
先週末は友人の好意のお陰もあり、Atom For Peaceのライブへ。
言わずと知れたRadioheadのトムとRed Hot Chili Peppersのフリーが組んでいると話題の奴である。
元々はトムのソロ作をライブ再現する為に組まれた遊びバンドだった訳であるが、ツアー中に発展してバンドとして音源をリリース、更にはそのツアーも回る事になり、日本へもやってきた訳である。
今回会場がスタジオコーストという2,500くらいのキャパの所であったため、さすがにチケットはソールドアウトであった。
私は友人の知り合いがクリマンの会員であったらしく、そこで先行で取ってもらったので、特に苦もなくチケットは入手しましたがね。
それにしても、平気でん万人規模の会場を埋めるバンドのメンバーであるし、トム自体音楽業界では超重要人物と言われる存在であるから、特にRadioheadのファンには溜まらないのだろうね。
それをこんな小さな会場で、こんな近くで見られるのだから、日本の洋楽ファンは恵まれているかもしれない。
ちなみに以前NINもここでやっているし、Arcade Fireもやっている。
Deftonesなんてクアトロでやった訳だから、日本のファンはやっぱり幸福だよね。
ちなみにクアトロではつい先日益若つばさがライブやったってんだから、日本の洋楽の不人気を暗に物語ってもいる訳だが。
それはともなく、さすがにフルフィル状態の会場の平均年齢はやはり私なんかよりも1世代上、という感じ。
年齢にして30代半ばくらいではないかと思う。
まあレディへ自体が90年代のバンドだし、もちろん今でも現役とはいえあのシリアスな空期間は現代的とは言い難いし。
正直に言えば、私自身も熱心なレディへファンという訳ではない。
アルバムは一通りは聴いた事あるし、好きな曲、アルバムもあるけど、既に1年以上彼等の音源は聴いていない。
今回のライブに併せて、『AMOK』は友人から音源を借りて聴いて、久しぶりに『OK Computer』を聴いてみたが、『Eraser』はほとんど聴いていないし。
そういう意味では、真性のファンで今回チケットが取れなかった人からしてみれば畜生、という話かもしれないが、それとこれとは別な問題だからね。
それはともかく、音源を事前に聴いていたけど、まず一番印象的だったのは軽いということ。
音が薄いという意味ではなくて、レディへの音楽に常にあるシリアスさのようなものがなかったんですね。
音楽的にはソロ的な色合いに近いのだけど、ヴォーカルラインもなんかふにゃふにゃしているし、要するに肩の力がわかりやすく抜けているのである。
しかも中にはアップテンポ、とまではいわないが、あまりイメージにない明るい調子の曲もあり、このアルバム自体トムに取って位置づけが違うのだろうなと思った。
後になって雑誌のインタビューを読んだのだけど、なるほどこれは彼にとっては息抜きだったんですね。
で、ライブについてなのだけど、そうした精神状態が反映されてか、トムが非常に楽しそうなのが印象的だった。
コンバンワ~とかいうトムがなんだか可愛い。
そして得意の意味不明なダンスを踊りながら終止ご機嫌そうである。
本当に楽しんでいる感じがあって、すごく意外に感じたのである。
私は実はレディへのライブも観た事ないので、普段からこうなのかしらんけど、しかし過去レディへでの彼を観た友人も、楽しそうだという旨を言っていたので、やはりモードが違うのだろうね。
ライブの出来自体はさすがの一言で、トム、フリー以外も名うてのミュージシャン達なので鉄壁である。
全体的に打ち込み的な色合いの強い曲なのだけど、生楽器との融合のさせ方などはっきり言ってレベル高過ぎである。
大体の場合、打ち込み部と生演奏部って判別が着くのだけど、もはやわからなかったし、しかも違和感など欠片もない。
ドラムやパーカッションのリズム隊も細かなフレーズもばっちりだし、フリーはブリブリ言わせながら曲調半分無視気味に暴れるし。
その中でトムは変な踊りを踊っている。
これはマイケル・スタイプの影響だろうか。
しかも途中でハンドクラップまで求めて、トムってこんな人だったのかしら?なんて思ってしまう。
ひょっとしてバンド名も、直訳すれば『平和のための核』と政治的な意味合いがある訳だが、ちょっと捻れば『A Thom For Peace』ということで『平和なトム』という風にも変換できるではないか!!
しかもAをつける事で、固有名詞ではなく一つの名前としてのトム君についてになるため、息抜きであるということやそんな特別な人間じゃないんだよ、という彼なりの言明にも受け取れるではないか・・・。
まあそれは冗談だが、いずれにせよ終止楽しそうなのが良くて、レディへはダメだな、という人でも楽しめるんじゃないかな、というものであった。
私にとってトムはヒーローでもないから、NINのライブの時のような観ただけでテンション上がって仕方ないという状況にはならない分、割と冷静にライブを観ていたのだけど、でも十分楽しかったな。
それでも音楽的には敷居は高いと思うけど。
帰りの電車でも友人とそんな噺をしていたのであるが、いい音楽はやっぱりいいし、人を楽しませるものはやっている当人が楽しんでいるものなんだろうね。
その意味でRadioheadの音楽はベクトルが違う。
だけど、トムのやりたい事は本当はこういうことだったのかもしれないね。
何かを訴えようとするとシリアスになりすぎてしまう自分がいるから、こういう純粋に音楽を楽しむ在り方は大事なんだと思う。
いい機会を得ましたね。