音楽放談 pt.2

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人の影 -Foals

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たまにふっと聴きたくて仕方なくなる音楽がある。

大体の場合脈絡はないのだけど、ただ何か感情的なキューがある場合が多い。

例えばJoy DivisionNine Inch Nailsなんかは私にとってはそういう類の音楽である。

普段でも聴くには聴くけど、ある瞬間不意に聴きたくなるのである。

考えてみたら暗い音楽が多いな。

私は根暗なのだろうか。

最近のバンドの音楽で、バンドとして好きではなるがフェイバリットとまでは言えないまでも、なんとも好きなアルバムはもちろんあって、その中でも不意に聴きたくなる系の一つがFoalsの『Total Life Forever』である。


Foalsといえば、1stもシングルカットされた"Baloon"をMTVか何かでみて一発で気に入ったバンドだ。

音楽的には元々マスロック系から出発したバンドだけあって、当時はBattlesとBloc Partyの中間的な印象の音楽だったが、どこか芯をあえてずらしたような感じの音楽がかなりツボだった。

とは言っても、1stはややアルバムとしての完成度には欠けるというのが個人的な評価であった。

それでも、陽気で実力はありながらそれを素直には出さないような感じが好きだったんですがね。

で、そこからの2ndが個人的にはすごくびっくりした。

全体的にウェットで暗い感じのアルバムで、1stのイメージとはガラリと違うアルバムになっていたのである。

ジャケットも水の中に沈んでいうかのようなイメージなのだけど、まさにこのアルバムのイメージそのままである。


1曲目から綺麗で静かなギターフレーズとヴォーカルから入る。

ちょうど夜中に静かな湖畔から、水の中にまさに入る瞬間という感じで、ここまでは単純に綺麗なアルバムという感じである。

そこから心臓音のようなところから徐々に色々な音が入ってきて、盛り上がっていくわけであるが、それでも前作までの延長という感じはするのである。

ところが、このアルバムときたら徐々に沈んでいくような感じで、タイトルトラックの"Total Life Forever"以降、少しずつ沈んでいく感じで、もちろん暗いばかりではなくて、全体に綺麗な音像の曲が多い。

でも、やっぱり全体的には暗いんだよね。

ラストの"What Remain"の壮大さまでの流れが本当に秀逸である。


このアルバム前後のインタビューだったと思うのだけど、ヴォーカルのヤニスが結構根暗な人だという感じがあって、それも印象的なんだよね。

アー写だと、ちょっと独特の美大生的な佇まいだったので、シリアスな人柄な感じがすごく意外だったのだ。

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この手前に来ているパッと見そっち系の人っぽのがヤニスだ。

この写真では分かりづらいが、結構イケメンなのである。

身長は低めだ。

イギリスのバンドだが、彼自身は確かギリシャ系の移民で、幼い頃から割と疎外感を受けて育ったらしい。

フルネームはヤニス・フィリッパケスという耳馴染みしない名前なのだけど、それは彼の出自によるのだろう。

昔から周りに馴染めない思いをしていたらしく、その中で彼は彼自身を「ギーク」と語っていたのだけど、そういう暗い思いが全部滲み出たのがこのアルバムなのかなという気がする。


このアルバム以降、曲のスケールが大きくなって行って、個人的にはそこまで刺さらなくなってしまうのだけど、とはいえ相変わらず聞いているバンドだし、まだライブもみたことがないので是非観たいバンドの一つなのだけどね。

人間には誰しも陰影があるし、だからこそ人間として面白い。

なんやかんや彼らの音楽を聴くのも、そうした影がある上でなお日の当たる場所で輝こうとするその姿勢が素晴らしいと思うからである。

たまにこうして影を色濃く出すことで、バランスを取っているのかもしれない。

私も四六時中暗い話を垂れ流してはいないし、寧ろそんな話はしない。

アホっぽいと言われることの方が多いし、多分そう思っている人の方が圧倒的に多いだろうなと思う。

そういう振る舞いをしているし、どちらかといえばアホな言動が好きだからそうしているところもあるけど、だからたまにバランスを取りたくなって、その時にこういう音楽を聞いて、人のいないところに行きたくなるんだろうなと思っている。


いずれにせよ、彼らのキャリアの中ではかなり特殊なアルバムになるだろうなと思うけど、私的にはオススメなアルバムである。

"Total Life Forever"