音楽放談 pt.2

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幽霊の気分? ―坂本慎太郎

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日本のアーティストの中で奇妙な存在感を持っている人は幾人かいる。

およそ海外に対しても訴求力があるかと言えば「?」だが、どう考えても唯一無二という存在。

それだけ色濃く日本っぽさみたいなものがあるのかもしれない。

具体的に良く言われるのは浅井健一向井秀徳、今は亡き清志郎もそうだろう。

そして坂本慎太郎とかね。

この中で浅井の音楽は私はあまり聴いた事がないが、大学の同級生が彼が大好きというものがいたな。

別の友人は向井が大好きで、Zazen Boysのライブにもよく行っている。

私は彼等の音楽を聴くようになったのは割と最近なのだけど、この中でいうと坂本慎太郎が一番良く聴いている気がする。


元々ゆらゆら帝国を永らくやっていたが、数年前「完成した」といってバンドは解散。

ラストアルバムとなった『空洞です』は、アメリカでもDFAからリリースされるなど、よもやの海外進出か!?と思った矢先であった。

当時はまだ音源を聴いた事がなくて、まともに聴くようになったのは大分経ってからだったので、もっと早く手を出していればと後悔したね。

ライブも見たかった。

その後首謀者たる坂本慎太郎はソロを発表。

『空洞です』の延長線上にあるような音楽性で、そこはかとなく童話的であった。


『幻とのつきあい方』というタイトルな訳だが、全体的にゆる~い音楽が実に心地いい。

1曲目”幽霊の気分で”なんていうのも、生きる上でのしがらみを全て打ち捨てて、死んだつもりで彷徨って行こうぜ、なんていうアグレッシブさはなく、ムードはもっと気楽。

このアルバムでは幻、幽霊といった、所謂魂に類するものが一つのキーワードになっていて、幽霊がユラユラしている様を想像したながら聴くと実におもしろい。

個人的にお気に入りは”ズボンと棒”。

なんだかこの曲、意味はよくわからないけどいいのである。

「夕立で濡れたズボン、土手にはさされた棒」なんていう歌詞な訳だけど、なんかキュートである。

一方で寓話的というのはタイトルトラックだろう。

「幻を扱う仕事には気をつけよう」という抽象的な表現は、彼自身が身を置く世界についてのこととも言えるし、およそ人間世界における社会というものがまさに幻のような存在である。

そんな現代社会における生き方を彼なりに教授せんとするのがこのアルバムのテーマとも言えるだろう


とはいえ、そんな小難しい事は抜きにして素直に楽しめるアルバムでもある。

休日にポケ~っとしながら聴くにもちょうどいい温度感。

ポップミュージックとしては極めてレベルの高い作品であるといえるだろう。

つい先日2ndアルバムが出たが、これもまた奇妙で独特な音楽であった。

パッと聴いた感じではやはり童話のような優しい音楽だが、歌詞はむしろ今回の方が直接的である。

まだ聴き込んでいないけど、この人の作る音楽は実に日本的で、恐らく海外のアーティストからは出てこない世界観だと思う。


ややレベル高めの印象を持たれているかもしれないが、一度は聴いてみる価値はあるね。