
今のところどのバンドも「2ndのジレンマ」みたいな状況はないようだ。
いずれも非常に高評価で、私が聴いたものも実に気に入っている。
1stが大成功してしまうと、どうしても2ndでは周囲の期待と本人達の意志の間のすれ違いが起こったり、あるいはレコード会社側の干渉が大きくなったりで、あまり芳しくない結果になることが往々にしてある。
あるいは、アルバムそのものはよく出来ているのに、世間的な注目度が既になくなってしまっており、そうした要因で商業的にこけて、それがアルバムの失敗と撮られてしまうケースもままあり、実にありきれないところもある。
どうしても商業という部分が絡んでくると、そうした状況はコントロールできない部分も多分にある訳で、こればかりは仕方ない。
需要と供給という基本原理に基づけば、音楽と言えどその流れの中で消費される事になるのだから。
しかしそうはいっても、芸術としての音楽という側面もある訳で、基本的にはこちらの要素の方が重要であると言える。
たとえその瞬間の評価は低くても、後に認められることなどいくらでもあるのがこの世界である。
一番有名な例と言えば、やはりVelvet Undergroundだろう。
リアルタイムの評価はハイプも含まれる為、必ずしも真意とは言いがたい。
しかし、良いものはやはり良いのであって、いずれ日の目を見るときが来るのである。
いや、来るべきである。
そういう真にいいといえるものが、もっと積極的に評価されるような世の中だと、きっともっと面白いものもいっぱい出てくると思うけどな。
さて、1stの影にかくれて以後のアルバムがあまり注目されなくなったバンドの一つが、Gang Of Fourではなかろうか。
CD屋に言っても、1st以外ほとんど観た事がない。
あるいは、雑誌などでもあまり扱われることもなく、私ははじめ彼等は1stのみで解散したと思っていたのである。
しかし、調べれば2nd以降も数枚のアルバムを出しているのはすぐにわかった。
でも、これだけ知られてない、もしくは扱われないという事は、完全に一発屋系だったのかしら、と思っていたのである。
それが愚かの始まりである。
この間、輸入盤でようやく2ndを見つけた。
初めて見たのであるが、レビューなどでは評判はかなりいい。
一体どんな音楽かしら、と思って聴いてみて、びっくり。
斬りつけるような鋭いギターの疾走感の爽快だった1stに比べて、とにかく重いなあというのが第一印象であった。
更にずっしりと響くベースとドラムに、ギターまでもなんだか不穏な響きで。
曲も非常に地味で、はっきり言って敷居はやや高めであろう。
1stに比べれば、なるほどガッカリと言うファンもいるかもしれない。
しかし、アルバムとしても、ここの楽曲としても、はっきり言ってこっちの方が面白い。
特にアルバムとしての作りというか、完成度はこっちの方が遥かに高いと思う。
全般的に地味目の曲が多いのは確かだが、後半になるに従って徐々にひらかれて行くような感覚は痺れる。
特に終盤の"To Hell With Poverty"という曲なんて最強だと思うけど。
それまでのずっしりとした曲群に比べかなり早い曲で、その上ノイズ気味なギターと、ヴォーカルの叫びと、これは上がるよ。
カタルシス、て奴だね。
こういう展開大好きなんですよ。
これはもっと聴かれるべきアルバムである。
Gang Of Fourは、1stは聴いた事のある人はかなりいるだろうが、2ndは1stに比べて知名度もなにもかなり低いだろう。
だけど、これが流通量一つとってもこれだけ低い扱いというのは勿体ない。
とりあえず1stを聴いた事のある人は、早速2ndにも手をだしてみて欲しいものだ。
本当にかっこいいアルバムですよ。