音楽放談 pt.2

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人間らしい曲たち ―LA-PPISCH

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私は普段サラリーマンとして働いている。

平日はフルタイムで、たまに資料作りなどは家でやる事もある。

おかげさまで土日祝日はカレンダー通りの休みなので、比較的人間らしい生活は送っている。

そんなにたくさん給料をもらっている訳でもないが、かといってよく言われるような貧困レベルではもちろんない。

普通に喰って、寝て、適度に娯楽を楽しめる程度には稼ぎがあるのはありがたい事だ。

最近はワーキングプアなどと言って、働けど働けど、なんていう人たちが増えたなどとニュースや雑誌ではしばしば取りざたされてる。

そんな苦労ばかりが重なるならいっそ働く事を放棄して、生活保護でももらったろ、みたいな発想が出てきたからと世の中はおかしくなってきた。

労働の義務があるじゃないか!なんて口角泡飛ばして叫ぶ気はサラサラないが、かといって自分も一応納めている税金という奴が何のために生きているのかわからない連中の娯楽に使われるのは実に忍びない。

ていうかムカつく。

その状況を政治のせいにするのか、問題が顕在化するまで無関心であった自己を呪うのかがその人間の人としての価値だろう。

できれば後者でありたいものだ。


さて、真面目腐った前置きをしてみたが、今回書くのはLA-PPISCHのアルバム、上田現が抜ける一歩前くらいの時期だと思うけど、既にバンドブームも過ぎて久しい頃のものである。

歩いて行こうと前向きな奴らや、ダメ人間なやつ、人間失格な奴、富士山登っては夢でキスする奴、左遷されて大迷惑を被った奴などと時を同じくして出てきたバンドである。

その中にあって、一番商業的には成功してないのではないだろうか。

日本のミクスチャーの先駆的存在でありながら、今一コマーシャルでなかったり、コミカルでありながら批判的な歌詞なども売れない要因かもしれないが。

しかし、音楽的には非常に面白く、ポップで雑多で今の現役バリバリのライブバンドだから、アーティストリスペクトは高いようだ。

舐めんなよ。


で、彼等の音楽的な特徴はスカ+パンクをベースに色んな要素を都度取り入れている。

歌詞についてはパーティチックなものからある種の人々を批判的に描いたものや、他方で抽象的で寓話的なものまで幅広い。

作詞担当は主に2人、ヴォーカルのMagmiと故・上田現である。

Magmiの歌詞の方が泥臭く、等身大で頑張っている人を称えるような歌詞がしばしば観られる。

現ちゃんは実に不思議な独特の歌詞を書く人で、寓話的でちょっと不気味なものも多い。

ちなみに元ちとせの”わだつみの木”を書いたのはこの人です。

現在はギターの恭一も結構書いているようだけど、いずれにしろ聞き所は多い。


このアルバムは、序盤は社会で働く男の悲哀のようなものが多く、中盤は彼等なりのラブソング的なものなどもありつつ、最後はちょっと不思議ワールド全開。

テーマ的には家族というものがあるかと思う。

通してポップなので非常に聴きやすい。

で、個人的に非常に印象的なのははじめの2曲。

「人間らしい生活がかけ離れて行く不安」という1節で始るが、別に助けてくださいなんていう情けないコトを言う訳ではない。

むしろそんな現状をぶっ飛ばしてやるぜ的な勢いのある曲である。

それに続くのが”無敵のサラリーマン”である。

会社には無茶を言われ、家族には虐げられ、それでも頑張るぜ!という、男からするとちょっと切ない、しかし非常に前向きな曲である。

実際働くようになって本当に思うのだけど、サラリーマンってタフだよね。

昔は電車に乗ってくたびれきった汗だくのおっさんを観ては「社会の犬め!」とか毒づいていたけど、今自分が働くようになると、なんだそういう人を観ると切ないのである。

だから自分自身は疲れててもうなだれないし、顔をうつむいて歩かない。

それはいいんだけど、なんやかんやおっさんらも頑張っとんやで!という話である。

こういう事を言うと、今は社会の中で女だって働いてますぅ、しかも家事だってやってますぅ、男尊女卑じゃ人ですかぁ?などと絡んでくるフェミニストがいそうだが、別にそういう話をしている訳ではない。


で、中盤にはラブソングもあるのだけど、もちろん普通の曲ではない。

非常に捻くれたないようなんだけど、個人的にはすごくその心象と言うか、視点というか、はわかるんだよね。

内容としては、コーヒーをこぼして汚してしまった途端大慌てする様を観て、男はそんな変な安物のTシャツなんて別にいいじゃん、と思うのだけど、実はそのTシャツは初めて2人で行った縁日で買ったもので、彼女はそれを大事にしていたと。

お世辞も浮かばないほどへんてこなシャツだけど、そんなものに拘る彼女が妙にいとおしいみたいな内容なんだけどね。

少なくともただ好きですとか、会えなくて寂しいとか、そんなことしか言えない奴らよりもよほど温かい曲だと思う。

彼等の歌詞はほとんどの場合男目線で書かれている。

女の気持ちはよくわかんないけど、観たいなところはあるけど、男としてはその方が聴いていて違和感を覚えない。

それも彼等をなんやかんや長く聴いている理由かもしれない。


と、まあ非常にざっくりではあるけど、いずれにせよハマる人には非常にハマるんじゃないかなと思う。

世間で騒がれないから大した事ない、サザンに比べたら、ミスチルに比べたら、とかそういう価値観しか有してない人間出なければ、是非一度聴いてみてほしいですね。