
先日Lillies And Remains の単独があった。
4月にはSynchronicityでclub asiaステージのトリを務めた訳だが、それから1ヶ月のスパンだ。
なんやかんやもうじき活動暦20年くらいになるそうだ。
私が彼らを聴くようになったのは『Transpersonal』と『Romanticism』の間辺りからなので、ぼちぼち10年以上経つ。
ファンにはご存知のことであるが、彼らは極めてマイペースなのでアルバムを出しては少しだけライブをやってしばらく沈黙、という具合である。
なので、ちょうど聴くようになった頃にアルバムがリリースされたのでライブも観られたのは今もこうして聴き続ける理由にもなったろう。
尤も、音楽的にドツボすぎるので遅かれ早かれだったろうが。
そんなわけで、このスパンでライブがあるのはなかなか驚きなのだが何はともあれありがたいことである。
今の所東京でライブがあれば全て足を運んでいて、セットリストについてもそこまで変わるわけでもない。
またギター以外はサポートを入れており、特にドラムは割とタイミングごとに違う人が叩いていることもありある程度ツアーだったり都度で曲が絞られてしまうのは仕方ないんだけどね。
それでも尚つい足を運んでしまうのは何故か、私は何故こんなに彼らの音楽が好きなのか、改めて自省を含めて考えてみよう。
まずは何より曲が好き
まずは何よりこれである。
このバンドに出会ってからというもの、私のプレイリストから彼らが外れていたことがない。
そんなバンドは彼ら以外ではAnalogfishとBroken Social Sceneくらいだ。
音楽性はポストパンクと呼ばれるものに大きな影響を受けている、ていうかポストパンクだ。
80sのUKのインディバンドたちを総称して呼ばれるもので、中身を見ればかなり多様で、New Waveと併記されることもある。
元々は音楽性というよりは時代感やスタンスを表現するような言葉ではないかと思うが、象徴的なバンドとしてはJoy DivisionやPIL、BauhousやEcho and the Bunnymenといったシンセ、ノイズを散らしたダークでクールな印象のバンドだろう。
そこにDepech Modeのようなシンセポップから徐々にゴス的な方向に行ったバンド、Gang of Fourのようにギターをたたせたバンドもあり、多様だ。
ちなみにThe Smithも私が当時読んだ雑誌がそういう見方だったためか、ポストパンクと括られていたな。
他にもXTCとかもそんな評があったが、少し様子が違うのでは?とのちに聞くようになって思ったものだ。
それはともかく、80sのその辺りのバンドを現代的にアップデートしているような音楽をやっており、非常に洗練されている中に耽美的でキザな雰囲気もあってとてもいいのだ。
私がブッ刺されたのはこの曲だ。
この曲は後追いで聴いたけど、イントロとサビ前のギターリフがめちゃくちゃ好きすぎる1曲だ。
以前はライブでも定番曲だったが、最近あまりやってくれないのが残念だ。
今に至るもバンドの核はこのツインギターだったりするので、そうしたバンドの性格も感じられる代表的な曲の一つだろう。
ちなみにあんまり映っていないけど、この時のベースは元PlasticzoomsのShoさんなんですね。
世間的に大きく評価をあげたのは2ndアルバムだったようだが、私も最初に聴いたのはこのアルバムだったが、1曲目からそのアグレッシブなギターがカッコ良過ぎた。
このアルバムはアルバムとしての完成度は随一である。
仏教的な概念をコンセプトにしているが、別に宗教的な感じでもないし、ただひたすらクールでかっこいい。
ラストの”TRANS”はさながら解脱だろうか。
そして私がリルタイムで聴き始めたのは3rdアルバムで、元Soft Balletの藤井麻輝がプロデュースということで、彼自身が音楽業界から少し距離をおいていたような時期だったこともあり一部で大きな話題になっていた。
ちなみに私が彼らを知ったきっかけはBo Ningenというバンドだったりする。
当時彼らにどハマりしており、ライブには必ず足を運び、音楽性が似ていると言われているバンドを掘り下げていたのだけど、その時に出会ったのがThe NovembersだったりPlasticzoomsだったりするのだけど、その文脈で世界的なバンドというバンドの唯一の音源を買って割とよく聴いていた。
そのバンドのある口コミでリリースの名前が出ていたのだ。
一体どんなだ?と興味を持って買ったのが当時最新作だったこのアルバムだった。
確かにカッコよかった、しかもめちゃくちゃ。
だが、当時はすでに一段落着いていてライブもしておらず、ほぼ休止状態だったのだ。
