音楽放談 pt.2

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手にヌンチャクのモンスターバンド ―Can

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先日、音楽雑誌を読んでいる時に、あるアーティストのインタビューを読んで久しぶりに感動したので、早速CDを買って聴こうと思いたち、即座にCD屋へ走った。

ところが、目的のものはなく、どうしようかしら、と思っているときに、そのままけるのも悔しかったのでとりあえず前から気になっていたものを買う事にした。

一つはGang Of Fourの2nd「Solid Gold」、そしてもう1枚は、Canの「Future Days」。

Gang Of Fourに関しては1st以外実物を観た事もなかったが、輸入盤で見つけたので条件反射のように手を出していた。

そのうち感想も書きます、多分。

一方のCanは、ゆくゆくは全て聴きたいと思っているのであるが、それでも順番を気にしながら順次、と思って。

で、今回はダモ鈴木Vo.時最後のアルバムして、最高傑作との呼び声も高いと言う前評判であったのでkれを、と思って。

こちらもそのうち書ければと思います。


そんなCanのアルバムで、私が持っているのは今のところ4枚である。

以前書いた「Tago-Mago」、ほとんど遊びで作ったようならすとアルバム「Can」、この間買った「Future Days」、そして記念すべきデビュー盤「Monster Movie」である。

で、今日は1stで。

このアルバムは、音云々の前にとりあえずジャケットが気になる。

Monster Movie(怪獣映画、とでも訳せば良いのかな?)という仰々しいタイトルもさることながら、非常にインパクトのあるジャケットである。

実はこれは再発版かららしく、リリース当時は違ったらしいのだけど、今になればこの方が正解な気がする。

一体どういうコンセプトなのかはよく知らないけど、既存のものをぶちこわしてやる、的な心意気であろうか。

怪獣映画と言えば、街をぶっ壊してなんぼみたいなところもあるし。

しかし、リリースされたのは1969年である。

そういう娯楽映画がそこまで一般に浸透していたのか私は知らないが、今に至る彼等の影響を鑑みるに、その意図は見事に結実していると言える。

もっとも、そんな意図があったかどうかはわからないけど。

それにしても、67年~69年の間は実に多くのモンスターバンドがデビューしている。

Pink FloydFrank ZappaBlack SabbathKing Crimson、Doors、Velvet Undergroundなどなど実に豊作。

Beatlesが解散したのも69年だったけど、ロックが多様性を拡大してゆく景気と言ってもよかろう。

すごい時代だな。


それはともかく、そんなバンドたちとともに時を同じくしてドイツから現れたのがCanである。

ドイツはそれほど豊作なイメージはないけど、NEU!とかKraftwarkとか、Canもそうだけど、ある種ロックの異端的な存在にとってのルーツはほとんどここで生まれている気がする。

今だとRamsteinなんかが有名だけど、彼等はアメリカ的な影響を感じさせない音楽だとしばしば評されるし、やはり文化としてある種独特な所なのかもしれない。

まあいいや。

ともあれ、今でこそリイシューがバコスコ出るような伝説級のバンドである彼等だが、デビュー当時は全く評価されなかったとか。

ベルベッツなんかも同じような道程を辿っているが、それとは違う意味で評価されなかったみたいだし。

時代を先取り過ぎた、なんてのは常套句だが、少なくともシングルヒットするような曲はないと思うし、基本的にダウナーな音楽性は、ポピュラーミュージックとしては流行らないだろうとは思う。

もっとも、曲を聴いて全く盛り上がらないか、と言えばそんな事はなく、やけにノッてくる感覚はある。

でも、それはカタルシスというよりは呪術的というか、解脱みたいな感覚なのかもしれない。

ミニマルと呼ばれる反復のビートに載せて、ぐるぐるぐるぐる頭の中を回り続ける感覚は、はっきり言って怖い。

デビュー当時ヴォーカルとして在籍していたマルコム・ムーニーという人は、精神異常をきたしてしまい脱退してしまったとか。

彼等の音楽を聴いていると何となくわかるけど。


とはいえ、このデビュー盤を聴く限りにおいてはそこまで強烈に意識される事はない。

むしろ、1曲目なんかは疾走感があって素直に楽しめると思う。

2曲目はやや重たい、というか重苦しさを讃えたトラックで、聴いていて一番しんどいかもしれない。

3曲目は翻って60年代当時の空気をやけに感じさせてくれるようなトラックである。

ここ最近サイケというのがロックに置ける一つの潮流となっている。

昨年Animal Collectiveが評価されたり、Super Furry Animalsだったり、その他のバンドでもサイケ的な色相をもったバンドが多数現れており、シューゲイザーブームの再燃も相まってまさに時代はサイケであると言える。

関係ないけど、いわゆるクラブミュージックにもサイケというのがあるらしく、そちらはどうやらサイケデリックとはあまり関係ないらしいが、ヤンキーどもの間では絶大な支持があるそうだ。


で、Canの音楽もそうしたサイケ臭をふんだんに感じさせてくれる。

サイケって、どんな感じ?と、聴いた事がない人からしたらさっぱりだろうから、一言でいうとなんだかふわふわしてユラユラしている感じ、とでも言っておこうか。

脳みそをずっと揺さぶられた状態で世界をみているような感じ、というかね。

実際はそこまでぐわんぐわんとした感覚はないだろうけど、そういう感覚を音で表すとそんな感じ、てやつ。

もともとLSCによる極彩色な世界観を音に表彰したのが始まりらしいしね。

ヒッピーて奴らの遺産ですよ、多分。

BeatlesPink Floydもやってたそうです。

Beach Boysもかな、まあいいや。

またまた関係ないけど、LSCで見える極彩色の世界のイメージとして一番近いのはディズニー映画の世界だそうだ。

ある意味世界中で夢の国では夢を見ているんだろうね。

日本人は特に好きみたいだけど。


それはともかく、ラストの4曲目は20分にも及ぶ大作。

これがまたミニマルの極地みたいな曲で、多分聴いていられない人の方が圧倒的に多いだろう。

しかし、当時ライヴではこの曲含め24時間ライヴをやっていた、なんていう話もあるから、尋常じゃないよね。

彼等の音源から感じる不穏さというか、呪術的な匂いというのはそういう常軌を逸したような音楽の追究の結果かもしれない。

ジャケットだけみるとコミックバンドにすら思えるが、聴いているとあのジャケットが不気味なリアリティを持ってくるようで、却って怖いのである。


こうして書くと、非常に病気的な雰囲気がしてしまってよくないけど、最近のバンドで言えば!!!とか、あの辺りなんかはCanの影響を隠そうともしない。

他にも多くのバンドが彼等の名を挙げており、現在前代未聞のシングルプロジェクトを進行中のASHまでも最近は彼等に夢中と公言するなど、ますますその影響を強めている。

Canの場合、単純に音楽的な参照点ともなる一方で、音楽のもっと本質と言うか、根っこに注意を向けさせるような役割をしているようにも感じるけど。

ともあれ、その辺りのバンドに興味のある人も、一度は聴いてみてはいかがだろうか。

どうしてもこのアルバムは聴く気になれない、という人であれば、「Can」というセルフタイトルのアルバムをきいたらよろしい。

こちらならそういう重さはないし、聴きやすいし、場合に寄っては笑えるから。

その上で、もっとガッツいのを、と思ったら1stから聞き直すのも良いのではなかろうか。


しかし、人に何かを薦めたいのなら文章はもっとコンパクトにしなくては行けないね。