少し前の話になるのだが、2月3日にHostess Weekender というイベントへ行った。
ここ最近定期的に開催しており、出演アーティストがかなりコアで良質なので、毎回ラインナップが出るのが楽しみだ。
しかも土日開催なのでちゃんと行けるので非常に素晴らしいイベントだと思う。
で、今回はVampire Weekendも来てメチャクチャ素晴らしかったが、諸般の都合で私は日曜日のみ参戦。
その日の出演での目玉はやはりDirty Projectors。
音源はいくつか聴いた事があったけど、正直そこまで好きなアーティストという訳ではなかった。
ただライブがすごいとの評判であったので、それなら是非観てみようじゃないかと。
実際音源ではかなり穏やかな印象があったので、それがライブでどう化けるかも興味の対象ではあったがね。
とはいえ、せっかくなのでその日に観たバンドは一通り書いておこう。
到着したのが少し遅くなったので、出演順でいくと2番目のRa Ra Riotからであった。
前から名前は知っていたし、それなりに評価も良かったので良い機会であった。
音楽的にはVampire Weekendとかその辺りを彷彿とさせるもので、もう少しデジタル/ダンスよりの楽曲という印象だった。
全体的にポップだし、上品で、ヴォーカルも歌がうまいし、女性陣綺麗だしで、普通に良かったな。
時間の短いライブという事もありアッパー系の曲をメインでやってた事もあってか、もう少し曲の振り幅があっても良かったかな、とも思ったが、CDを買おうと言う動機には十であった。
また買ってこよう。
次に観たのがUltraisutaというユニット。
どうやらRadioheadの昔ながらの裏方、ナイジェル・ゴッドリッチのプロジェクトらしい。
正直事前情報も何もない状態であったが、聴けば最近のレディへを彷彿させるよなややアンビエント感漂うエレクトロで、女性ヴォーカルが入っている分ポップさはあれど、踊るというよりは浸るという感じの音楽。
派手さはないけど、さすがと言うべきか、気がつけば引き込まれて行く感じが実に気持ちいい。
これは夜に静かに聴いてみたいね。
次に観たのがBest Coast。
最近ちょくちょく名前を目にしていたし、人気があるらしい事は知っていたが、音楽その他に関する情報は一切なかったので、勝手にエレクトロ系かと思っていたが、ふたを開けてみればグランジというか、オルタナ系の割りとシンプルなもんであった。
個人的にはこのバンドはピンと来なかった。
悪くはないけど、なんか90年代にレイドバックしたような感じもしたし。
で、最後がDirty Projectorsである。
アルバムは直近3枚は聴いていたので、ある程度わかるものもあるにせよ、どんなライブなのかと。
結論からいうと、ぶっ飛ばされた。
アートとしてのポップミュージックというか、音楽エンターテインメントというか、音楽ってこういうものだぜ、みたいな感じと言うかな。
単にメロディをなぞってとか、楽器は伴奏するだけ、とか、歌は歌で、とか、そんな既成概念を吹っ飛ばされるようなクリエイティブな感じのライブなのである。
CDでは何となく曲としてしか聴いていなかったが、目の前で演奏している姿を観ながら聴いてみると、何時どの楽器をならしているのかもわかるし、それ故にこの人たちってすげえなと思うのである。
だって、演奏はちゃんとそろっているのに、どこでリズムを取っているのかがわからないのである。
普通であればベース、ないしドラムがそこを担う訳であるが、そこを追いかけてもうまく掴めないのである。
また、ギターの使い方とかもそうなんだけど、ヴォーカル、というかコーラスの使い方がすごく面白い。
メインは男性ヴォーカルが一人いるのだが、サブで女性一人、コーラスで2人と、かなり音声パートが多いのであるが、それの使い方が完全に楽器なのである。
で、多分だけど、メインヴォーカルも単に歌を歌うと言うよりは、聴こえ方や響き方とか、色々考えながら歌っている。
声の裏返り方や、リズムの取り方とか、強弱も含めて全てかなり意識的に行っているように感じられた。
間違いなくこの人達は歌はメチャクチャうまいと思う。
それをうまく使いこなしている感がまたすごいと思った要因なのですね。
ちなみに女性ヴォーカルは実に可愛らしく、綺麗な声で、そしてやっぱりうまい。
演奏スキルもセンスもステージングも、全てにおいてちょっとレベルが違うと感じた。
この日以来改めてCDも聞き直しているけど、視点が変わったもの。
だけど、やっぱりライブでこそ彼等のすごさは伝わると思う。
これは音楽好きなら1回は、観ておいて損はないだろう。
これが音楽だ、と言いたくなるような素晴らしいライブだった。
それにしても、今回のラインナップはバンパイア含めてかなりハイセンスなラインナップであったな。
言い方はちょっと悪いけど、すごく偏差値の高い音楽である。
ようはバカじゃできない音楽だということ。
最近色んな音楽を聴くようになって、音楽の中でもいくつかの種類があって、それってなにかな?と考えるのだけど、一つはその偏差値だと思う。
DPもVWも、どちらかと言えば偏差値の高い音楽である。
最近の若手バンドは割と偏差値高めだと思うけど。
だから大衆受けもしやすい。
ちなみにボン・ジョビは45くらいかな。
ヤンキーが聴いているようなユーロビートみたいな奴は30くらいの音楽だろう。
これくらいになると私はもう聴けない。
意味がなさすぎて。
音楽として聴けるのはやはり52以上の音楽だと思う。
それ以下は音楽ではない、ただの商品。
最近のJ-POPは概ね40前後じゃないかな。
逆に言えば一般的と言われる日本人の音楽偏差値はその程度と言う事だろう。
だから、Oasisとかでもわからないという人の方が多いと思う。
別に高いから高尚だとか言う噺ではもちろんない。
ただ、より音楽的かどうかという視点で観たときには多分かなり当てはまると思う。
Nirvanaとかは音楽的かどうかとは別の次元にいるから、偏差値平均でも破壊力は抜群だしね。
でも一方で聴き方として、偏差値高めのものの方がじっくり聴きたくなるものが多い。
DPなんてその最たるものだと思う。
ちなみにQwen Palletもそうかな。
彼らのライブを観てふとそんな事も思ったのでおまけまでに書いてみましたが、難しい噺は抜きで単純に素晴らしいので、是非ライブに足を運んでみてほしいですね。