音楽放談 pt.2

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待たれていたいぶし銀 ― The Coral

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英国が誇る00年代の代表バンド、The Coralが5年ぶり(発売の頃には6年ぶり)にアルバムをリリースする事が発表された。

この間は活動休止していたようで、通りで音沙汰がなかった訳だ、という感覚は別になくて、というのもヴォーカルでメインソングライターのJames Skellyのソロ作があったり、その弟のIanもソロを出したり、バンド名義でも14年にアルバムを出していた。

だから、何故5年ぶり?なんておもっていたのだけど、どうやらこのアルバムは未発表音源集ということで正式なアルバムとしてはカウントしていなかったらしいのである。

このアルバムについて情報が薄かったのでわからなかったのだけど、確かに音がラフというか、全体に地味な印象もあるから、一体どうしたのだろうと思っていたところである。

とはいっても全体として統一感もあるし、1曲目とラストの曲がつながっていたりするからキチンとアルバムの体を持っているから、余計に不思議に思ったものだ。

それにその前作『Butterfly House』もサイケ色強く割と其れ以前よりも地味目だったので、これはこれとしてこういう路線だろうかという感じもあったしね。


しかし、このバンドもすっかり過去のバンドのように扱われており、日本では情報も薄くなっている。

ソングライティングの優れたバンドなので、リリースする作品はいずれも素晴らしい事に変わりはない。

確かに初期の奇天烈な音楽に比べると、近作はビンテージ感すら漂う落ち着いた作風になっていて、旧来のファンからすると物足りなさはあったのかもしれない。

それに時勢的にもアヴァンギャルドなポップが隆盛を極める中で、その動きと逆行するような格好になっていたため、余計にメディアも扱わなかったのだろう。

その間ギタリストのBillが脱退した事もあり、来日もなかなか実現せず、気がつけば5年も経っていた訳だ。

私は彼等のファンだし、ソロ作も概ね聴いている。

ソロはソロでバンドの音楽のエッセンスがそこかしこに見て取れて面白いし、だから余計にバンドとしての作品にも期待が募るというものだ。

そこへ来てこの情報には胸が躍ったよね。

明けて3月4日の発売予定なので、それまで過去の作品を再度聴きつつ待とうかしら、なんて思う訳だが、これまでもずっと聴いているんだけどね。


で、私が正式作品と思っていたアルバムだけど、正直物足りなさはやっぱりあったよね。

先にも振れたけど、初期のサイケ色はあるもののどちらかと言えばラフな仕上がりと、全体にくぐもったような音触りがあって地味な作品だなという印象は拭えなかった。

とはいえ曲そのものは良い曲多いし、彼等らしさを感じられる。

初期の怪しげな雰囲気もあって、ファンには嬉しい作品には違いない。

でも、やっぱりそうでないと売れるアルバムではないかなというのも正直なところなので、やはり未発表曲のバンドルなんだろうな。


彼等はStroes、Music、Libertinesらと同世代のバンドである。

彼等が出てきた時に御三家などというセンスのない呼び名で呼ばれていた訳だが、そこにCoralは入っていなかった。

Captain Beefharfの影響を色濃く感じさせる一方で、正統派のソングライティング力もあるバンドとして異色を放っていたようだ。

Music以外はまだ現役であるのだけど、既にクラシックとなりつつあるキャリアにさしかかっているが、他のバンドと比べてもフォロワー的な存在は見当たらないし、独自なポジションにいる。

英国臭の強さもあるから余計に世界的に売れることは難しかったのかもしれないけど、それでも良い音楽はいいからね。

次作に期待しつつ、過去音源ももう一度聴いてみよう。

そして、是非ライブで来てほしいよね。

"You Closed The Door"