そこに刺して新譜の報が出たので素直に嬉しかったよね。
このアルバムあたりからシンセを前面に押し出す曲も増えてた印象だ。
アルバムタイトル通りBODYミュージックと呼ばれたものを意識しており、よりダンスサイドのポストパンクといった感じだ。
タイトルトラックにもなっているこちらはここ数年ライブラストを飾ることも多い曲となっている。
ギターもシンセもそれぞれが主張するところもありめちゃくちゃかっこいい。
また、私個人はこの頃から如実に感じるようになったのが、実はベースラインもめちゃククちゃかっこいいということだ。
彼らの音楽は80s的ポストパンクをベースにしているとはいうが、それこそJoy Divisionのような暗鬱とした空気は全くない。
実は根っこは明るいと思っていて、その印象を後押ししている一つは時にアグレッシブに、時に跳ねまくるベースラインだと思っている。
それを特に感じたのはズバリライブで、当時からすでに正規メンバーはKENTとKazuyaの2人で、他のパートはサポートを入れていたんだけど、ベースはこの頃からすでにThe Novembersの高松さんがサポートしており、多くの音源でも弾いているのでほぼメンバーだと思っている。
そうした音楽的な核は変わらずありつつも、よりシンセを主体にしたポップな曲も。
ライブではKENTがハンドマイクで歌うのだけど、少しセンチメンタルなメロディも素晴らしい。
歌詞に連動するように夕方から夜に移行するような瞬間を音楽でも表現している。
感想部分でベースだけになるところがあるのでわかりやすいと思うけど、切ないメロディとそれを後押しするシンセの後ろでベースは割と明るいメロディに感じるのだ。
また、ドラムもドカドカした感じではなく繊細なフレーズが多いのだけど、このアルバムあたりから存在感もましているように感じている。
ライブでも当時はThe Collectorsの阿部さんが叩いていたんだけど、どっしりした感じもあってカッコよかったのよね。
この頃にライブDVDもリリースしている。
それから9年も沈黙して、23年に待望のアルバムをリリース。
これがまた最高傑作だった。
かつてなくわかりやすいポジティビティに溢れており、ポストパンクというジャンルファン出なくても素直に勧められるアルバムに仕上がっている。
タイトルトラックもMVも撮影されており、シンプルなバンド映像と曲のコンセプトを表現するように演技パートもあり、全体的に最高である。
イントロから歌に入るところのKazuyaのギターブレイクのところがなんかすっごい好きなんよ。
これまでもハズレ曲のないバンドなんだけど、このアルバムは特に充実していると思っているが、その中でもすっごい好きなのがこの曲。
アルバムに先立つこと数年前にすでにデジタルリリースされており、リリパライブのやっていたんだけど、正直シングル当時はそこまでピンときているわけではなかったんだけど、アルバムのリリース後に改めて聴いた時にやけに入り込んできて、以来大好きな曲だし、なんなら聴いているとちょっと泣きそうになる。
ライブサポートメンバーも、ベースは変わらず高松さん、シンセは益久さんでほぼ変わらないが、ドラムだけは流動的な状態だった。
それが、昨年くらいからSyrup 16gの中畑さんという人が叩いているのだけど、これがめちゃくちゃハマっている。
あまり上手く表現できないのが口惜しいのだけど、ニュアンスというか、私が感じるこの曲のフィーリングをまさに表現していると感じたのだが、それを強烈に思ったのがまさにこの曲だったのよね。
力強く叩くタイプではないが、音の余韻だったり強度だったり、その繊細さがものすごく見事に表現されているように感じたのだ。
これまでのサポートの人もそれぞれに特徴があったから全然よかったのだけど、リリーズの世界観的な意味では今が完成系ではないかと勝手に思っている。
アルバム後にシングルもリリースされており、その音源ではこのライブメンバーで録音もされている。
クールなポストパンクな1曲だ。
KENTがIan Curtisのように踊っている。
こういうミニマルな感じの曲って個人的に好きなんですよね。
なお、シングルリリースのみだがこの曲も大好き。
マシンガンのようなギターリフのかっこよさよ。
昨年はシンセメインのセトリとロックな曲メインのセトリでコンセプトをわけた2daysライブがあったが、そういう試みもぜひまたやってほしいよね。
いうても色の強い曲だし、シンガロングな音楽ではないのでピンとこない人はピンとこないだろうけど、少なくともポストパンクという言葉にひかれる人であれば刺さるところは必ずあるだろう。
