先日紹介した『けものがれ、俺らの猿と』のサントラの収録曲はもれなく素晴らしい。
映画を知っているからその世界観のマッチ具合も手伝ってはいるが、そもそも入っている曲が素晴らしいのである。
どこか不穏というか、不気味と言うか、路地裏の暗がりからチラリと覗くような気味の悪さを何処かに称えたような世界が実に良いのである。
あまり精神衛生上良い音楽ではないかもしれないが、変なものを聴くよりはよほど有意義ではずである。
同名のミニアルバムに収録のこの曲は、とにかく不気味である。
卒業式にでもかかりそうなイントロで始るが、歌、というか、語り、というか、パーカッションに合わせてちりばめられる言葉の断片が極めて気味悪い。
歌詞も不思議と重い。
「花が、咲いたよ、誰も観た事のない花が」という下りだが、その後も聴いているとなんか悲しくなってくるのである。
最後の「光はいらねぇ、水を下さい」という一言が、ある種の飢えを感じさせる。
多分、子供が聴いたら泣いてしまう曲である。
ちなみにミニアルバムに収録の曲は、比較的ポップな曲も在るので、別に全編に渡って不気味が続く訳ではない。
でも、この曲はやっぱり気持ちの悪い曲である。
ある意味では断裂した映画の展開にも非常にマッチしてはいるので、この曲をエンディングにもってきた監督のセンスには脱帽である。
まあ、興味があったら聴いてみて下さい。