
私もいい年になってくると、好きなバンドも一度解散して再結成、それ以降は元気に活動をしているというケースもますます増えてくる。
例えば筋肉少女帯、私がオーケンに触れるようになった中学生くらいの頃はすでに脱退して特撮を始めていたが、その後仲直りして今では全国ツアーをずっとやって、若いファン層も獲得しながら楽しそうにみんなやっている。
継続的ではなかったが、Moon Childもスポットで再結成して2回ほどライブをやった。
LUNA SEAも私が出会ったのは各自ソロに精を出している頃で、その時は休止期間だったみたいだがそこからしばらく活動して一度解散、今は再結成して以前にも増して高い音楽性でパワフルだ。
メンバーの健康は幾分不安だが、とにかく元気に駆け抜けてほしい。
日本だけでなく海外勢も似たようなことが多く、最近ではSmashing Pumpkinsはようやくオリジナルに限りなく近いメンバーで再来日。
バンド自体は実質解散した期間はなかったようなものだが、ほぼビリーのソロプロジェクト状態だったので、ファンにとっては再結成みたいなものだ。
また今月来日を果たすOasisも、兄弟がようやく仲直りして世界ツアーも回っている。
残念ながらチケットは取れなかったので、今後もう見る機会はないかもしれないが。
他にもRage Againt The Machineなんかは再結成してもVoザックが乗り気じゃないのか、結局バンドメンバーは定期的にVoを変えながら活動していたな。
世の中を見渡せば他にもそんな例はたくさんあって、その目的はSex PistolsやNumber Girlみたいに金と明確にいうこともあるし、果たせなかった青春の忘れ物を取りにいくようなこともあるし、純粋に今ならもっと面白いことできそうという音楽的な探究心もあるだろう。
理由はともあれファンにしてみれば嬉しいことである。
そんな中で、再結成とは違うが拠ない理由で解散、活動休止した場合などは、実質同じメンバーで違うバンドとして動き出すこともある。
有名な例ではやはりJoy Division→New Orderだろう。
Vo .イアンの自殺により、メンバーは実質ほぼ変えずにバンド名を変えてリスタート、結果世界的に大成功を収めたわけだ。
日本ではフジファブリックはバンド名もそのままに、別のメンバーがVoを取る形でその後も活動、先日休止してしまったが、こちらも着実に成功している。
フロントマンと言われるように、Voはファンにとってもバンドのキャラクタ上では極めて大きい影響を持つので、やっぱりバンドにとって大事なことなのである。
それがあまり影響ないのはKing Crimsonくらい、てことはないけど、稀有ではあるだろう。
そんなあり方をしているバンドの一つが、The Spellboundだろう。
Boom Boom Satellitesの中野さんとThe Novembersの小林くんを中心としたバンドだ。
BBSが、Voであり相方だった川島さんが脳腫瘍のため亡くなってしまったことで、当時活動終了という形で幕をおろしたわけだが、当時の中野さんのインタビューがあったけど、読んでいると胸がギュッとなるような、なんとも切ない内容だったのは今でもすごく覚えている。
それでも最後の最後までレコディーングしており、川島さんのミュージシャンとしての足跡を残せたことが相方としての中野さんのせめてもの手向だったのだろうなと勝手に思っている。
その後しばらくは表に出ることなく、プロデュースなどをやっていたようだが、ある日新たな音楽活動をすることを表明、SNSでパートナーを募ったわけだが、そこに応募したのが小林くんだった。
彼もBBSのファンで、大きな影響を受けていた1人だったわけだが、思い切ってSNSから応募したそうだ。
どのようなプロセスがあったか詳しくはわからないが、結果小林くんに決定。
始動後しばらくはなかなかまとまらず、手探り状態が続いたそうだが、徐々に形になっていきアルバムもリリース、ライブも初めてバンドとして本格的に活動するようになってからは、精力的に活動している。
音楽的には中野さん印のBBSにも通じるダンス的なデジロックだが、歌詞は小林くんが作詞しているので基本的には日本語、メロディもノベンバっぽさも感じるためThe Spellboundの曲になっている。
バンドメンバーも、Dr .福田洋子さんは引き続き叩いているが、加えてYeyalの大井くんも加わってダブルドラム編成、女性コーラスも曲によって入れており、より肉体性を強めたような格好だ。
