音源はいくつか聴いた事がある程度ながら、色んな記事などを観るに付け非常に興味があったので、良い機会とて。
はっきり言ってかなりカオスな印象だったので、いかな大物といえども音楽性的にも果たしてステラボール埋まるの?と思っていたが、開始前から結構開場待ちの列があり驚いた。
客層は実に多様であるが、何処かロックよりはヒッピーのような連中もいる。
驚いたのは一人で来ている女の子もまま見受けられた事。
近くにいた子と少し話したのだが、その子は90年代のオルタナ系を聴いていて、そこで興味を持ったとか。
ほ~~と思ったものだ。
ボアダムスについて今更あれこれ書く事はここではしないが、リアルタイムでオルタナというムーブメントを体験してこなかった身としては、数少ない現役バンドなので、やはり観ておいて損はない、というのが大勢なのだろう。
さて、早速ライブの話に映るのだけど、まずステージ上に組まれたセットがすごかった。
ボアと言えばドラム、という訳で、中央に5人のドラマーが、円形に陣取っている。
まさに画像のような形。
その後ろでギター&ベースが全部で14人いる。
初め見えなかったのだけど、いっぱいいたな。
始って早々はアイが手を動かして、それに同期させるように女性ヴォーカル(というかアジテイターと言うべきか)が声をだし、ドラムがシンバルを響かせる。
頭上で手を合わせた瞬間に全ての楽器が打ち鳴らされるのだが、また手を下げて、ちょいちょいと挙げて、みたいな展開が10分くらい続く。
ちょっと長くねぇか?と聴衆が思い始めた頃にようやく演奏らしい演奏が始るのだが、一発目でやられた。
なんせドラム5機である。
その重低音の破壊力といったら、衝撃だった。
何だこれ、と思ったもの。
機械で出す音でもデカイ音は出せるのだけど、それとは異質で、芯に響いてくる。
ピッタリと息を合わせて打ち鳴らされるドラムと、一杯のギター軍団の音が、凄まじい圧力を生み出しているのである。
今まで色んなライブを観てきたけど、ちょっとベクトルが違うと言うか、単に音楽というよりは前衛アートの世界である。
曲自体も、中期?のトランス系の曲はやはり上がる。
曲としてそこまで展開が複雑な訳でもないし、ひたすら同じフレーズを繰り返しているので、言うなれば単調さもあるものの、そんなものを遥かに凌駕したカタルシスが半端ではなかった。
おそらく途中付いて行けないと思った人たちが外に出たりドリンク言ったりと、ごそごそし始めたものの、大半はフロア後方まで体を揺らしていた。
ちなみにアイは例のギターが5段くらいに組み立てられた楽器を棒で殴ってたな。
アレ、一体なんなのだろう、ただの飾りかしら?と思っていたが、どうやら一つのネック(ていうのか?)には同じ太さの弦が張ってあって、ネックが5本とかだから、デカイ音を出すため(かまではわからないけど)に1つのネックで通常の1本の弦の役割をさせているような感じのようだった。
あれは面白いね。
打楽器のようにギターをポコポコ叩きながら、ギャジャーン!!観たいな音を発して。
この人の頭の中はどうなっているのだろう。
それにしても、この人良く動くのだけど、途中着地をしくじって足を骨折したらしい。
終盤の所ではあったが、いきなり姿が見えなくなったと思ったら、にわかにステージがばたつきはじめた。
するとマイクで「足やってもうた」「氷持ってきて」などといっている。
それでも演奏は続いており、途中からはほとんど動かずに定位置でそのまま続行。
最後の方では再び前の足を引きづりながらも前に出てきて、そこに彼の心を観た!!
結局最後までやりきったのだが、「ありがとう」と人懐っこそうな声でしゃべると、ひょこひょこと足を引きづりながら去っていった。
その後アンコールもあったのだが、最後までやりきったものな。
ボアと言えば、一昨年だったかにニューヨークで77人のドラマーを集めて、一斉に叩かせると言うパフォーマンスを敢行し、現地でも新聞などで取り上げられていた。
もともとハナタラシでもドラム+暴れん坊、みたいな構成だったし、1stもドラムだけは存在感を持っている。
彼の中で、音楽の根っこはドラムのたたき出すビートというのは非常に大きいのだろう。
むしろそれ自体が音楽と言う認識なのかもしれない。
ライブを観ながら、この人は一体何を表現しようとしているのだろうかとずっと考えていたのだが、正直よくわからなかったし、しかしこれを所謂音楽として他のバンド達と同じ括りにするのは少し違う気もして。
まあ、音楽には変わりないんだけど、もっと違う、純粋に表現としての音楽というか、うまく言えないのだけど。
いずれにせよ、これぞオルタナティヴ、という感じのパフォーマンスで、行って大正解であった。
もし機会があれば一度は観ておいた方がいい。
結構衝撃を食らうぜ。