音楽放談 pt.2

SEO強化をしていこう。

久方ぶり ―Maximo Park

イメージ 1

 

一昨日は久方ぶりのMaximo Parkの単独であった。
 
2ndが出た年にはサマソニで1ステージのトリであったが、そのときは客入りが非常に乏しく、彼等に取っては少なからず落胆する出来事だっただろう。
 
そのせいかどうかは定かではないが、今回のアルバムまでツアーはなかった。
 
前作では日本盤すら出なかったからね、後で改めて出されたけど。
 
私自身、彼等のライブはそのサマソニの1回しか観た事がなかったので、単独は渇望していた。
 
だから今回は待ちわびていた訳さ。
 
仕事はあったが早々に切り上げるべく仕事も調整して、会議も無駄な沈黙を全て殺してやった。
 
それでもかなり際どい時間になってしまったが、幸い前座があったので本編には間に合って一安心。
 
 
彼等はなんだかんだ一定のスパンでアルバムを出している。
 
既に5枚目に鳴る訳であるが、アルバムごとに色相を少しずつ変えて入るけど、基本的には2nd的な路線が色濃くて、1stのようなプラスチックなサウンドは最近はあまり鳴っていない。
 
基本的にセンスのあるバンドなので、その辺りはある程度時代の空気を読んでいるのだろう。
 
実際1stについてはある種の時代性を感じるからね。
 
とはいえ、元々1stから入ったファンにはやはりそういう音も恋しくなるのが人情というもの。
 
それをアルバムとして出す事を期待している佳と言えば微妙だったりするから、複雑な心理だ。
 
 
それはともかく、今作はまたジャケットも奇妙なおっさんが髭を沿っているグラフィティ。
 
アートスクール出身とあって毎回ジャケットには拘る彼らだが、今回のこれは一体・・・?とか正直思うよね。
 
で、先行シングルで発表された曲がこれまたかなりこれまでのイメージと異なっていて驚いた。
 
シングルではアッパーな彼等らしいパワフルな曲を持ってくる場合が多いが、全く対極といっていいくらい静かで淡々としていて、ポールのヴォーカルも抑え気味な歌い方。
 
一体アルバムはどうなっているのか、というところだが、全体的にはこれまでになく抑え気味なトーンであった。
 
もちろんアッパーな曲もゼロではないけど、それも相対的にそう感じられるだけという感じ。
 
でも、よくよく聞いてみるとかのシングル"Brain Cell"も、ベースやビートは踊っているのである。
 
どうしてもバンドの個性としてポールの存在が大きいからついそちらへ引っ張られてしまったが、決して暗い曲ではないのがミソである。
 
で、何度か聴いているうちにこれはいいアルバムだと気づいた。
 
 
正直前作はピンと来ない部分があった。
 
曲はもちろんいいし、ライブ感もある曲だから聴いていて楽しくない訳ではないが、一方で少し一本調子というか、前作から何かが変わったという感じもなく、成長という感じもあまりせず、ちょっとやりきった感の結果アグレッシブな方向に舵を切って、だからポールもメチャクチャ力強く歌うのだけど、それがなんだか違うと思ったのかもしれない。
 
しかし、今作はむしろより音楽的というか、先にも書いたようによくも悪くもバンドのパーソナリティとしてポールの存在が大きい。
 
だから、このアルバムではそこを敢えて抑え気味にする事で演奏の方に耳が行きやすくなっているし、またポール自体もこれまでと違うスタイルで歌うから新鮮味もあるしね。
 
その意味で彼等的なポストパンクなアルバムと言えるかもしれない。
 
とはいえ、私の中で奇妙に引っかかっていて、今一その正体が判ぜんとしない要素があったのだが、それがこのライブでなんとなくわかった気がしたね。
 
 
さてライブであるが、会場に着くと思ったよりは客は入っているが、代官山UNITのキャパでも程度に空間が出来てしまうくらいだから、やっぱり人気と言う意味ではあんまりらしい。
 
いつになく外人さん率が高かったのは海外での彼等の人気の裏返しだろうしね。
 
イギリスでは数千人規模のアリーナでも埋めるバンドだから、本国の人からすればこの距離で見られる事自体がミラクルだろうね。
 
それは私みたいな日本のファンにとっても同じだろうけど、そのインパクトは絶対違うし。
 
メンバーが出てきて、1曲目のイントロが鳴り始めたのだが、ここでトラブルが発生。
 
どうもPCがうまく機動しなかったようで、ポールが出てこないままメンバーも一旦引っ込むことに。
 
おどけたように「5分後にまた会おう」と言って捌けて行く。
 
 
大丈夫か!?と心配になったが、その後ほどなくして再開。
 
「さっきは夢を観ていたんだよ」みたいな事を言って今度こそライブスタート。
 
1曲目は新譜から。
 
やはり抑え気味のヴォーカルだけど、ライブで聴くと音源ほどアルバム間の際は感じない。
 
初っ端は各アルバムでのキラーチューンを早速投入。
 
"Signal and Sign""Our Velocity""National Health"などアッパーな曲が続く。
 
今回『Quicken The Heart』からの曲は少ない印象で、『The National Heatl』からは結構あった。
 
加えて1stからも結構やってくれたから、古参のファンには何かと嬉しかったよね。
 
全部で22曲くらいやったので、ボリュームは満点だった。
 
やっぱりポールはヴォーカリストとしてすごくカリスマ性もあるし華もあるし、歌もうまいし表情も豊だから観ていて非常に面白い。
 
人も少ないし、アルバムによっても明らかにノリが変わる客相手でも全力、て感じで気持ちいいよね。
 
本当にありがとうだよ。
 
 
で、こうして全アルバムの曲を織り交ぜて聴いてみると、やっぱり曲の良さがわかるね。
 
なんだかんだ言っても曲がまずいい。
 
この曲は今一だな、というのはあんまりないんだよね。
 
もちろんより好みというのはあるけど、概してレベルが高い。
 
その中で新譜の曲がやけに際立つように感じられる場面もあったのだけど、理由としては曲そのもののフィーリングなどもあるかもしれない。
 
歌詞を全て読んだ訳ではないからなんだけど、哀愁があるんだよね。
 
彼等の曲は個人的には都会的な感じがするのである。
 
決して牧歌的ではない。
 
プロダクションのせいもあるかもしれないが、田舎で聴くよりは街中で聴く方が映えるのである。
 
その文脈で見ると、このアルバムの曲ってたまに見かける薄汚い古いビルに一人で住んでいる人たちを見るような、取り残された感みたいなものや、人の間にある孤独感、孤立感みたいなものを感じる。
 
誰にも見向きもされないけど、そこに確かに存在している者がいて、そんな人をなんとなく目にした瞬間の何ともいえない感じ。
 
もちろん全ての曲ではないけど、印象的なのはそういうフィーリングなんですよ、個人的にはね。
 
 
ともあれ、こうして過去の曲も改めて聴いていると、やっぱりこのバンド好きだな、と思って、昨夜から過去のアルバムを聞き直している。
 
私の周りで彼等を好きだと共感できる人がいないのは寂しいが、いずれにせよここでライブが見れたのがうれしかったし、本当にいいライブだったので、是非またきてほしいし、今回のアルバムで再度注目を浴びるようになれば、なお嬉しいことである。
 
そんなライブのワンカット。
 
イメージ 2
スタートした時の風景ですね。
 
こんな狭いステージでも動き回って、例のジャンプも披露して、彼等のプロ意識を感じたね。
 
インテリジェンスでお茶目な彼等は愛すべき存在である。