音楽放談 pt.2

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日本的ポストロック ―toe

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最近日本の邦楽インストバンドが活況の様を呈している。

LITE、te'、Kowloon、Mop Of Head、Sawagi、Mouse On The Keysなど、相変わらずテクニカルな一方で非常にポップ要素のも強いバンドも増えてきている。

系列的にはMogwai的な激情の静と動の揺り動くタイプとTortoise的な緻密で知的なタイプと、あとはダンスよりのデジタル系くらいが大まかな類型であろう。

Mogwai系で言えばte'がそうだろうし、Tortoise系で言えばLITEとかだろうし、デジタルはMopだよね。

Sawagi、Kowloonあたりは何だろうね。

SawagiはYMOっぽいかも、Kowloon、Mouseはジャズっぽい要素が強いから私の畑とは少し違う印象なんだよね。

どっちも聴くし、好きなんだけど、今まで聴いてきた音楽とは少し違う、という意味ね。

個人的にはTortoise系の方がやっぱり好きだったりする。

実際Tortoiseやちょっと違うかもだけどマスロックというところでDon Caballeroとかどちらかといえばドライな音楽の方が好きかな。

その意味でスタイルではなく精神としてのポストロックが好きですね。

日本ではインストバンドは概ねポストロックと言う位置づけがなされている印象があるが、厳密に定義しようと思うと違うのではないかと思っている。

私はLITEが一番好きなのだけど、彼等はマスロック的な要素が強いかな。

ん?そうするとマスロックが好きってことだよね。

ジャンル分けというのはまあ、便宜上の者に過ぎないという事だよね、詰まる所。


さて、そんなインストバンドの中でも日本で中心にいるのがtoeというバンド。

正直バイオには明るくないのだけど、日本のインストバンドのイベントではトリを取る事も多く、日本のインストバンドと言ってまず出てくるバンドの一つでもあるだろう。

何度かライブを観た事もあるが、いずれも動員はよかったものな。

彼等はTortoise的な色が強いけど、一方で決してドライな音楽ではない。

むしろややウェッティなのは日本的なセンスなんだろうと思う。


そんな彼等のアルバムについては実はまだ全部を聴いた訳ではない。

いくつか友人から借りて聴いている程度ではあるのだけど、聴いていて非常に心地いい。

なんというか、ちょっとセンチメンタルな曲調な印象なんだけど、どこか物悲しいのですよ。

まったくアッパーではない。

メチャクチャテクニカルという訳でもないし、そう言う意味で極日本的なバンドだという印象である。


そしてもう一つ、彼等のライブがなんだか面白いのである。

曲はもちろんいいし、演奏も基本的にはうまいから安定感も抜群なのだけど、なんというか、すっごい一生懸命やっている感を出すのである。

表情で。

特にギター2人。

なんでだろうというくらい。

すっごいいい曲なのに、彼等を観ているとどこまでマジなんだろうと疑ってしまう。

ま、それがいいのだけど。

それと、いくつかヴォーカルの入った曲もあるのだけど、歌っている奴が今のところ観たライブほぼ全てで酔っぱらっていた。

こいつふざけているな、なんて思っていたのだけど、ちょうどBlood Thirsty Buchersの吉村さんが亡くなってすぐ後くらいに彼等のライブを観たのだけど、その時のMCでこの件に触れていたのだが、そのときの言葉と言うか、語り口が非常に印象的だった。

実はこの人相当内向的なんだろうという感じ。

「最近、死について考えるんです」なんて不意に語りだして、収拾着かない感じになってやや茶化してごまかしていたけど、その後に歌った”グッドバイ”はなんかすごく良かった。

「うまく届かないんだ」というラインがあるのだけど、彼の語りを聴いた後だとなんだかやけにくるものがあってね。

放っておくときっと人生についてとか、ある種哲学的な施策に嵌ってしまうタイプなんだろうな、と思った者だ。

それが楽曲にも現れているんだろうね。

そういう視点で観たときに、ライブでのあのややコミカルな印象というのはひょっとしたらある種の照れ隠しなのかもしれない、なんて思ったりね。


ともあれ、なんだか不意に彼等の音楽が聴きたくなるときがあって、この間過去の音源を買ってきたのだけど、基本的な音楽性自体は変わっていないね。

聴いていて楽しくなる部類の音楽ではないが、やっぱり彼等の曲は好きですね。


ところで書いていて思ったのだけど、イギリスって所謂こういうポストロック系と呼ばれるバンドっていないよな。

まあ、そもそもポストロックってたしかグランジオルタナの反動的な動機で現れた音楽だったから、アメリカ由来といえばそうなんだよね。

その意味でイギリスには伝播しなかったのだろうな。

ちなみにイギリスではインストバンドというとデジタルなPridigy的な音楽が目につく印象がある。

メンタリティ的には同じ島国同士日本と似たところがあると言うが、そこは面白い違いだよね。

日本ってやっぱり雑食だから、アメリカ的なものもイギリス的なものも取り入れちゃうから独自な者が生まれるのだろうし、どっちにもアプローチできる精神性も生まれるのだろうね。

といって海外で活躍しているバンドはまだ少ないけど、多分言葉の問題だけで音だけ出したら多分勝負できる。

そんなバンドが増えるといいですよね。


それにしても、いくつか日本のインストバンドの注目株を書き出してみて思ったのだけど、やっぱりこのジャンルはマイナーなんだろうなと。

実はテレビで曲が流れることもままあるわけだが、周りでこのバンド知っている!なんてことにはまずならないからな。

話は少し変わるけど、先日友人と音源の貸し借りをしたのだが、まさかのFuck Buttonsの音源が被るという奇跡が起こった。

お互い「さすがに想定していなかった」といって無闇にテンションがあがったのだが、日常生活においてはまずあり得ない現象である。

音楽そのものの受け皿としてリスナーのレベル自体がこれから上がることは多分ないから、これからもこの手のジャンルはマイナーなんだろうけど、いい音楽を作り続けてほしいね。

"Run For Word"