音楽放談 pt.2

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普遍性 -R.E.M.

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今日は3月11日ということで、あちこちで地震に関して数日前からキャンペーンが催されている。

あんまりそれらを仔細に見ることはいないけど、TVで震災当時の揺れている映像とか、津波の映像とかを流していて、それはやめた方がいいよなと思いながら見ていた。

被災地の人たちの今を写すのならともかく、怖い記憶しかないトラウマ的な映像を平気で流す神経が理解できない。

それは風化させないとか、忘れないとか、そういう意図なんてなくて、たんに絵面がすごいからでしかないだろう。

当日、夜のテレビで街が津波にのまれていく映像を会社の上司の家で見たのは今でもよく覚えているが、フィクションみたいなものだった。

さすがにそれを流すところはなかったと思うけど、そういう映像と混ぜて感動っぽい感じのメッセージを投げかける姿がとても気持ち悪い。

気持ち悪さっていうのは、感情を逆なでするようなやり方にこそ発揮されるものなのかもしれないね。

今では東京はすっかり落ち着いて、別に何事もない。

被害の大きさがそれほどでもなかったのが一番だけど、それでも地震があると未だにみんな口にするから、記憶としては鮮烈なのである。

もっと大きな被害のところとは比べるべくもないけど、そういう記憶を変な触り方をするのはやめてほしいよね。


それにしても、私の中でこういう大きな出来事とか、無力感に苛まれる出来事を見たときに思い出すのがR.E.Mの曲である。

中でもあまり評価の高くない近作の曲である場合が多いのだけどね。

彼らは昔から社会的な意味のある曲も歌っているし、政治活動も活発だ。

アメリカでは選挙のキャンペーンで様々なアーティストの曲が使われるが、彼らは去年の大統領選で自分たちの曲を使うな!とどっかの候補に言っていたと思う。

それにバンドは解散しているけど、ある種の集合体として名義をもって何かいう場合もあるようだ。


で、思い出す曲っていうのは主に2曲で、1曲は『Around The Sun』に入っている"Aftermath"と、もう1曲は『Acceralate』に入っている"Living Will Is The Best Revenge"という曲である。

前者はアルバム自体リリースが9.11テロの後だったので、それがモチーフになっている。

この曲は非常に穏やかで優しい曲調だし、歌詞を読んでも寄り添うような内容である。

タイトル自体、日本語では大災害の後、みたいな感じだったと思うけど、どうしようもない不幸に襲われて、ようやく前を向き始めようとする人に向けたような曲で、聴いていてほっとする曲である。



そしてもう1曲はアルバム1曲目なのだけど、とても力強くロックな曲で、彼らのキャリアの中でもかなりアグレッシブな曲である。

このアルバムは輸入盤を買ったのできちんと全ての歌詞を読み解けていないけど、とにかく曲のタイトルが素晴らしい。

いろんな状況の中で図らずも死んでしまうこともいれば自殺してしまう人もいる。

できれば天命を全うしてというのが理想的なんだろうけど、そうも言えない事情があるのは確かにそうだろう。

でも、例えば中学生や高校生の子がいじめた奴らへの仕返しに自殺した、みたいなニュースを見るとやっぱりあんまりいい気持ちはしなくて、そんなときに特にこの曲を思い出す。

生きていることが最高のリベンジだ!というのはとても力強いメッセージだ。

綺麗事といえばそうなんだけどね。

存在している以上その事実は否定できないし、その存在を疎ましく思う奴がいるならそいつに対する一番の抗いは存在し続けることだろう。

難しいのはわかるけど、そういう精神というか、心持ちというか、それって大事ななんじゃないかなと個人的には思っている。



R.E.Mは「世界最重要ロックバンド」などと呼ばれていたが、日本では極一部の人気であった。

ロックを聴く人でも聴いたことがないという人が結構いたのではないだろうか。

彼らの曲は地味だし、びっくりするくらい派手さがない。

でも、ポップな曲はたくさんあるし、ちょっと馬鹿な感じのノーテンキさもあったり、ものすごくシリアスな曲もあったりととても多様でありながら、聴けばどの曲も彼らのそれとすぐにわかるくらい個性の確立されたバンドであった。

ちなみにアメリカ本国でも、シングルヒットはあんまりないのに数万人を平気で集めるバンドとして、とても高い人気と指示をもっている。

政治的、社会的な発言は多いけど、曲そのものや歌詞を見れば本質にあるのは優しさとか愛みたいなもので、そこにはまさに普遍性があると思う。

3.11の後、多くの日本人アーティストもこの件についての曲や発言をたくさんしているし、そこがモチーフになっている作品もあっただろうけど、不思議と私が思い出したのは彼らの曲だった。

優劣をつけるわけではないけど、そこに表現として普遍性の違いがあったのかもな、なんて思ったり。


今は解散してしまっているけど、何かにつけ改めて聴き返されてほしいと思える楽曲満載なバンドなので、是非チェックしていただきたいね。

彼らの曲には、救われることが多い。