今週はNine Inch Nailsの単独があった。
当初2日間の日程であったのが、金曜日にも追加公演が決定。
追加はあるだろうと思っていたけど、この中一日の空白は恐らく観光の為だろう。
さすがに社会人になった私は金曜日まで参加することは難しかった・・・というか昨日は夕方から急激な体調不良、要するに風邪に見舞われて結局さっきまで布団で死んでいたのだけど。
そんな恨み節を残しつつ、参加した2日間ははっきりいって完璧でした。
フジで観ているけど、やっぱり単独だから曲は幅広いし、大掛かりなステージセットはない代わりに非常に趣向を凝らしたライブになっていて、つくづく金曜日も参戦できなかった事が悔やまれる。
まずは1日目。
今回オープニングアクトはメンバーでもあるアレッサンドロがソロで何かやるらしい。
といって始ったのはアンビエントな音をずっと流している。
正直曲として特にこういう場で聴くにはいささかだれてしまうところはあるのだけど、正味15分くらいやってそのままのつながりでNIN登場という演出。
これはかっこ良かったですね。
若干だれてしまうテンションをここで一気に挙げられる。
1曲目は『Year Zero』収録の”Me, I'm Not”。
すごく意外な感じがしたのだけど、この日は新譜からの曲をメインに据えており、全体的にエレクトロ中心。
なのでドラマーでわるはずのアイランがベースを弾いている時間の方が長かったように思う。
ドラム音も今回はデジタルっぽい音にされており、"Survivalism"なんかで顕著だったけど、ちょっと破裂音的なエフェクトになっていてそれがカッコよかったね。
途中『Socila Network』のサントラ1曲目の冒頭数分を流してたと思う。
そしてフジでも演奏された"Sanctified”のアレンジverも披露され、やっぱりカッコいいぞこのアレンジ、と唸っていました。
エレクトロ中心とはいえ"March Of The Pigs""Wish""Gave Up""Terrible Lie""The Hand That Feeds""Head Like A Hole"といった定番曲はもちろん外さないから、置いてけぼり感は決してなかっただろう。
最後はもちろん”Hurt”。
1時間半強の時間だったが、本当にあっという間でしたね。
個人的に残念だったのは『The Fragile』から1曲もなかった事。
何故!?と思いつつ、翌日に期待である。
ちなみにこの日はフロア中盤辺りにいて、ライブが始ったら前へ行こうと思っていたら鉄さくがあって薦めないという歯がゆい事態に。
明日は気をつけようと思ったのでした。
そんな訳で2日目。
可能な限り前の方へ。
さすがはトレントと唸らせてくれる日でしたね。
1日目とは打って変わってこの日はロック色前回。
これまでのNINらしいといえばらしいライブとなった。
私の大好きな”Somewhat Damaged”にはじまり、『The Slip』の曲へ続いて行く。
ぴょんぴょん飛び跳ねながらハンドクラップを促すトレントを見られる日が来るなんて・・・。
アイランは今日はドラムを目一杯叩いている。
彼のドラムは非常に力強くていいですね。
ロビンのギターも冴え渡り、電子楽器を繰るアレッサンドロも終始楽しそう。
何よりトレントの活き活きとした感じがいいですね。
こうしてみると、1日目は彼等にとっても実験的な部分があったんだろうね。
曲目自体もこの日は新譜からは1曲もなしという、これまた思い切ったことをやってくれるが、その分演奏には脂がのってすばらしい。
『The Fragile』のleftサイドの一つの山場たる”Frail”からの"The Wreched"もあり、そりゃテンション上がるぜって話である。
そしてこの日の一番のサプライズは、"Head Like A Hole"後に登場したトレントの嫁と共にやったHowTo Destroy Angelだろう。
今回は結構MCも鋏んでたんだけど、そこで紹介されて嫁登場である。
ロスはさすがにいないが、ここで見られたのは非常に嬉しかったな。
後ろでキーボードを弾きながらたまに嫁に目をやるトレントにかつての堅牢さはなく、今の健全さが伺えてなんか微笑ましかったな。
2曲やったのだけど、2曲目は2人フロントに並んで演奏され、はじめは緊張気味であった嫁も2曲目の方が乗っている感はあったな。
2曲終わるとスッと捌けて行ったのだけど、やっぱり木曜日は日本観光したのだろうか。
そして最後は鉄板"Hurt"である。
この曲も1周回って自分から離れて行くと、メロディの美しい、一見して暗い印象だが逆説的に希望のある曲なので、こうして聴くとやっぱりいい曲だよね。
そんな訳2日目もあっという間でしたね。
それにしても、なんやかんや活動25年のバンドなので、ファンも着実に年をとっているらしく前回の単独のときと比べると明らかに観衆は大人しかった。
大人しかったというとやや語弊があるが、それこそモッシュも起こらないしダイブも思ったよりも少なかったな。
スーツ姿の人も少なくなくて、いい年の人も結構いるんだよね。
歴史って奴ですね。
だから、追加公演では当日券が出ていたからね。
購入層はやはり旧来のファンが大勢なんだろうね。
そしてトレント。
すこし痩せたせいか、途中からピーアー・アーツに見える時があったな。
顔の系統はその筋なんだけど、なんかトレントもすっかり健全になって、ライブもショーとして楽しめるようになったのだろうね。
あんなにハンドクラップを求める人ではなかったものね。
ファンとしてはガッカリという人もいるのかもしれないけど、私はなんだかうれしかったですね。
トレントは今後薬とかで人生をつぶす事はきっとないだろうし、まだまだ音楽も作ってくれるだろうし。
次はいつこうしてライブが見られるかわからないが、まだまだ頑張ってほしいですね。
久しぶりにライブ中に変に客観的になることもなく最後まで没頭できたのは、一重に好きだからというのもあるけど、同じ曲でも予定調和にならないパフォーマンスの素晴らしさにあるのだと思う。
もともとプロデューサー的な視点も持っている人だから、こういう事に本気になったらやっぱりレベル高いよね。
またきてくれ、トレント!