最近女性ヴォーカルの音楽を割りと好んで聴いている。
好んで、といっても別にそればかり選んでいるわけではないけど、割合的には多いし、聴いていてなんとなく心地よいと感じるものは多い気がする。
今iPodに入れているのは、The Internet、Warpaint、Hair、Suzan、Charlotte Hatherley、ゲスト的な参加だがBlood Orangeなんかもいい曲が満載だ。
日本人だとSlayuとかPredawnがいいですね。
概して女声の方が柔らかいし、特に静かな曲だとしっくりくるように思う。
個人的に、だけどね。
といっても甲高い声で高らかに歌い上げるタイプはあまり聴かないし、そもそもそんなに激しいのは聴かないだけなんだけどね。
そんな女性アーティストの中でも一番好きと言っていいのがFesitである。
今年新譜も出して、11月には単独ツアーも決定したので非常にテンションが上がっている。
平日だけど、絶対に行きたい。
彼女を聴くようになったきっかけは、大好きなBroken Social Sceneでその声を聴いてからであった。
始めて買ったのは『You Forgot It In People』だったのだけど、このアルバムのシングルカットされた曲でヴォーカルを取っていたのは彼女であった。
透明感がありつつ少しハスキーな声がとても印象的で、この声はいいなと思ったのですね。
このアルバムに入っている曲で"Lover's Spit"という曲があり、アルバムではKevinが歌っているのだけど、そのアウトテイクなどを集めた『Bee Hives』には彼女のヴォーカルverが収録されているが、こちらの方が好きだったりする。
余談だけど、世界的に話題のLordの新譜の中に、この曲名が歌詞で登場するらしい。
アコギと声で十分だ。
バンドとして知ったのだけど、ソロもリリースしていると知ったので、当時リリースされていたのが『Remainder』というアルバムで、収録されている"1234"がiPodのCMに起用されたり、グラミーにノミネートされたりと、彼女の出世作となったアルバムでもあった。
全体的に静かで、地味といえば地味なアルバムだけど、アコースティックなだけでなくエレクトロっぽい曲やロックな曲など、結構多彩な曲が収録されており、非常に芸の細やかな曲たちで、その年の隠しの年間アルバムにも挙げられていた。
数回来日はあったものの、タイミング的に私は行けなかった。
『Reminder』は2ndで、それから後追いで1st『Let It Die』も聴いたけど、こちらもまた良曲満載。
よりしっとりとした曲も多く、より地味ではあるけど、しみるんだなこれが。
彼女の音楽は、大人の音楽というのがしっくりくる。
その次に出たのは『Metal』は、曲調やアルバム全体のトーンがややヘヴィになって、それまでの作品とはちょっと異なる感じだったね。
もちろん曲そのものは彼女らしさはあったけど、かなり方向転換を図った印象があった。
歌をそのままというよりはプロダクションとかをかなりかけたのかなと思うが。
好みで言えば、正直全2作の方が好きだったね。
で、今年4月に新譜を出したのだけど、これが気がつけば実に6年ぶりである。
その間にもライブ活動やゲストヴォーカルなんかはあったらしいが、あまり表立っていた印象はなかった。
なので、このアルバムはどんな感じかとなるわけだけど、方向性的には『Metal』と同じで、アコースティックな歌が軸ではなく、他の要素がメインにある印象であった。
1曲目はタイトルトラック"Pleasure"という曲だが、非常に前向きな曲名に反して重たい曲だ。
全体に変わった曲も多く、アウトロでいきなりハードロックな展開になる曲もあるし、前作以上にメロディアスな曲はあまりない。
歌というよりも声も楽器的に使うというところに意識を向けたような感じだろうか。
しかし聴いているとそこはかとなく心地よさがあって、なんだか不思議なアルバムである。
今のところ日本盤は出ていないので歌詞は英語で曖昧にしか拾えないのだけど、内容としてもちょっと重たい感じなのかなという感じがある。
なので、とっつきやすさという意味でも、もし始めて聴くならやはり初期2作からがおすすめだろう。
個人的にはやはり彼女の歌声をしっかり聞きたいなと思うので、初期作やBSSでの方がそこがしっかり聴けるから好きではある。
だけど、ソロ作にはなんとも言えない心地よさや、昼下がりに静かに聴いているとハマるところもあって、それはやっぱり彼女の圧倒的な声の魅力だと思う。
相変わらず派手さはないし、地味な曲が多いけど、とてもいい音楽なので、もっと聴かれてほしいですね。
"Pleasure"