今週末からスタートしているフジロック、私は1度だけ行ったことがあるけど、あの空間は本当に素晴らしい。
普段都会に暮らしているから余計にそう感じるのかもしれないけど、山は静かだ。
どこか浮世離れしているようにさえ感じられる。
そこで好きな音楽を聴きながら空を眺めている時間は幸せだったな。
行っている人は余計なノイズなど気にせずに是非楽しんでほしいものだ。
そんなフジロックに今年も出演するのは、ここ最近一挙に注目度も集めいているのがロンドン発日本人バンドBo Ningenである。
Horrorsのメンバーにより見出された彼らだが、着実にチャンスをものにして、今ではすっかり注目株に。
音楽的にはサイケ、プログレ、パンク、メタルと様々な要素が混ざり合う現代的なバンドだが、そうした表面的なラベルではなく、彼らの本質はやっぱりライブにこそある。
演奏の上手い下手ではなく、そこで魅せられるのはまさに剥き身の彼らの姿である。
楽曲も激しいものが多い為、パフォーマンス自体も激しいのだけど、ただめちゃくちゃやるとかではなくて、その向こう側に何かを彼ら自身が追求していくような姿が印象的である。
彼らのライブは結構見ている方だと思うけど、どう表現していいかいまいちつかめないというか、とにかくいいのは間違いないけど、うまく説明できないところがあるのである。
なんだろうこの迫力、テクニックじゃないし、ただ楽曲の構造がいいとかそんな表面的な話ではない、でもなんだろう、といつも思いながら見ている。
どうしても耳に入ってくる音楽的なところに気をとられるのだけど、改めて歌詞に目を向けても、彼らのテーマの一つとしては自分の存在肯定、みたいなものが大きいのかなという気がしている。
全体的に観念的な言葉での表現が多く、説明的な歌詞ではないのだけど、じゃあこれってどういう視点からの言葉かなというと、当然作詞者のTaigenくんの視点なのだけど、そこで見ているのは自分自身だし、もっというと社会を通した自分というややメタ的な視点もあるのかなと思う。
自分を偽るな、というかね。
1stの頃だと、そんなに言葉に意味があるようには感じられなかったし、瞬間的な感情を吐露したような印象だったのであまり考えたこともなかったが、アルバムを重ねる毎にその焦点は明確になっているような印象がある。
また3rdが出て数ヶ月経った時に、彼がTwitterで「未だこのアルバムについて的確なレビューは見たことがない」という発言をしており、ちょっと意外に思った覚えがある。
彼らについてのレビューは、やっぱりその激しさみたいなものとか、音的なところにフォーカスしているものが多かった気がするし、あまり多く語られている印象がない。
ライブの激しさも手伝って、彼らの中で注目されているのは「何を表現しているか」ではなく、とにかうすごい、といったものだったからな。
かくいう私もそちらだったし。
でも、彼らとして伝えたいこととか、わかってほしいポイントっていうのはそうじゃないところだったのだろうな。
だから歌詞の表現も具体的になっていく感じがあるし、そこに歯がゆさがあったのだろうね。
考えてみれば彼らのライブは初期の頃から身を削っているようなところがあったし、だからこそあれだけの迫力があったのだろうと思うよね。
剥き身の自分で勝負しようぜ、っていうのが彼らの見せたいものなのかもしれないね。
ちなみにTaigenくんはプロレス、アイドルオタクとしても有名(?)である。
ちょくちょくアイドルとのコラボイベントとか、プロレス観戦もしていて、そこからの影響というのは常々公言している。
じゃあ一体どこに影響を受けたのだろうということを考えると、プロレスなんかも結局レスラーが戦いを通して表現しているのはまさに自分自身の生き様である。
私もプロレスは好きなのだけど、いいなと思うレスラーはやっぱりそういうレスラーで、技にばかり走る曲芸のようなレスラーは、見栄えはするけどすぐに飽きてしまうのである。
彼らにとってのライブもまさにリングと同じで、そこでどんな生き様を見せるか、というところが重要なのだろうなという気がする。
現代では着飾ってなんぼという社会だし、自分を隠すことに必死というか、周りに合わせることが常に求められているようなところがある。
~キャラという言葉を日常でもよく使うようになった気がするけど、その状況に対して息苦しさみたいなものを感じている人は少なくないのではないだろうか。
そんな状況に対して真っ向からNOと突きつけるようなところがあると思うし、だからこそ響いているのかもしれない。
そんな彼らがライブをするので、是非見てみてほしいですね。
"Da Da Da"