音楽放談 pt.2

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退廃的美学 ―Mouse On The Keys

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始めに断っておくが、Devoの記事ではない、という事を言って通じる人がどれくらいいるのかわからないが、ともあれ今日は日本が誇るインストバンド、ジャズとロックとちょっとハードコアの混ざり合った音楽を奏でるMouse On The Keysである。

既に一部では話題沸騰、実は地上波CMでも曲が流れた事があったし、オシャレ系の雑誌にも「ムードのあるカフェのBGMにぴったりの曲」などと紹介されてもいた。

そう、彼等の音楽はちょっと小ジャレている。

音像的にはモノクロな感じで、シック。

それこそ退廃的美学という言葉がしっくり来る音楽である。

また、海外でもライブを盛んに行っており、先頃カナダツアーにも行ってきたばかりだそうだ。

現在までにアルバム2枚、EPを数枚出しており、それほど多作な訳ではないが、既存曲もライブではアレンジもかなり変えており、着実に進化している。

なんて書くと若手バンドのように感じるかもしれないが、メンバーは既に40過ぎで、言うなればおっさんである。

実はこのバンドの前にハードコア系のバンドを組んでいて、そこのメンバーが脱退して結成したのがオのバンドである。

そちらのバンドのインディもインディではあるが、アングラハードコアシーンでは結構有名だったらしい。

Nine Days Wonderというバンドなので、興味があればYoutubeでも観てくれ。


彼等はピアノ、シンセ、ドラムの3ピースを基本として、たまにサポートでラッパの人が入るのだけど、そうするとジャズっぽい雰囲気がグッと増す。

彼等の音楽の特徴はなんと言っても手数の多い激しいドラムを軸にしたダイナミズムとピアノ、シンセの軽やかながらダークでメロディアスな旋律の絡み合いだろう。

非常にテクニカルな要素が多く、聴いていると圧倒される。

編成がシンプルな分1曲1曲でも聴き応えはもちろんあるけど、都度のライブでどういう展開で曲をつなぐか、という視点で聴いている方が面白い。

先にも書いたけど、曲もアレンジなんかを大きく変えてくるので、そうした音源との違いを見ていくのも面白い。


で、彼等の目下の新作は昨年出た『Flower Of Romance』というアルバムである。

一応断っておくが、別にニューウェイヴではない。

しかし、このアルバムは過去作に比べてかなり曲の幅が広がった印象はあるし、いつになく滑らかな印象である。

この一つ前のアルバムは、音的にスクエアというか、マス的な印象が個人的にはあったのだけど、このアルバムの曲はどれも流れるようなメロディが印象的である。

特にピアノかな。

また彼等の音楽の大きな特徴は激しいドラムなのだけど、今作にはドラムがやや控えて打ち込みを前面に出したような曲もあって、新機軸も見て取れる。

エレクトロニカ的な要素を感じる曲も増えているよね。

一方で後半のタイトルトラックなんかは弦楽器も使ったかなり実験的な曲になっており、件のタイトルもその精神性を継承しているのだろうか、などと思わせる。

こちらも特に全般的にドラムは控え気味だし、最終曲も打ち込みの要素が強くなっている。

アルバムとして聴いた時には特にそう思うけど、彼等の現時点での最高傑作と行って差し支えないだろう。


で、昨日ライブがあったので行ってきたのだけど、今回はスタジオ録音ライブアルバムの発売リリースツアーと言う事で、東京ではLITEをゲストにツーマンで行われた。

LITEも新曲も織り交ぜたセットを披露しており、一方で割と過去のアグレッシブな曲もまたよくやるようになっており、いつになく音も強くてさすがでした。

こうして改めて聴くと、つくづく変な曲が多いんだなと思うけど、彼等のプレイを観ればそんなこと気にしているまもなくぶっ飛ばされるだろう。

彼等もマウスとは交流があるらしく、以前ウェブ媒体でBattles についてLITEギターの武田さんとマウスのドラム川崎さんが対談形式でインタビューを受けていたしね。

それに海外でもライブを行っておりいずれも着実にツアーエリアも拡大している2組である。

好き者には溜まらない組み合わせでしたね。


そしてMouseのライブもドラム川崎さんがいつになく元気だった。

冒頭に書いたように、2月中旬にカナダのケベック州でライブしてきたらしいのだけど、なんと-15度の中、野外で演奏させられたそうだ。

また屋内でもそもそも気温が低いのでかなり寒かったそうだ。

そこで来ての日本、そりゃ温暖地域だわな。

そんな事をMCでも終始話していて、饒舌に話していた。

ライブはいつになく手数の多い上やや変拍子、不規則に溜める変則プレイも魅せており、ノリに乗っていたね。

ピアノ、シンセも2人もキレッキレで、ラッパの人もムーディに奏でて実に良いライブでしたね。

割とセットの序盤で代表曲も演奏していたが、まったくだれる事もなくあっという間の1時間半であった。


しかし、ここまでテクニカルで手数も多く、一歩引いて観れば奇妙な楽曲をしている2組を観ていると、なんか不思議な感じがするときがあるのである。

人間の体ってあんなに細かく動くのかなとか、どうやってこんな音が出てるんだろうとか、本当は弾いてないんじゃないかとかつい思ってしまうけど、全部ちゃんと弾いたギターや叩いたドラムや鍵盤からなっているのだから、恐れ入るよね。

彼等が世界でも通じるのはもちろん楽曲自体の良さもあるけど、こうした超絶テクニックもあるだろう。

真似しようったってできないもの。

ほんとすごいよ。


ちなみに件のライブ盤は会場限定販売なのだけど、内容は非常に素晴らしい。

ライブならではのダイナミックさと力強さがスタジオ盤とは異なる響きがあって、聴きごたえ抜群である。

まだ音源かされていない曲もあるため、そうしたものも聴けるから、機会があれば是非手に入れてほしいですね。


"Leviathan"