人と話をしていて面白いなと思うのは、やっぱりいろんな人がいるというところだろう。
誰しも相手によって態度を変えているわけだが、それを観察するのが私は趣味みたいなものなのだけど、仕事でもプライベートでも多角的に人を観ている。
あの人と話す時はこう、この人と話す時にはこうと、いろんな人と接している姿を見てその人の人間性を透かしてみようと試みるわけだ。
それをやりすぎて、少なくとも仕事場では常に人と一定の距離を保つようになってしまったが、一方でその上でこいつは信用できそうだなというのがわかれば楽に接せられるわけだが、我ながら嫌な性分だと思う。
第1印象が常に正しいとは限らないし、表に見えているのはごく一部でしかないというのはよくある話だ。
さて、リリースされたのは昨年だが、購入したのが比較的最近なので聴いている中で気に入っているのがDirty Projectorsの『Lamp Lit Rose』。
ここ2作は暗めの重たいトーンのアルバムが続き、その間にメンバーがほぼ全員脱退、残ったのは首謀者たるデイブのみとなっていた。
もともと彼1人で始めたプロジェクトなので、元の鞘に戻ったといえばそうであるが、作品に参加している人数や種類は随分多様化しているだろう。
なんだかんだバンドとして組んでもいるし、元メンバーで恋人でもあったアンバーも参加しているので、よりフリーフォームのプロジェクトになっている感じだ。
昨年のフジロックで久しぶりの来日もあり、全国配信されたライブ映像を見たけど、変わらず良かったね。
彼らの音楽の特徴は、非常に複雑でアヴァンギャルドな曲と、多重コーラスである。
今作でも遺憾無く発揮されており、彼らが注目されるきっかけになった『Bitta Orca』の方向性で、非常に明るくあっけらかんとしているというか、能天気とすらいえる感じがある。
この感じが私は大好きなのだけど、改めて歌詞を見るとめちゃくちゃ情報量が多いと気づいた。
確かに何かしらずっと歌っているんだけど、音楽自体が面白いのでどっちかというとあくまで音楽的な一部として聴いていて、その側面はあるにしても歌として聞くという感じではしていなかった。
だが、こうして歌詞もちゃんと読んでみると、現代社会に対する啓発的な内容もあり、ラブソングもあり、ちょっとウェットな内容もあったりと、実は音楽の印象から受け取るほど明るくもないのである。
これまで洋盤ばかり買っていたので、ちゃんと歌詞って読んだことなかったわけだけど、かなり観念的な言葉で、直接的に何かをいうというよりは断片的だったりもするので、これを考えてみるのも面白いかもしれないなどと思いつつも、ともあれまずこの耳に入ってくる音楽は、ちょうど今の暖かい時期にもぴったりな陽気さがある。
かなり特徴的でもあるので、聞く人をちょっと選ぶのかもしれないけど、こんな音楽もあるんだといういい例だろう。