音楽放談 pt.2

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未来は俺らの手の中 ―THA BLUE HERB

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最近訳あって我がiPodには日本のヒップホップがたくさん入っている。

もちろんリップとかキックとかファンキー何たらでもLil'Bでもない。

ていうか後ろ2つは全然ヒップホップじゃないと思うけど。

K DUB SHINEDJ OASISキングギドラだDABOだといった、なんだか厳つい連中の奴である。

会社の人で好きな人がいて、音源を貸してくれたのですね。

今までろくすっぽ聴いた事などなかったこの私が何ゆえこんなに聴いているのか(というほどの量でもないけど)というと、あるアーティストを聴くようになった事である。

それは以前にも少し書いたTHA BLUE HERBである。

アンダーグラウンドな活動をずっと続けているので、世間的な認知度は非常に低い。

恐らくキングギドラなどは知っていても彼等を知らない人も結構いるだろう。

しかし、前にゲータレードのCMで西錦圭君の出ていたヴァージョンで、バックに流れていたのはTHA BLUE HERBのラップであった。

覚えている人はかなり強烈に覚えているであろう、印象的なCMであった。


彼ら、というよりはMC BOSSのリリックは、非常に重たく生々しく攻撃的であるが、同時にすごく希望にあふれ、力強く、優しさを帯びてもいる。

深い渇望と成功への欲求、周囲の人たちに対する感謝、自分の可能性への信頼など、なんだか勇気づけられるものがある。

最近流行の上っ面だけで胸くその悪いクソッタレた人生応援ソングなどとは根本的に異なる言葉の説得力がある。

トラックによる影響も否定はしないけど、あそこまで言葉が突き刺さってくる感覚はあまり身に覚えがない。

ヒップホップという音楽自体に対する認識すら変えられたから。

割とこの手の音楽だと、誰かをディスってなんぼ、みたいな曲か、あるいはセックス、金、ドラッグみたいな話ばっかりだと思ってた。

暴れるだけしか能がない連中のアンセムくらいにしか思ってなかった。

たしかにそういう側面はあるにしても、それは元々の出自がのっぴきならない連中の中からであるし、自分の住む場所とは違うところでもあるし。

そこに100%共感は出来ないものの、それでもどこかしら通じるところもあり、それは時に思いも依らず深くくるんですね。

やっぱり母国語で、というのも大きいのかもしれない。


そんなブルーハーブの中で、先日買って一日に何回も聴いているのが”未来は俺らの手の中”である。

BOSSの実体験を基に書かれたリリックという事であるが、これがめちゃくちゃいい。

屈辱を舐めるような状況の中で、更に現実は重くのしかかる。

”時給650円、ランチタイムの客の奴隷”

”これ以上きれいごとはなしにしようや、このままじゃついに膝から落ちそうだ”

”自由とはなんだ”

”Ok 余裕”

それでも自分を信じ、夢を忘れず、歯を食いしばって耐えて行く。

”人生か裏の名誉挽回、限界を知らぬ俺の出世払い”

そしてついには成功をその手に、というのが大まかなストーリーなんだけど、時に虚無感に満ち、時に力強さにあふれ、絶望に打ちひしがれ、希望に導かれ。

”増える事はあってももう減らない、多分ずっと一緒に年をとって笑う”

トラックも非常に巧みで、序盤の静かで穏やかな、しかし、どこか虚しさをにじませる展開から、要所要所でドラムが入り、終盤にはMassive Attackみたいな重低音が重なる。

ボスのラップともうまく同期していて、たまらないってやつである。


この曲はかのパンクバンドBlue Heartsの曲のカバーで、彼等のトリビュートアルバム用に制作されたものである。

しかし、原曲とはまったく異なる曲であった事から、収録は見送りとなったそうだ。

そもそも何故カバーを依頼したのかはわからないが、それにしてもこの潔さと言うか、スタンスはやっぱりかっこいい。

私はブルーハーツの曲は聴いた事ないのでわからないけど、パンクと言えば声なき声の代弁というような役割が当初はあった。

目に見えないところの苦しみや、惨めさを表すような側面もあっただろう。

そういった精神の部分をカバーしたんだ!というのがファンの解釈である。

でも、実際ボスが彼等の曲を聴いたとして、そのときに感じた事を自分なりに表現し、同じように感じてもらえるような曲を、と思って書いたのではないかとは推察される。


変にカッコつけしくも、また押し付けがましくもなく、むしろスッと入ってくる感覚がする。

痛々しい感覚もあるけど、一つ一つの言葉が鮮明に耳の中で響くはずである。

是非、音源がYouTubeにもアップされているので、是非一度聴いてみてほしい。

”生きてくのがやっとだが、これだけはいえる「未来は俺らの手の中」”

リリースは2003年だが、今こそ聴かれるべき音楽である。

このシングルには絶対的な価値がある。