音楽放談 pt.2

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伝えたいことは伝わりにくい世の中 -Broken Social Scene

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今の時代ってのは平和なのかなんなのかわからない状況にあるなといつも思う。

ごく身近な自分の日常が何か大きく変わったわけではないし、どちらかといえば前よりも過ごしやすい方向へ私的な環境は変わっている。

だけど、時代のムードとしては某国のミサイル問題もさることながら、テロとかはむしろ日常になっているし、小さな問題もあってなんとなく殺伐としている。

日本のワイドショーじゃ下らない不倫だとかそんなことに一生懸命だ。

最近は角界か。

どこかに発散できる場所を求めているようで、それが下らないことでも騒ぐ原因なのかもしれないね。


今年出たアルバムのテーマには、そういう世界に対してメッセージを発するようなものも多かったと思うし、それこそArcade Fireなんかもそうだろう。

1stアルバムはそこまで社会性は高くなかったと思うけど、2nd以降はアメリカ社会に根ざした音楽になっている。

U2を継ぐとも言われているとか言われていないとかね。

海外のアーティストは日本と比べるとそういう社会性のある歌詞を書いているバンドが大半だし、それが普通のことなので、情勢によって音楽が変わるのは当然といえば当然である。

あのNine Inch Nailsですらそうなるのだから、表現者にとっては環境ってすごく大事なんだろうね。


私も大好きなBroken Social Sceneも実に7年ぶりくらいのアルバムなんだけど、その間はメンバーも各自の活動が主になっていた。

KenvinもBrendanもソロ作を出して、1作目はBSSプレゼンツとなっていたのが、完全にソロ名義だったり、他のメンバーもそれぞれの活動に終始していた。

元々カナダではそれぞれにやっていたメンバーが集まってできたスーパーバンドみたいなものだから、それはそれで普通のことでもあったけどね。

前作『Forgiveness Rockrecord』は個人的に年間ベストだったし、各紙でも好評価をえていた。

実際曲もテーマもとても良くて、キラキラした希望なんかも感じさせる音楽で、その意味でもいいアルバムだったと思う。

その年のフジロックに来日していたのだけど、単独もなかったのでそれっきりライブもなく、気がつけばバンドとしての活動も休止状態、音沙汰もなくなっていたので寂しい気持ちだったのだけど、トランプ政権発足だったり、昨今の情勢を見る中で、彼らは集まって音楽やろうぜ、といってできたのが『Hug Of Thunder』であった。

彼らもキャリアの中で徐々に初期メンバーの参加がなくなったり、新しいメンバーもあったりという変遷もあったんだけど、このアルバムではFeistはじめ初期からのメンバーも集まったことでも話題になっていた。


音楽的には彼ららしさが全開で、それぞれの活動を反映したような痛快な音が全編を占めているし、これまでで一番アグレッシブさもあると思う。

前作のラストが静か目の曲で終わるのに対して、このアルバムではドラマチックで一番エモーショナルな曲で幕なんだけど、彼らが改めて集まって音楽をやろうとした時に一番いいたかったことってこれだったのかな、と思うわけである。

その他の曲を見ても、音楽的なところよりもよりそのメッセージ性を重視したアルバムだと感じるので、音楽誌で評価されるというよりは、時代性を表す一つのアルバムとして位置付けられるかな、という気がしている。

正直前作ほどおお!!となったかといえばそうでもなかったというところもある。

とはいえ、私は元々彼らの音楽が好きだし、ふと聴きたくなる音楽なんだよね。


音楽を聴く楽しみっていうのは、単純に聞いていて楽しくなるとか、自分のその時の気持ちや感情に共感できるとか、そういうものもあるけど、やっぱりそういうものとは違う意味で機能する部分もあるし、それによって世界の見え方が少し変わるような瞬間もあって、それがとても頼もしいような側面があると個人的には思っている。

私にとってBSSはそういう音楽だし、こういう音楽がちゃんと聞かれてほしいなと個人的にはいつも思う。

"Hug Of Thunder"