最近は本当にバンドの世代交代というか、そうした流れが非常に速い。
それこそ、2000年代の代表といわれるStrokesやLibertinesなんかは、もはや古典と化してしまっている。
当のStrokesは各自のソロ活動に忙しいらしく、バンドとしてはまだ休止中のようだし、またLibertinesにいたっては言わずもがな。
かつて彼らとともに御三家なんてセンスのない感じで括られていたのが、Musicで、彼らは今年新譜も出し、また新たなモードになっている感じで、非常現役感が強い。
というより、彼らはまだ古典化していないように思う。
理由としては、フォロワ―と呼びうるような後続のバンドがいないからであろう。
それだけオリジナルということでもある。
もちろんストロークスやリバがオリジナルじゃない、という話じゃないよ。
それはともかく、今度の来日も楽しみである。
で、彼らとは少し距離を置いてはいるが、ほぼ同時期に出てきて、やはり業界的には非常に注目されているのが、リバプールの雄、The Coralである。
自分は本格的に音楽に目覚めたのは非常に遅かったので、このCoralをはじめて聴いたのは、実は3rdからであった。
当時雑誌を見ていると、やたらアーティスト人気が高く、雑誌でも評判であったので、どんなものかしら、というわけで聴いたんだけど、かっこよかった。
そこから過去の作品にも遡って、そして驚いたのである。
アルバムごとに全然雰囲気が違うじゃない、とね。
まあ、過去のアルバムについてはおいおいそれぞれ書くとして、まずは彼らの現時点での最新作「Roots & Echos」について。
このアルバムは、まだ昨年出たばかりで、それほど日がたっていない。
にも関わらず、やたらヴィンテージ感をかもしている。
なぜか。
それは、あまりに曲が、それもいい曲の粒がそろっているから。
昨今の音楽の流行とはあまりにもかけ離れているため、どうしても話題性という部分では劣ってしまうし、そもそも音楽性がやや特殊なので、売り上げにはつながらず、それゆえ一部での評価にとどまってしまっているのが非常に惜しいのである。
はっきりいって、これほどいい曲がそろったアルバムは、そうそうない。
聴いていると、もう心地よくて仕方ないである。
それも、いつ聴いても。
音楽というのは、どうしても作り手の感情がこもっているので、いくら好きなものでも、結構聴くタイミングを選ぶものである。
たとえば、天気がいい日に聴きたい曲もあれば、死にたいほどしんどい時に聞きたくなる曲だってある。
どれもシチュエーションがすごく聴くときの感情に大きな影響を与える。
しかし、このアルバムは、いつ聴いても染みるのである。
楽しい時に聞けば尚楽しく、さびしいときに聴けば心癒される。
こういうアルバムは、あまりない。
派手さはないし、とてつもない刺激に満ちているわけでもない。
とにかく胸につき刺さるキラーチューンがあるわけでもない。
でも、どの曲も、気がつけば染み込んで来るのである。
それほどまでにさりげなくいい曲なのである。
本来であれば、能書きを垂れる事自体が、このアルバムに関してはナンセンスである。
なんせ、いいとしか言いようがないから。
何がとかじゃなくて、単純にいいのである。
いつかの酒のコマーシャルじゃないけど、結局本当にいいもの、というのは、理屈が追いつけない。
こんなアルバムを作りやがって、ファンとしては速くライヴが観たいな、と思うんだけど、彼らは一向にくる気配がない(まだ観たことないの)。
まあ、このアルバムと前後して、ギタリストの脱退もあり、バンドとしてやや不安定でもあるしね。
でもま、日本好きじゃないかもしれないけど、やっぱ来て欲しいよね。
一発で掻っ攫われるような攻撃力はないが、何度でも聞き返したくなる、このアルバムはまさにそんなアルバムである。
知らなくても、とりあえず聴いてみろ、と思うような作品である。
本っ当に、いいんですよ。