうちは生きていればいいや、と思う次第だ。
無理やりげ元気になるよりはよほど元気が出ると思うので、ぜひ聴いてみて欲しい曲たちである。