音楽放談 pt.2

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希望という名の音 ―Broken Social Scene

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個人的に大好きなものは、メインストリームか少しそれたようなものが多い。

何故かはよくわからないけど、これは本当にいいなぁ、と感じるものは得てしてそう言う傾向にある。

もちろんメインストリームなものだって好きなものは好きだけど、どっちかというと孤立無援でも好きなことをやっている連中のほうがかっこいいと感じるてしまうし、そういった姿勢が音楽にも反映されるだろうから、好きな音楽も自ずとそうなっていくのだろう。

ま、ぶっちゃけそんなことはどうでもいいんだけど。


そう言うバンドのひとつが、Broken Social Sceneである。

カナダのオルタナティヴ・レーベルの大看板にして、そのものでもあるこのバンド。

一部熱狂的な支持を集める一方で、マジョリティにはなりそうにない。

ポップであるが、どこか混沌として、自由で、軽やかで、時に激しく、時に切なく、そして希望に満ちているような、そんな音楽である。

今のところ純BSS名義での最新作は、2006年に出たセルフタイトルのアルバムである。

このアルバムは、徹頭徹尾キラキラと輝いて、まばゆい光を放つようなアルバムである。


このバンドの音楽性を一言で言い表すことは出来ないが、要素として大きいのはエモ(といっても今時の「僕は寂しいよぉ~」とのたまうそれとは違って本当にエモーショナルなエモ」)であったり、エレクトロニカ的でもあり、ポストロック的でもあり、まあ、そんな感じである。

疾走感があって、でも行き急ぐようなものではなく、やさしくて力強い、てさっきから観念的な言葉ばかりが並んでしまうが、私はこのアルバムを聴くと、本当に心地よくて仕方ないの。

観念の彼方へ飛んでいくような。

朝の通勤電車の中でさえ、この音楽が鳴り続ける限り希望にあふれて電車が走っているようにさえ感じる。

いちいち仰々しいところもないし、過剰に何かを押し付けることもない。

ただ音楽が鳴っているような、そういうたたずみを感じる。

う~む、やはり観念的になってしまうね。

ヴォキャブラリーが少ないのが露呈されている。


彼らはしばしばPavementを影響源に挙げており、たしかに詞や音にもそれは伺える。

また、Dinosaur.Jrなどもあげられるように、時にノイジーでダイナミックなギターも聞かせる。

そうした先人たちの影響を隠そうともしない素直さも、このバンドの魅力のひとつであろう。

主にヴォーカルをとっているのは、Kevin Drewという、このバンドのリーダーなんだが、彼の声は非常に澄んだきれいな声をしており、どこか青臭さを感じさせるものがある。

また、女性ヴォーカルはやはりこの人Feistである。

やっぱりいい味を出しているよ。

彼らの声も相俟って、彼らの音楽は大人のゆとりのようなものがありながら、いつまでも瑞々しさを放っているのだろう。


少しだけトラックにも触れると、やはり一番好きなのは"Fire Eyed Boy"、めちゃくちゃPVがダサいが、曲は最高にかっこいい。

また、"Ibi Dreams of Pavement"なんていうまんまな曲もあるし、"7/4(Shoreline)"ではFeistが歌いまくっているし。

""Superconnected"、"It's All Gonna Break"は圧巻だし、"Band Witch"という曲も、派手さはないけど実にいい曲だ。

う~む、列挙するのが限界か、無念。


ともかく、ネクラな俺がダークな空気のない音楽をここまで好きになれるのか、と思うくらい大好き。

今年の3月にはStarsとともに来日したので、私も行きましたが、初日は音響が実に不具合でせっかくのライヴも本領が発揮されず、2日目も行かなかったことを今でも後悔している。

とはいえ、演奏やパフォーマンスは最高にかっこよかった。

アルバムではかなりプロダクションが聴いているので、アンビエント的な空気も魅力なんだけど、ライヴではよりロック的な色を増し、トリプルギターのアンサンブルも最高にかっこよかった。

途中気がつくと楽器が変わってたりして、おのおののマルチプレイヤー振りをみるのも面白かったし。


今年の夏にはKevinの片割れで、BSSもう一人の男であるBrendan Canningがソロを出したので、そのツアーで日本にも来ないかしら、と期待しているが、少なくとも当分は来そうにない。

ただ、来春には純BSS名義でも新譜を出すという情報もあるので、それに伴うツアーに期待である。

BSSは、周辺を取り巻く他のバンドも含めて非常にいい音楽を作る集団である。

今のところ純正アルバムは3枚であるが、どれもそれぞれの色があって、それぞれに違う魅力を持っている。

少しでも興味があれば、まずはこのアルバムが一番お勧めかもしれない。


アルバムのインナーには「We Hate Your Hate」という文言が書かれている。

その言葉に前向きな希望を感じずにはいられない。

私はひねくれているので、今時の歌のような無責任な肯定には嫌悪を覚えるが、彼らの描く希望には、素直に耳を傾けられる。

売り上げという指標がその音楽の良心を示すわけではない、という好例である。

と、言うわけで、とりあえず聴いてくれ、本当にいいよ。