音楽放談 pt.2

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音の間に間に -Pele

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いわゆるJ-POPをメインに聴いている人たちにとって理解できない音楽の一つがインストものだろう。

要するに歌のない音楽。

なぜなら彼らにとって音楽を聴くというのはイコール歌を聴くことだから。

それと合わせて洋楽的な音楽にもピンとこない。

理由はサビがないかららしい。

恥ずかしながら私はそんなこと別に気にしたこともなかったし、言われてみれば確かに洋楽ってサビっていうサビ的な盛り上がり方はしないよね、という程度なので、彼らの言っている意味がわからなかった。

十分に高揚するものがあるし、聴いてて楽しいのに、一体こいつら何言ってんだ?と思ったものだ。

しかし、やっぱり聴き方の視点のようなものがなければ楽しみからもわからない、というところはあるだろう。

楽しみなんて自分で探せよ、という意見もあるだろうが、それでは発展性はないかもしれない。

私にそれをわかりやすく伝えるだけの技量はないだろうが、せめて参考になれば幸いである。


さて、そんなわけで今日は一部ではそこそこ知られているポストロック系バンド、Peleである。

サッカーは関係ない。

90年代末か00年頭あたりに活動のピークだったと思うけど、確か最近になって再結成したはずである。

音源についてはほとんど流通していなかったらしいが、再始動を契機に再発されたものもあったらしい。

画像に載せた『The Nudes』は日本盤としてリリースされている。

他にもアマゾンではいくつか入手可能だが、店頭では相変わらずほとんど流通していない。


このアルバムを聞いて最初の感想は、Sea and Cakeの音楽に近いなというもの。

あちらは歌もあるけど、同じくポストロロックの代表的なバンドである。

もっといえばTortoiseとかも同じ匂いがある。

そもそもポストロックってなんぞや、という話だけど、グランジなどに代表される自己嫌悪や攻撃衝動みたいなものから一歩距離をとって、純音楽的な表現に向かった一群を総称した呼称だと思う。

本質的にはポストプロダクション、というのかな、演奏ドンで一発録りという形ではなくて、音源データをハードディスクに入れて編集をするという作業を経ることをすることが一つの特徴だろう。

Tortoiseがしばしばエレクトロニカ音響派)と呼ばれるのはそういうわけだろうし、その意味でいろんな言葉が混在していてはっきり言ってよく分からない言葉になっている。

ジャンルなの?派閥?まあ、どうでもいいだろうが、インスト系を十把一絡げにポストロックと呼ぶのはおかしな話だ。


それはともかく、Tortoiseなんかはシカゴ音響派などと呼ばれていたらしいのだけど、彼らの音楽は音がすごく澄んでいる印象がある。

録音がいいとかいうテクニカルな問題も少なからずあるとは思うけど、どちらかといえばその根底にあるものの違いのように感じる。

それこそPeleにしても、パッと耳にした印象はすごく爽やかで明るい音楽という感じなのだけど、その根底にあるものが何かな、と探りながら聞いてみると、それが見当たらないことがあるのだ。

語弊があるかもしれないが、環境音楽的な客観性というか、そんなものを感じる。

音楽に限らないけど、何かを表現しようというときにはどうしても感情的なものが入ってきてしまうだろう。

人間だし、それが普通だと思うけど、彼らの音楽にはそれがあまり感じられない。

無感情というとそれも表現としては違うのだけど、だから澄んだ音楽という印象をもつわけである。

それがいいのだけどね。


最近私が音楽を聴くにしても何かを見るにしても、気にしているのはそういう作品を通して見えてくる背景というか、そういうものを想像してみることである。

昨日久しぶりに美術館に行って、ある画家の企画展を見てきたのだけど、その絵を見て思ったことはどれも非常に柔らかい印象であること。

その人は人物画の評価の高い人らしいのだけど、表情の穏やかな絵を描くのである。

図らずもややポストロック的な要素も感じて、ただ純粋に眩い音楽や絵の表現というものが存在するとしたら、こういう人たちの作品なんだろうなと思う。

この間触れたマグリットは、むしろ作品からどこか影が滲み出してしまうのを隠しきれないところがあったが、昨日見た人のはむしろ世界の明るいところだけど描いている印象があったね。

なんか心洗われる思いがしたものだ。


話が逸れてしまったけど、純粋な音楽っていうのはともすればすっと通り過ぎてしまうかもしれないが、じっくり耳を傾けると本当にいい塩梅である。

ちなみにPeleは日本のインストバンド代表格、toeの師匠のような存在であるらしく、その音楽性に大きな影響を与えているとか。

聴くと確かにその影響はそこかしこに感じることができるのだけど、面白いなと思うのはtoeの音楽にはそこはかとない感傷があることである。

それが日本的な風情というか、日本人のバンドっぽいなと思う。

これはいい意味で言っている。

別に言葉がなくても、日本語でなくても、そこから滲み出てくるものはやっぱりあって、それが色々なことを雄弁に語っているのである。

そういうものは音色の組み合わせや、楽器の表現とか、そういうものの隙間から滲み出てくるものだから、そんなことも考えながら聴くと楽しいですよ。


いやぁでも、やっぱり抽象的な話に終始してしまうな。

とりあえず、音楽を聴きながらこの音色で何を表現しようとしたんだろう、なんて考えることから始めるのがいいんじゃないかな。

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