
新しいものは刺激的で面白い。
今まで自分が観た事も聴いた事もないようなものであればあるほど、それは確かだ。
もちろん合う合わないの議論はあるわけだが、決まりきった退屈なルーティンを繰り返すくらいなら、いつもと違う刺激を欲するのが人間という生き物ではあるまいか。
で、新しいといっても、例えばリリース日とかが最近だ、ていう話ではない。
焼き直しのような商業音楽にはなんの新しさも感じない。
それよりも、例え数十年前のものであっても自分が触れた事のないものであれば、それは新しい訳である。
時代的に古くさいと言われても、そんなことは問題ではないのである。
所詮世界は自分の中から始るのであるから。
で、昔の音楽でありながら、私にとって何故か妙に惹かれる新しい音楽は、King Crimsonである。
以前もいくつか書いているけど、何故か彼等の音楽が好きだ。
そして思い出したように聴きたくなる。
軽妙さとは縁遠い重厚長大な詩の世界や音世界。
およそ現代的ではない訳だが、そのストイックさはやはりかっこいいのである。
時代を経るごとに音楽性を少しずつ変えてきているが、その本質は変わらない。
どう言う訳か日本人にカルト的な人気があるらしいが、ある種の道を求めるようなその態度が日本人の感性を刺激するのかもしれない。
個人的にどの時期が一番好きか、なんていうことを語れるほど聴き込んでいる訳ではないのだが、ご多分に漏れず70年代の黄金期と呼ばれる時期のものは凄まじいと感じる。
『太陽と戦慄』なんて、1曲目から痺れっぱなしである。
その後に出されたのが、今回掲載した『Red』である。
なんたら渋いジャケットだろうか。
当時のプログレ界の雄、3人の顔面アップ、おっさん好きには溜まらないのではなかろうか。
このアルバムはクリムゾン、もっといえばプログレッシブ・ロックの時代の終わりの象徴のようなアルバムであると思う。
曲自体も哀愁に満ちあふれていて、ジャケット以上に渋い。
元々メタル色のあるバンドであったが、それが一番顕著なアルバムではないだろうか。
1曲目とか特に。
タイトルにしても、何かの終わりを示すような感じだ("Fallen Angel"とか)。
ちなみにこのアルバムを買ったのが高校2年の頃だったと思うが、そんな時期に聴くようなアルバムではないよな、と今更ながらに思う。
とはいえ、なんと言っても圧巻なのはラスト”Starless”である。
星もなく、聖典は黒く、なんて。
前半の歌パートが終わると、その後は長きに渡る沈黙の如き静けさ、そしてラストの駆け抜けるような展開・・・渋すぎる。
以前カラオケでつい歌ったらさすがに怒られた。
ただ、このアルバムにあふれる悲哀と言うか、あまりにもドラマチックで素晴らしいのである。
YesやAsiaなんかが再結成ツアーとかやったりもしているので、おっさん方も喜んでいることだろう。
未だに雑誌でも特集されているように、日本では相変わらずコアなファンがいるらしい。
そんな数多のプログレバンド達の中でも、クリムゾンはやっぱりかっこいいな、と思う。
曲そのものの好みもあるけど、やっぱりバンドとしてのパーソナリティって奴だよね。
観てくれよ、この3人のイケメンっぷりを。
渋過ぎだろ。
みんなもうおじいさんに近づいてきているけど、クソみたいな商業バンドよりも未だに遥かに刺激的だよね。