ライブのクオリティは初期から流石のものだったが、今はよりバンドとしてのまとまりがありすごいライブをかましまくっている。
すでに2ndまでフルパッケージのアルバムをリリースしており、そのクオリティも流石である。
で、活動初期からではあるが、ライブではBBS、ノベンバ双方の曲をカバーでやるようになる。
これは当初は曲数もそれほど多くなかったこともあるだろうし、単純にちょっとやってみようみたいなノリだったかもしれない。
ただ、これが思わぬ方向に繋がっていく。
私も含め、多分多くのファンにとっても驚きだったのが、小林くんの声質や歌いからが川島さんのそれを彷彿とさせる響きだったのだ。
もちろん寄せているところはあるけど、そもそもの声質が似ているし、歌い方を寄せているのも純粋にファンなんだなというのが伝わるもので、再現度とリスペクト、その両方が共存していたわけだ。
徐々にカバー曲パートはBBSの曲が増えていくことになり、ついにはBBSのみの曲でライブをする企画ライブも開始、今年のソニマニや直近のワンマンでもBBSの曲のみで構成しており、いずれも大盛況で迎えられている。
この一連を見ていてふと感じたのが、バンドという枠組みというかコンセプトというか、バンドであるからこそやりたいと感じる表現があるのだろうということ。
冒頭にあげたバンドたちも、しばしば「あのメンバーでやりたいから」という発言もあるし、「この音楽でやるならこのバンドだ」みたいな区別というか、そういうものがあるんだろうなと。
多くのバンドは特定メンバーが大半の作曲をやっており、その中心人物の振る舞いいかんでバンド自体のあり方は影響される。
極論その人次第で、やりたい曲はできるし表現の探究もできるだろう。
Oasisのノエルのソロなんてまさにそんな活動だっただろう。
でも、彼が再結成を選んだ理由は、金銭的な問題もあるかもしれないが、やっぱりリアムの声でこの曲歌わせたら最高だろうな、みたいな思いはあっただろう。
まあ、新曲はやっていないけど。
それはともかく、中野さんにしてみても、自分たちの意思ではない形でBBSが終わりを迎えてしまったのは無念でしかなかっただろう。
長らくの沈黙期間はその表れだと思うし、ようやく自分の中で切り替えができ始めたことでスタートしたバンドだろうし。
ところが、新しく迎えたVoがあまりに川島さんを彷彿とさせてくれるし、The Spellboundとしてやってきたことを、BBSにフィードバックしたらどうなるだろうみたいな興味が出てきてしまったのだろう。
やってみたらいちいちハマるし、みんなのリアクションをみても好意的だ。
そんな状況になったら、やっぱり試してみたくなるよね。
あの時やりきれなかったことを音楽的にチャレンジできて、完全に新しく生まれるBBSとしての音楽はもうないけど、川島さんの残してくれたエッセンスを拡張したりアレンジして表現することはできるようになったから、そりゃ気持ちは動いちゃうよね。
見方によっては懐古的に映ることもあるかもしれないけど、そうではないあり方になっているのがみているこちらとしても、音楽的な面白さげ盛り上がる以上にグッとくるものがあるのだ。
来年は川島さんが亡くなってもう十周忌になるようだけど、命日にワンマンをやることがすでに発表されている。
こういう追悼の仕方はグッとくるのよ。
私はBBSも好きだけど、The Spellboundの曲も好きなので、素直にスペルバの曲のライブもみたいけど、それはそれでみられる機会はあるし、その中でこうしたBBSアナザーサイドみたいなライブもいいですよね。
人が生きる理由は、詰まるところ自分の幸せの追求だし、それが1人で完結するのかいろんな人を巻き込むのか、あり方は様々だから好きにやればいいわけで、いずれにせよやりたいことがあって、それを形にする才能があって、それを表現する仲間がいて、それを楽しんでくれるファンがいる。
やる理由しかないよね。
トップ画像は公式から拝借したモノだが、いい写真だよね。
こういう写真を撮る写真家もやっぱりプロだよな、なんて偉そうに思うけど、ともあれ様々な才能が混ざり合って立体的な表現なんかになっていくわけだから、こういうものは見ていて面白い。
何より楽しんでいる人を見るのって楽しいから、せめて楽しむだけ楽しんで、世の中に発信し続けて欲しいね。
それをファンは勝手に楽しんでいるから、そんな関係は続くと幸せだよなと思う。