音楽放談 pt.2

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円熟してもプログレ -King Crimson

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昨夜は仕事帰りにKing Crimsonの来日ライブへ。

27日から始まっており、東京では追加公演含めて全6回、大阪、名古屋、福岡だけでなく北海道、仙台、金沢、広島など日本各地を1ヶ月かけて回るという大きなツアー。

このキャリアのこのレベルのバンドがこうして全国を回るというのは、今時ではかなり異例だろう。

もっとも、彼らは東京ドームでやるような音楽性ではないので、むしろこうしたホールツアーの方がじっくり彼らの音楽を堪能できるというものだろう。

ファンの年齢層も高めなので、経済面を考えても会場のキャパなどは最適なんだろうけど、しかし首謀者のRobert Frippはもう70歳を超えている。

なにせあのBeatlesとほぼ同世代。

メンバーも同様に60は超えているだろう。

この歳でこんな島国の全国ツアーを回るのだ。

全公演2部制とはいえ、昨日も1部が1時間半ほど、20分の休憩を挟んでさらにアンコール含めて1時間弱と、かなりの長丁場。

これを東京では三日連続でやっているのだ。

恐ろしい体力である。


私がクリムゾンを聞くようになったのは高校生の頃のことだ。

まだ洋楽はビートルズしか聴いたことがなかったし、音楽自体もそんなにまだ聴いていない頃。

手にしたのは顔面のジャケットで有名な『In The Court Of The Crimson King(通称宮殿)』であっった。

当時よく聴いていた音楽はLuna SeaとかGlayとか、いわゆるビジュアル系ロックが全盛だったのでそういうものに馴染んだ耳には、この音楽はなんだこれ?というのが正直なところだった。

ただ、当時は中二病全開みたいな時期だったから、大仰で世紀末的な歌詞、1曲目のタイトル"21st Century Schizoid Man(邦題:21世紀の精神異常者)"というのでなんだか気に入ってしまったのだった。

こういう音楽があるのか、というのも大きな発見だったし、これをきっかけにPink FloydやYesなど、プログレ四天王などと呼ばれていたバンドは聴いてみたものだ。

その後プログレ自体はそれほど掘り下げることなく90年代オルタナに没入していったので、結論同じプログレとして括られていた音楽自体がそこまで好きだったわけではないんだろう。

しかし、今に至るもクリムゾンだけはずっと聴いていて、ちょこちょとアルバムを買っている。

一番好きなアルバムは『Lark's Tongues In Aspik』、でも『Red』の哀愁もいいよね。

『Discipline』はまたちょっと違う感じでかっこいいし、『Thruck』の重厚さもすごい。

最近のアルバムはほとんど聴けていないんだけど、友達で1人クリムゾン大好きな人がいるから、彼からも色々オススメを聞いている。

69年にデビューしていまだにアルバムを出し続けているし、キャリアごとに音楽性も変えているから、各年代ごとに様々な評価をされているため、多分オタク気質な人ほどクリムゾンは好きではないかと思っている。

そうした探究心みたいなものもすごいけど、何よりすごいのはやはりバリバリの現役であるということ。

ライブ編成もデビュー当時とは異なり、今はトリプルドラムを前に据えた8人の大編成になっており、過去のヒット曲を演奏するだけではなくて、アレンジも変えているし、元々インプロ(即興)的な要素もかなり多い音楽なので、毎回異なる演奏を見せてくる。

さらに今回のツアーではセットリストも毎回違うという攻めた公演だ。

チケット代は16,000円と安くない、ていうか高いので全部行くのは流石に厳しいわけだが、自分が言っていない日のセットリストを見ては、「マジか!」と驚いてみたり、だからこそ自分が行く日が楽しみになる。

ちなみに、29日のライブでは日本初披露となる曲も演奏されたらしく、くだんの友人はほぞを噛んでいた。


私は昨日の公演に行ったのだけど、やっぱり代表曲は聴きたい、そんな想いには6割は答えてくれるものであった。

"21st Century~"、”Starless”、”Epitaph”、"Easy Money""宮殿"など、初期代表曲は演奏してくれた。

スタートは"Descipline"、トニー・レヴィンのスティックがイカす。

トリプルドラムの音圧も凄まじく、しばしばドラムインプロが展開されるなど、今のクリムゾンはやっぱりこのドラムが大きな要素になっているらしい。

私はドラムの音って大好きなので、この編成は好きですね。

だいたいなんだ、トリプルドラムって。

ドラマー3人がお互いに目配せをしながら展開するのがかっこよかったね。

ステージセットはドラム3人が前にいて、1段高いところでフリップ始めギター/Vo、キーボード、トニー、管楽器と並んでいたんだけど、ドラマーが頑張っている間は座って静かに見守っているという構図もなんだか面白かった。

流石に年だから、自分の出番以外は椅子に座っている。

ちなみにフリップはずっと座っている。

演奏はまさに円熟というか、プレイヤーとしては凄腕ばかりだろうから、安定感は抜群。

若くもない分前のめり感とか、そういう熱量みたいなものはないんだけど、それを補って余りある迫力である。

音楽って面白いよね。


私は割と初期作中心に聴いていたので、最近のアルバムは聴けていないんだけど、昔よりもドラムが大きい分力強さとか、メロディよりもビートとかポリリズム的な要素が強いのかな、という印象だった。

歌メロはあんまり変わらないし、このフレーズてクリムゾン、ていうかフリップっぽいフレーズなんだろうな、なんていうことが聴いて取れてそれも面白い。

歳をとってなお新しいことをやろうとする彼らこそ、まさにプログレッシブロックバンドと呼ぶにふさわしいよね。

12月の公演にも、もう1回みたいけど、高いんだよな。。。

まあ、その価値は間違いなくあるから、老人向けの懐メロなんてとんでもない、ぜひちょっとでも興味があれば、生でみておいた方がいいバンドである。