音楽放談 pt.2

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綺麗事では生きられない -The Novembers

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自分でも不思議だと感じることがあるんだけど、聴いていて好きな感じだなと思うものとそうではないものがやっぱり存在する。

割と耳心地は似ていても、なんだかピンとこない音楽ってあって、いまだに明確に自分の中で線引きはできていないけど、少なくともKana-Boon的な感じとか、ロキノンでよく取り上げられるようなバンドは尽く好みじゃない。

明るくて、演奏もうまいし、ポップだし、別に嫌う理由はないけど、なんか苦手と感じてしまうのである。

割とその辺の音楽は友人から借りられるので、図らずもあれこれと聴けるんだけど、ピンとくるものって少ないんだよな。

一方で自分の好きな音楽を参照して見ると、一言で言って暗い音楽が多い。

暗いというと語弊があるけど、少なくとも明るくハッピーでパーティーチックではない。

気がつけばそういった音楽ばかり集めてしまうので、自分にとっての普通のラインがどうもずれているらしく、人と話をする時にも一般的で無難な回答がわからずに呻吟するということがしばしばある。

「どんな音楽聴くの?」というのは一番聴かれたくない質問の一つだ。

ちょうどいい回答がいまだに見つかっていない。


何度かこのブログでは書いているんだけど、今日出かけにThe Novembersを聴きながら、かっこいいなとか思っていたんだけど、そこではたとそんなことを思ったんですね。

聴いていたのは『Zeitgeist』というアルバムで、比較的最近のアルバムではあるんだけど、冒頭の曲などもろDownyな感じだが、後半に行くに従って彼ららしさ前回となって行く。

今でもライブ定番の"鉄の夢"も収録されているわけだが、この曲には私の個人的にささやかな思い出が。

どこか小さなライブハウスで、mouse on the keysと対バンで彼らが出ていた。

当時はまだそこまで聴いておらず、マウス目当てでそのライブへも足を運んだ。

彼らが先の出番だったのだけど、確かその時にこの曲も演奏されたんだけど、この曲のサビの部分でヴォーカルの小林くんが絶叫するパートがあるわけだが、そこで来ていた外人さんが口を押さえて笑うようなことがあった。

なぜかそれを今でも鮮明に覚えていて、正直私も初めは彼のそうした表現が受け付けないところがあった。

当時は金髪ロン毛で、ファンも全身真っ黒なザ・メンヘラみたいな子が多かったのよ。

バンドの音楽自体よりもそのファン層を見て引いてしまったというのが当時の自分なんだけど、それは今にして思えばある種の同族嫌悪に近かったのかもしれない。

だって、今ではよく聴くバンドの一つだし、単独ライブにも足を運んでいる。

ドキュメンタリー兼ライブDVDも買ってしまったしね。

私、暗い音楽好きなんですよね。

いや、暗いというと語弊があって、人生を楽観的に過ごせないような真剣さというか、シリアスさみたいなものを感じる音楽が好きなのである。

人生の価値観として根幹にあるのは、それでもやるしかないということで、それはある種のポジティブさと言えると思うんだけど、どこかで人生のやるせなさみたいなものを捨てきれなくて、それを感じる音楽ってどうしても好きなんですよ。

人生に絶望していて、もう死にたい・・・とか言っている音楽ではなくて、それでも必死に生きてます、みたいな音楽なんですよ。

人に話したり、言葉にするとネガティブ全開に取られてしまうので人にはなかなか言えないけど、私のような人間にはそれが救いになるのかもしれない。


基本的に人生を肯定できないし、自分の好きになれないし、かといって嫌いにもなれないというなんとも言えない中で人生を過ごしている私のような人間には、こういう音楽につい共感してしまうのである。

もっとも、作っている当人たちがどう思っているかはもちろん別の話だし、彼らにしたら希望に溢れた音楽を作っているつもりかもしれない。

だけど、やっぱり基本的には暗いし、自尊心や自信の塊のような人には決して響くことがない音楽だろう。

だからこそ、彼らのことを好きになったんだろうね。

ちなみに最新作『Hallelijah』は、かなりポジティブなフィーリングに溢れていて、しかもそれが根本から出ている感じがするから、聴いていてどこか救われる気さえする、彼らの最高傑作といって差し支えないアルバムだ。


人生に求めるものはその瞬間の中途半端な安心感じゃなくて、本当に自分の人生に寄り添ってくれるような感覚だ。

それを感じさせてくれる音楽に出会えることは、とても幸せなことだと思う。

"鉄の夢”