
一部ファンにとっては不定期定番となったこのイベントだが、まだまだ大きなうねりには繋がっていない。
このイベントは、価値観の共有を感じたThe Novembers、Plasticzooms、Lillies and Remainsの3バ
ンドの対バンイベントである。
はじめた当時は確かオールナイトだったり、他のバンドの出たりと幾分幅があったが、この3バンドの楽しみのために開催している印象だ。
不定期ながらすでに何回か開催しており、今年はなんと2回目。
ライブ不精なリリーズに至っては、ライブ自体ここでしかやっていないのではないか、という状態だ。
ともあれ、今回についてはおそらくPlasticzoomsのギター、トムが脱退するため、最後にやろうぜ!的な感じだったのかなと思っている。
実際出演順も、ノベンバ→リリーズ→プラズーという並びで、イベントで初のアンコールもあった。
さておき、私はこの3バンドとも好きなので非常に嬉しいわけだけど、こうして連続して聞いてみるとやっぱり音楽的なところではそれぞれに色が違って、そんな彼らが何かのシンパシーを感じてやっているのが面白い。
ノベンバはまさにドンズバなNW、ポストパンクなんだけどね。
共通点みたいなところは、そのモノクロームな雰囲気かもしれない。
とはいえ、特にノベンバは目下最新作では鮮やかに色づいたような音楽になっており、一皮向けた感があった。
そのせいもあって、彼らは少し異なる印象を受けるけど、このライブではカバー曲も披露され、最近の定番でもあるA-HAの"Take On Me"はじめ、Suecideの”Gohst Rider"なども演奏。
彼らのアレンジはダウナーでダウンテンポにされるんだけど、最近は救済感が強い印象だ。
小林くんのファルセットもますますよく響いているので、バンドとしても脂が乗っているんだろうな。
ライブではシューゲイザー的なギターノイズが目一杯広がってくるので、かなり爆音で気持ちいい。
"黒い虹"
続いてはライブ自体久しぶりすぎなLillies and Remains。
個人的には彼らの音楽が本当に好きで仕方ない。
私は大学生の頃に80年代的な音楽にどハマりして、今でも大好きなんだけど、そんな時代の音楽のエッセンスを現役ばりばりで鳴らしているのが彼らである。
古臭いとか時代遅れ感なんていうものは全くなくて、ロックならではのダイナミックさとかキレとか実に素晴らしい。
リフが印象的な音楽なので、どちらかといえば洋楽的な曲の作りになっているが、海外からも評価されるくらいその音楽性は抜群だ。
彼らはこのイベントでも割とマイペースに演奏しており、幾分のセットリストの入れ替えはあるものの概ね代表的な曲を演奏するライブであった。
で、ここでファンには嬉しいアナウンスが。
来年3月に単独を行うことを発表、さらに何かやると宣言しているので、新作の報も近々聞けるかもしれない。
"I Survive"
ラストはPlasticzooms、昨年からメンバーの脱退が相次いでいるが、ついにギタリストも。
今後メンバーとしてはヴォーカルとベースの2人にライブではサポートを迎えてになるだろう。
もともと打ち込みも多い楽曲だけど、最近ではそれは打ち込みにしているので、正直メンバーにシンセは入れてほしい。
いい曲もあるのに全然演奏されないのだ。
とはいえ、彼らはパンク的なバックも強いみたいなので、ライブではそうした肉体性を重視しているのか。
ちなみに、ヴォーカルのShoは他のバンドよりもわかりやすく煽るようなMCをしたり、専業ヴォーカルなのでよく動いている。
前方の女の子ファンが手を振りながら盛り上がっている姿が散見された。
ただ、概して内向きなファンの多いバンドなので、そこまでうわーっとなるかといえばそうでもなかったわけだが、多分みんな楽しんでいたと思う。
珍しくアンコールもあったんだけど、最後までお客さん残ってたしね。
彼らはニューロマっぽさもあるから、カバー曲だけど定番化した曲も実に良かったね。
すでに2人体制を前提にした曲作りも始めているようなので、近々こちらも何かしらの音源が出るかもしれない。
"To Cut A Long Story Short"
ところで、前回にこのイベントに来た時も同じことを思ったのだけど、正直今は対バンイベント以上の体裁にはなっていなくて、ただ3つのバンドが順番に演奏しているだけという状態。
ノベンバあたりはあえてカバー多めのセットリストを組むなど、色をつけようとしている感じはあるけど、全体としてはやっぱりちょっと寂しい。
毎回バンドメンバーをシャッフルしてのセッションがあるとか、あるいはリプリゼントしようとすることをわかりやすく示す仕掛けとか、もっとイベントとしての特色が出せるともっといいのに。
私は3バンドとも好きなので、こうして一連で見られるだけで嬉しいのは間違いないけど、なんとなく勿体無い思いもするのである。
ぜひイベンターや企画の強い人と共同することで、もっと面白い広がりになるかもしれないのに。
それこそAfterhourほどでなくても、もっとイベントとして大きな扱いになるくらいのものになれば、これが入り口になって多様な音楽を紹介する入り口にもなるのになと思うのであった。