もう、夏ですね。
関東地方では史上初の6月の梅雨明けらしい。
ここ数日は何要因か知らないがやたらと風が強いのだが、空はすっかり晴れてじりじりと日差しが照りつけている。
冷房の効いた室内から飛び出すと、ムワッとした夏の暑さを感じるわけだが、この感じが私は嫌いじゃない。
むしろ毎年この感じが好きになっていく。
なんでだろう。
ともあれ、この夏の暑さってしんどいけどいいよね。
そんな夏に似合うバンドといえばTube、などではなく、Ashである。
今年新譜も出してフジロックにも出演するわけだが、このバンドはいつまでたってもどこかキラキラしていて、ロックンロールがみなぎっっているから好きだ。
しかし今時の若い子たちはきっと彼らのことは知らないだろう。
それはあまりに勿体無い。
このバンドはおっさんのバンドになるにはまだ早すぎる。
ぜひ聴いて欲しい!というわけで、この夏おすすめなAshを紹介していこう。
マジでおすすめなバンドたちの軌跡を感じてくれ!
と、いうわけでまずはこちらから。
彼らの3rdアルバム『Free All Angels』(2001年)の1曲目"Walking Barefoot"。
なんて爽やかさ。
夏になるとふいに頭の中に流れ出す1曲だ。
私にはそんな甘酸っぱい夏の思い出なんてないのに・・・。
それはともかく、なんだこのみずみずしさは。
これが彼らのカラーであって、実にいいじゃないか。
ちなみに彼らは高校生でデビューしており、時は90年代、UKではブリットポップ、アメリカではグランジ・オルタナが全盛の時代であるが、特にヴォーカルのTimはNirvanaの大ファンで、かの有名なKurtのシマシマのセーターをファンから買ったシーンを目撃したというのは彼の十八番だ。
ん?よくみると女性メンバーがいるぞ?しかも美人だ。
と、そんなことが気になったあなたに聞いてほしいのがこの曲だ。
アルバムには未収録の"Envy"、ここでコーラスもギターもやりながらめっちゃ出てくる美人はCharlotte Hetherleyだ。
オリジナルメンバーはさえない野郎3人だが、2ndの頃に追加で加入。
ん~、美しい。
しかもXTC、David Bowieのファンとあって、実は結構トリッキーなギターを引いている。
それをイントロから感じさせてくれるのがこの曲。
こちらも3rd収録の"Burn Baby Burn"。
イントロのシャーロットのギターからTimのギターが絡んでいく展開も最高だ。
夏を、感じないかい?
ちなみに彼らはある日本のバンドともとても信仰が深い。
それを示すのがこの曲だ。
記念すべき1stアルバム『1977』(1996年)収録のその名も"Kung-Fu"。
高校生らしい若さと馬鹿さを兼ね備えた素敵な1曲だ。
すでに気づいているだろうが、信仰のあるバンドはもちろんアジカンだ。
彼らの主催したNano-Mugen Fesにもよく出演していた。
ただ、本当のことを言うと、この曲とアジカンは全然関係ない。
曲を聴いてもらえれば分かるだろうが、単にジャッキーチェンのファンだっただけだ。
そんな彼らのキャリアの中でもひときわアグレッシブだった頃の曲がこれだ。
4thアルバム『Meltdown』(2004年)収録の”Orpheus”。
イントロのギターからグレッシブ全開だ。
しかし、悲しいことにこのアルバムリリース後間もなくシャーロットは脱退してソロアーティストとしてやっていくことに。
ちなみに、私はシャーロットが先でそこからAshも聴くようになったんだけど、当時のシャーロットは本当に、綺麗でした。
今でも素敵ですけどね。
そんなシャーロットのソロはこんな感じ。
Ashの4thとほぼ同じくらいのタイミングでリリースされた彼女のソロ1st『Gray Will Fade』(2004年)から"Summer"。
Ashとはまた違った彼女の影響元バリバリの音楽で、私にはこっちのがツボだったりして。
昨年アルバムも出しており、着実にキャリアを積んでいる。
日本にも来てくれ。
ソロ作でいえば、実はヴォーカルのTimもリリースしている。
Ashでもほぼ9割9分彼が曲を書いているので、むしろ出さない方が不思議なくらいだけど、ソロ作もこれまたいい曲揃いだった。
ソロアルバム『Lost Domain』から"Vigil"。
彼のソロ作は、歌詞含めて非常にパーソナルなので、どちらかといえば冬に似合う曲の方が多いと個人的には思っているけど、でもいい曲なので、バンド同様おすすめである。
そんな彼らは、いっとき面白いチャレンジをしていた。
時はまだSpotifyのようなストリーミングが出てくるちょっと前くらいのタイミングなんだけど、世の赤的にDLで音楽を聴くことが主流になりつつある時代にあって、アルバムという形態自体に疑義が生じていた頃だ。
かのスマパンのビリーも「もうアルバム作らない!」とか言い出していた時代である。
彼らもそんな意識を持っていて、アルバムという形態にこだわらないリリースを行なった。
毎週1曲新曲を配信していくという、非常にストイックな企画で、最終的に50曲以上に及ぶ曲を世にはなった。
その時の曲は『AtoZ』(2009年)というタイトルでパッケージされており、もれなくいい曲。
これまでのバンドアレンジのみならず、打ち込みなんかも取り入れていたので、単純にバラエティ豊かで聞き応えも満載だ。
その中の1曲がこちら、"True Love 1980"。
打ち込みのぴこぴこ音もなんだか可愛らしい感じで、いい曲だ。
余談だが、このシリーズの日本盤にはボーナストラックが収録されており、しかも日本でPVも撮影されている。
その曲名もズバリ”kamakura”である。
彼等は今でも元気だろうか。
それはともかく、聞いているだけでなんだか楽しい気分にさせてくれる曲だ。
彼等は親日家でもあるんですね。
そんな彼等は今年も新譜『Island』(2018年)をリリースしており、フジロックへの出演も決まっている。
最新作は1st的な感じの強いアルバムで、原点回帰などと言われているが、そんな懐古趣味的な批評はさておいて、やっぱり聴いていて爽やかな気分になるし、こんな季節に聴いているとやっぱり元気になる。
相変わらずいい曲を書くバンドだなと、聴いていて思わずニコニコしてしまう。
しかし、やっぱりこの純粋さというのはロックにおいて一つの重要な条件だと個人的には思っていて、彼等にはそれがずっとあるのである。
まだ聴いたことないよ、という人は、ぜひ今からでも聴いてみてほしい。
この感覚には普遍性があるはずである。
最後には、1stアルバムから、彼等をスターダムに押し上げた代表曲を。
彼女は火星から来たんだ!なんていう突飛な歌詞には、恋のざわめきやいてもたってもいられなさが込められているのではないだろうか。
高校生という彼等の世代的な意味でも、なんだか可愛らしくもあり素敵な1曲だ。
Ashはまだまだこれからだぜ!