音楽放談 pt.2

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突き刺さる言葉 -Moroha

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年々感じるものの感じ方や、捉え方とかそういうものが変わっていくような気がしている。

もちろん10年前とかそんな次元ではなくて、ここ数年、もっと言えば数ヶ月ですらなんだか自分がどんどん変わっていくような感じがする。

それもいい悪いという価値観の話ではなくて、なんかもっと根本的なところのような感じだ。

うまく言えないけど、よくある言い方をすれば、これが丸くなるということなのかもしれない。

先日も書いたけど、まさか自分でBritony SpearsのCDを買うとは思わなかったし、J-POP的な音楽も多少なりとも聞くようになったのは、価値観という側面では柔軟になったとも言えるし、それ自体はいいことなのかもしれないけど、それに反比例するように様々なものに対する反骨心みたいなものとか、そういうものがなくなったような気がする。

仕事においても何においても。

大きな衝撃があったわけでもなくて、人並みの変化くらいはあるのだけど、一体どうしたことだと自分でも思うのだよね。

大学時代の友人は今年結婚式も挙げて、先日ついにマンションを購入することになったと言って嘆いていた。

そんな彼の愚痴を聞きながらも、しっかりしたやつだと感心すると同時にどこか情けないような思いもしたものだ。

俺は何をやっているのだろうか、なんてね。

でもそれをまあいいやと受け入れてしまうことそれ自体が非常に大きな変化かもしれない、などと思ったのである。


先にもすこし書いたけど、こうやって心境が変化すると聴く音楽もそれに合わせるようにすこしずつ変化していくところもあって、そう感じさせる音楽の一つがMorohaである。

ここ1年くらいで急激に注目度も増しているヒップホップユニットだが、おそらくいわゆるヒップホップファンにはあまり受け入れられていないのではないかと思う。

今の主なファン層はかなり文科系の、どちらかといえばあまり音楽を聞いていなさそうな人かもしれない。

彼らがブレイクするきっかけ自体テレビの地上波への出演である。

しゃべくりに数分だけのゲストとして2回登場して、今ではTVCMにも出ている。

そんな彼らに取っても大きな環境の変化もある中で先日新しいアルバムがリリースされた。

その際のインストアイベントについては既に書いたので興味のある人はそちらをどうぞ。


さて、彼らは3枚アルバムを出しており、1枚目は野心みなぎるとともに半径数メートルの人間への感謝というヒップホップのデビュー盤としては普遍的なテーマであった。

続く2ndも基本的なテーマは同じだけど、もう少し1対1の人間模様を歌うような印象もあった。

ここではまだ野心や向上心みたいなものが強くて、若手らしいといえばそうである。

そんな2枚とここ数年のブレイクを経て彼らが次に何を歌うのか、というところが一つの焦点だと思うけど、より普遍性を帯びたような表現が増えている印象である。

アルバムの構成曲自体は変わらないし、野心というよりはどこか初心を忘れちゃダメだと言い聞かせるような曲もある。

”フライヤーマン”とかね。

また今回はウェディングソングと言える”Apollo 11”という今日もあるのだけど、正直ちょっと泣ける。

「愛しているよ、愛されているよ」というやりとりがなんだか非常に温もりに満ちて響くのである。


その他このアルバムで特に象徴的な感じがするのは、思い描いた未来と違う今の中にあって、そこでもがく人を描いている曲かな。

彼らのライブには、私よりも年上のおじさんとかも結構いるのだけど、実はそういうある程度の人生経験をしている人の方がこのアルバムは響くのだろうと思う。

高校生が憧れるような景色はここにはなくて、大人の色々が描かれている。

率直さは彼らの表現の核だと思っているのだけど、年をとった(といっても28とかだったと思うが)彼らだからこその表現になっているということだろう。


一番変化というか、彼らの今後向いていく方向が見て取れたような感じがしたのは、ラストの曲。

それこそTha Blue Herbも「同志」という言葉を2nd以降しばしば使うようになったと思うけど、そういうオーディエンスに語りかけるような曲があるのはちょっと意外だった。

このラストの曲は3枚で違って、1stでは母への感謝、2ndは絶対ビッグになってやるという決意、そして3rdは輪を広げていこうという感じ。

でも、別にハングアウトしようぜ、ていう話ではなくて、自分を信じて進め、というところだろう。

ここについては寧ろ若年者に向けたメッセージと思えるし、あるいは同世代以上への語りかけにも思える。

彼らなりに見える景色もそれなりに変わっていく中で見えてくるものがこうして変化として現れるのだろうね。


ライムについて書いたけど、UKのギターについても新しい演奏も。

ますます感情豊かになる表現力も増して、肘でギターを叩きながら演奏する曲もあって新機軸を見せている。

5月のライブでもやっていたのだけど、その時は打ち込みでも入れたのかと思っていたけど、肘だった。

この人ってかなり器用だよな。

元メタル系バンドだったらしい。

彼のギターだけでも十分素晴らしいので、ライブではそこも聴きどころである。


私は以前であれば彼らのような音楽って、嘘くさいような感じがして聞けなかったし聴かなかった。

でも、今は割と素直に楽しめる自分も居て、なんなら軽く感動したりもして、好んで聴いている時もあるのだから、人間というのはわからないものだ。

とはいえ、彼らの音楽については人に勧めてみたくなる。

音楽的に、表現として、好きではないという人も少なくないと思う。

それこそ嘘くさいとか、そういう思いを抱く人もいるだろう。

一方で何か1曲だけ響く、ということもあるだろうし、その1曲は多分深く突き刺さると思う。

まあ、わかんないけど、ギターとMCだけなのでそれだけダイレクトに言葉が突き刺さってくるから、好みは本当に分かれるだろうな。


日々頑張っていて、必死すぎる人は是非聞いてみてほしいアーティストである。

"Tomorrow"