ライブがかっこいい、とりあえずかっこいい
曲だけで大分ながなが書いてしまったが、音源がいいだけでなくライブもちゃんとかっこいい。
年齢的には私と同世代なのでみんな40代だ。
しかし、流石にシュッとしているし、衣装もちゃんとステージ用にやっている。
そしてみんな背が高いので見栄えもする。
音楽的なクールな感じだが、ライブだとぐんぐんに主張してくる。
かといって変な煽りとかはしないし、たまに申し訳程度に手拍子を促すくらいだ。
KENTはサングラスに革ジャンスタイルであることが多いが、最近はスーツにネクタイで黒縁メガネファッションになっている。
ギターのKazuyaは夏場はスケスケのノースリーブ衣装を着ている。
変わらぬ王子様ルックなので女性ファンも多い。
ベースの高松さんはライブ中はほぼ髪で顔が見えないが、音はめちゃくちゃ跳ねており、それに連動するように割と激しく体を揺らして弦を弾いている。
ノベンバ同様、基本的に真っ黒だ。
シンセの益久さんはとにかくおしゃれ、毎回独自にスタイリングしており明らかにセンスがいい。
明らかにおしゃれだが1人だけうくわけでもないあたりが彼のセンスの良さと感じている。
あまり激しく動くよりは、むしろ人形のように止まっている場面も多いが、シンセ鳴らして同期させて、時に鍵盤も弾いてパーカッションも叩いてと、かなりマルチに動き回っている。
そしてSNSではかなり人懐っこいのがライブとのギャップである。
フロアからだと機材にも隠れているのであまりわからなかったけど、先日のWWWのライブでその動きがよく見えて、密かに感動していた。
ラストは現ドラムの中畑さん、センター分けのサラサラヘアーだが、時折バンドメンバーと顔を合わせながら笑顔を振り撒くイケおじである。
先にも書いたけどとにかく繊細な音が美しく、他方で激しい曲でバンと力強く叩く曲もバッチリ決まっていて、本当にリリーズの曲にハマりまくっていると思っている。
職人的な佇まいもクールだ。
アイドルバンドではないのであまり見た目のことばかり言ってもなんだけど、やっぱりかっこいいことは大事である。
別に顔面が整っているとかいうだけでなくて、ファッションも含めてそこに美学が宿るからね。
普段着でフラッと出てきて演奏するというのもそれはそれでかっこよさはあるけど、こういうちゃんとステージ衣装も含めてこだわっているバンド、アーティストはやっぱり私は好きですね。
私の好きなアーティストはこうした美学を持ったバンドが多いように思う。
見た目こんななのに音がかっこいいというギャップも一つの見せ方だが、見た目も音楽もかっこいいなら、それにシクはないだろう。
なんか見た目のことばかり書いてしまったが、演奏についてもかなりレベル高いと思っている。
年数回しかライブやらない、サポートが大半という状況だと、単に音源を再現していればいいや、となっても仕方ないくらいだと思うが音源とライブでは違うし、変にミスっているところも見たことがない。
MCではかなり気の抜けた関西人バリバリのKENTだが、ギター引けばかっこいいし、歌えばクールだ。
あとは余談だが、ファン層が落ち着いている。
変な奇声を上げる人もいないし、おそらくフジマキ経由で入ってきたと思われるバンギャ風味のお姉さん方も散見されるが、みんな自分の世界で楽しんでいる感じなので、本当に民度が高い。
最近ライブ現場でのファンの振る舞いがあちこちで問題なっているが、このバンドについてはそれは全くなくて、純粋に彼らの音楽が好きな人たちが集まっている感じで最高である。
変なノイズがなく、素直にその世界の中に入り込めるライブをやってくれるので、毎回ライブの感想が「今日もカッコよかった」になりがちだが、それも一つの完成されたエンタメである。
まとめ
詰まるところ音楽エンタメではいい曲書いて最高のライブをやる、というこの2点に尽きるのではないだろうか。
私は音楽批評家でもないただのファンなので、聴いていて気持ちよくなれればそれでいいし、ライブで楽しかったら最高だ。
音楽的な新しさだ歴史的な意義だと、そうしたことを語る楽しさはもちろんあるし私も好きだけど、歴史的名盤とされるものが私にとっての人生の名盤であるわけではないし、革新性のあるものにしか感動がないわけではない。
詰まるところどうしようもなく自分に刺さってくるものが全てで、Lillies and Remainsは私にってはそういうバンドの一つである。
大体長々と書いているが、結局一言で言えば「かっこいいから」なんだよな。
頭でっかちに語ることよりも、直感的にどう感じたかで楽しめる方が本質だと私は思っている。
いずれにせよ、今年は色々活動もありそうなので、機会があればぜひ一度は聴いて見てほしいバンドである。