音楽放談 pt.2

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求められる本質 -アナログフィッシュ”抱きしめて”

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日本はまた震災で大変なことになっている。

会社にも熊本出身の人がいて、一報を聞いたときには当然だが青い顔をしていた。

今も余震は続いていて否が応でも数年前を思い出す。

今回は火山もあるから、そう言ったところでも予断を許さないわけで、やっぱり震災って怖いなって思う。


そんなニュースの合間で、あるコメンテーターが「地震が起きるからって少ない地域に避難しているという人もいるが云々」というコメントをしていたが、安全なところはそんなにないっていうのが現実である。

こうした状況の中で私の中で響くのはアナログフィッシュの”抱きしめて”である。

この曲の歌詞は元々は作った下岡さん自身の不安とかから書かれているけど、こういう状況に図らずもリンクするような感じを覚えるところに彼の作家性を感じる、というような話は以前も書いているけど、やっぱり本質を突くっていうのはそういうことだと思う。

「危険があるから引っ越そう、遠いところへ引っ越そう」

この一節で始まるのだけど、元々は「地震があるから引っ越そう」という形だったものを震災後に書き換えたそうだ。

下岡さんは長野県出身なのだけど、彼にはずっと地震に恐怖感を持っていて、それを素直に歌詞に表しつつ書いたのがこの曲の歌詞なのだけど、震災前に書いていたものをリリースが震災後になったので書き直したのである。

すげぇなと思う。


この曲の普遍性は先のコメンテーターのコメントともリンクするけど、誰もが思う危険のない場所で静かに平和に暮らしたいという願いに対して、そんなところがこの世界のどこにあるんだ、という冷めた視点を持っている一方で、だからこそ求められるものについて描かれている点である。

「いつまで?なんて聞かないで、嫌だわなんて言わないで」という男に対して、相手の放った言葉は「どこにあるの?そんな場所が、この世界に。もうどこでもいいから思いっきり抱きしめて」である。

何気ない日常の他愛のない会話の中で描かれる風景にこそある種の本質がにじみ出ていて、言葉で言い尽くせないことをしっかりと描いているところが作詞家としてのレベルの高さである。

行間を読む、という表現があるけど、そのやり取りを思い描きながら聞いていると非常にたくさんの情景が見えてくるし、何気ないからこそ共感できる普遍性があるはずである。


この曲についてはすでに何度も触れているし、あれこれ言い過ぎるのも野暮なので、とりあえず聴いて欲しいと思う。

本当にもっと広く聴かれるべき曲だと思うし、こういう状況だからこそ響くものもあるだろう。