再結成したオルタナ組も、意外とパッとしない印象である。
レイジは再結成当初はライブも精力的に行い、新音源も出すのでは?などと期待半分の適当な憶測も飛んだものだ(バンド側は「作らない」と明言していたが)。
しかし今に至ればすでに活動はしていないようだ。
またSound Gerden(このネーミングって改めて考えるとかなり洒落ている)も今一情報が耳に届いてこない。
アリスインチェンも同様か。
なんだかどのバンドも瞬間最大風速の印象は否めない。
そんな中できちんとバンドとして機能しているのはスマパンことSmashing Pumpkinsであろうか。
サマソニにも来てくれたし、再結成してから既に2枚のアルバム(実質3枚分だが)も出しているし、ツアーも回っている。
ただ、他のバンドが割とオリジナルラインナップであるのに対して、スマパンはビリー一人、あとは若い子を侍らせている。
強いて挙げればベースは女の子、という点だけは結成以来貫いている。
一体どういう信念なのだろうか。
しかし、このバンドのみがある程度ちゃんと活動出来ている理由というのは、ひょっとしたら純粋に音楽的な意味でバンドを復活させたからかもしれない。
というよりも、ビリーがイニシアチブを持って好きにやっているからだろう。
他のバンドは、せっかく再結成してもやって行く中でかつて解散したのと同じ状況、理由にぶち当たっているのではないか、そんな気がするのである。
UKでもStone Rosesが再結成し、今年はフジロックにも来るが、既に喧嘩したと言う情報もちらほら。
長く持つとは思えない。
その他にも再結成したバンドは多いが、どちらかというと企画的にやっている印象が強い。
いっそそれくらい開き直った方がうまく行くのかもしれない。
仕事として趣味を行うとそういうところで衝突は避けられないだろうし。
ま、一時でも夢を見させてくれればそれはそれで良いのかもしれない。
個人的にはNine Inch Nailsの再始動を切に願っている。
Trent一人の裁量如何なので、ホント、頼むぜ。
それはともかく、スマパンに話を戻そう。
「もう出さない」なんて言って無料配信で定期的にシングルを44曲出す、という企画を始めたまでは良かったが、結局うまく行かなかった事に気がついたビリーはアルバムとして出す事に。
それが今年になってようやく出た訳である。
自信満々にコメントを出すビリーの姿勢は音楽家としては素晴らしいと思う。
かつての大傑作を引き合いに出しつつ、それ以上のアルバムを作ったぜ、という思いを持てる事は実に良い事だと思う。
音楽誌もこぞって高評価を与えたもうたが、帯に付く文言は結局いつも同じであった。
「轟音スマパン復活!!」
確かにあの空間をふるわせるようなギターの音は実にかっこ良く、彼等の特徴でもあった。
しかし、個人的には彼等の美しいメロディの方が印象的だったので、如何に世間の目がああいういわゆるロック的な曲にばかり目がいくのがよくわかる。
わかりやすいのはそっちだから仕方ないと言えばそうだが。
で、アルバムだが、結論からいうとまあこんなものかと。
前作『Zaitguist』の延長といったところだろうか。
曲自体は相変わらず悪くない。
さすがと言うべき。
しかし、アルバム冒頭からいかにも世間がスマパンに来たいしているような展開。
ドラムも今はいないジミーのそれを想起される。
1時間を越す収録時間もビリーの気合いを感じるところだ。
曲もバリエーションがあるし。
しかし、しかしである。
なんか違うんだよな、やっぱり。
スマパンの音なんだけど、かつて私が心引かれた彼等の音とはやはり違う。
悪いという話ではなく、要はスマパンに私が期待するものではないという事である。
にもかかわらず、かつてのアルバムを引き合いに出そうとするから余計に引っかかる訳である。
音楽誌も、結局前述のように「復活」というキーワードをずっと使っているのも、それ以前の作品は結局違ったよね、みたいな話でしょ。
もしくは何も考えていないかである。
レコード会社もいい加減だしね。
まあ、いずれにせよビリーがロックというフォーマットで音楽をやろうとしたときに、かつてスマパン
それゆえ、ビリー自身の判断は実に懸命とも言える。
Zwanとかもやったけどうまく行かなかった訳だしね。
個人的にはソロの曲も良かったけどね。
ああいうNW的なのは好きなので。
良いか悪いかでいえば悪くない。
だけどやっぱりスマパンと名乗る必要はあるのかな?とビリーの心情を考慮しなければ、ファンとしてはそう思ってしまう。
とはいえ、昔の曲をライブで聴いてしまうとやはり喜んでしまう自分もいる訳で。
これからも期待して見守りたいと思います。