音楽放談 pt.2

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独自性と野心 -Plasticzooms

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昨日は仕事終わりでPlasticzoomsのライブへ。

1月に新婦を出して、イベントなんかには出演していたが、多分単独はこの1本なんじゃないかな。

リリースパーティという位置付けで、渋谷の小さなライブハウスで行われた。

私は彼らのライブ自体2回目で、前回は全く曲も知らない中で聞いた。

当時はおそらく『Starbow』が出たあたりなんじゃないかと思う。

既に何度か書いているけど、その時の印象はThe Horrorsの1st期のイメージだった。

当時はその手の音楽にあまりアンテナを張っていなかったことと、ファンの病んでいる感がすごくてほとんどスルーしていた。

その後、前作になるEPが出たあたりで改めて音源を聞いて、その時の1stのイメージは間違っていなかった。

しかし、EPを聞いてそのあまりにポップな感じでびっくりして、それ以来音源を順次掘り下げて、今では好きなバンドの一つになっている。


彼らの音楽は80年代のNWから70年代のオリジナルパンクあたりが大きな参照点で、ヴォーカルSyoのいでたちがゴス感満載なので外見だけだと勘違いされそうだが、いわゆるヴィジュアル系的な感じではない。

音楽的にはかなりコアな部類だと思うし、実際日本ではあまり売れないタイプの音楽だろう。

今は活動拠点をドイツに移しており、日本に来るのも今回結構久しぶりだったようだ。

私も改めてちゃんとライブをみられるので、素直に楽しみでした。

たまたま外出があったのでそのまま直帰がてら寄ってきたのでした。


ライブの前に彼らの新譜について。

今年の1月に出たばかりだが、今回はタワレコでも結構プッシュされていたし、インストアイベントにも積極的に出ていた印象がある。

彼らは前作までは5人組だったと思うのだけど、今回から3人組になっている。

このバンドの表現的イニシアチブは、実質ヴォーカルのSyoが握っており、このアルバムのリリースに合わせてバンドのコンセプト自体を宣言するというあまりみないことをやっていた。

曰く、「PlasticzoomsはSyoの音楽、ファッションの表現の場として存在していく」というような話で、要するにSyoのための表現の箱として存在するというわけである。

それに賛同できなかったものが脱退したのだろう。

『Critical Factor』の時のインタビューをどこかで読んだのだけど、その時に周りを信頼することを知った、みたいなことを言っていたが、それでも表現に対しては圧倒的なセルフィッシュであったということか。

もっとも、それでも余りある才能が彼にはあったということだろう。


で、そんな新体制になって一発目のアルバムは、彼ら自身が名刺がわりという力作である。

アルバムごとに明るいカラーが目立つようになっていたけど、今回は非常にアグレッシブなアルバムになった。

彼らのルーツであるパンク的な要素がもっとも大きな柱としてあると思うけど、ダンスミュージック的な要素もNW的な要素も満載である。

1曲目の冒頭部分は個人的にはPrimal Screamの”Swastika Eyes”を思い出した。

後半ではハードなギターも入って、終盤にはダンスミュージック的なアジテーションも入るという構成で、これだけで結構上がって来る。

ある意味でこのアルバムの要素を1曲でしっかりを宣言しているような内容かもしれない。

2曲目は彼らのパンク的な色がもっとも出ている曲の一つだろう。

3曲目はちょっとMusicっぽいグルーブ感もある曲だ。

そしてリードシングルになった”Highway”は彼らのロマンティシズムがもっとも出ている曲かもしれない。

打ち込み主体のNW色の強い曲である。

このアルバムは全編通じて非常にアグレッシブさが目立つし、その中にある前作的なエレポップな曲も、ロマンティックさよりはもっと現実に向いているような印象もあって、このアルバムに向かう彼らの思いが反映されているのだろう。

ダンスミュージック的な曲も多くて、いずれにせよこれまでのアルバムの中で一番聴きやすいし広く聴かれやすい音楽だろう。

ロック好きな人もNW好きもポストパンク好きもパンク好きも是非聞いてほしいアルバムである。


さて、そんなアルバムのライブなのだけど、演奏は打ち込みと同期させながら生演奏はメンバーのギター、ベースとサポートのドラマーである。

シンプル編成なので、音的には非常にパンク的な色が強くてかっこいいのだけど、暴力的な感じがないのが彼らのパーソナリティだよね。

今回客は多分8割9割女の子(妙齢な方多め)だったのだけど、女の子が激しい曲で暴れている感じって、なんかいいよね。

普段行くライブと違う感じのノリだし、そんな空気感も面白かった。


バンドに戻すと、とにかく目を引くのはSyoである。

見た目的には線も細いし服装もスカートみたいな感じで、髪型もボブ?だからほとんど女の子にしか見えない。

なんなら仕草も何もそっち系だから、もはやオネェとかではなく女の子やんという感じ。

きっとある種の層にはたまらないのだろうなと思う。

ともあれ、フロントマンとして華があるし、やっぱり目を引くよね。

もし彼に迫られたら、断れるだろうか・・・。


それはともかく、ライブは非常にロック的というかパンク的というか、彼らのそういう部分が強く出ていて、素直にかっこよくて、曲もいいしいいライブでした。

ただ、残念なのは打ち込み部分。

せっかくならキーボードとかもメンバーがいて、そっちもちゃんと生演奏だったらもっといいのに。

それこそダンスミュージック的な要素も強い曲だから、その方がもっと良くなるはずだ。

とはいえ、アグレッシブでカッコいいライブでしたね。

裏側で映像も流していたので、照明を落としてそこをもう少し見せるのもいいと思うけどね。

これから彼らはヨーロッパツアーに出るので、次に日本に来るのは5月になるようだ。

終始楽しそうなのも非常に印象的で、そういうライブはやっぱりいいですよね。

余談だけど、外人さんの客も結構いたようだ。


日本の音楽はダメだとすぐに言い出す輩は少なくない。

だけど、彼らのように海外を拠点にして音楽だけでなくトータルでアートな活動をしている素晴らしいバンドはいるし、彼らはもっとメジャーど真ん中になってやるという野心もしっかり持っている。

流行り廃りでした音楽を聞かない(そんなものは聞いているとは思わないけど)ような奴らも多い中で、彼らのようなバンドは応援したいよね。

グダグダ抜かす暇があったら、もっとちゃんと音楽聞けよと本当に思う。

見た目に癖はあるけど、かっこいい音楽をやっている素晴らしいバンドである。

また日本に戻ってきた時にはライブも見たいよね。


"Highway"