音楽放談 pt.2

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言葉の視点の取り方 -Bright Eyes

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昨夜は会社の中のいいやつらと飲んだ。

1人がついこの間結婚したので、ささやかだけどのその祝いも兼ねてであった。

タバコを吸うやつで、金遣いが荒いので安い居酒屋で、もう1人のやつと金を出してタバコを1カートンプレゼント。

大したものじゃないけど、大仰にするよりはいいかなと思ってね。

幸い彼も喜んでくれて、楽しく飲めたのが良かったな。

ちょっと飲みすぎて、さっきまで酒が残っていたがようやく抜けてきたところだ。

大声で喋っていたので声も枯れていたけど、ああいう時間はなんだかいいね。

今仕事の状況は正直しんどいけど、その関わりの中にあるささやかな時間である。


さて、この間久しぶりに実家に帰った際、父親の運転する車の中でずっと流れていたのが井上陽水だった。

父親は70~80年代くらいの日本の音楽を好んで聞いていたので、昔から陽水始め、吉田拓郎松山千春といったフォークから、キャロルなどのようなロックンロールも流れていたな。

子供の頃はさして意識することもなく聞き流していたが、改めて聞いていてふと歌詞がやけに意識されていることに気がついた。

2枚組のベストアルバムだったようだが、知っている曲もあればそうでない曲もあるし、サビだけ知っている曲やばっちり歌えるくらいの曲と様々なわけだが、思った以上に暗い曲多いなということと、非常にシニカルというか、どこかひねくれた視点で現代的な感じのする歌詞が多いということをふと思ったのである。

有名なのは”傘”という曲だが、この曲はラブソングだと思うけどめちゃくちゃ暗いし、冒頭も「都会では若者の自殺が増えている」と始まる。

そんなことより傘がない、君に会いに行かなくちゃ、と続くわけだが、多分この主人公は結果雨に濡れたくないから会いには行かんかったのではないかという気がする。


それはともかく、そうした社会問題とされる事象を見ながらも、好きなあなたに会いたいと思って、それしか考えられない、これはいいことだろ?と誰にか知らないが問いかけている。

ともすれば自分勝手、自己中心的と社会正義を振りかざした奴らに批判されそうな心模様である一方で、実際はほとんどの人がそう思っているはずである。

別に自殺に限らず遠くの国の戦争の知らせもそうだろう。

何万人が被害に遭ったと聞いて、その瞬間かわいそうにとか思うわけだが、次の瞬間は自分の現実に向き直っている。

こういう切り替え方というか、世間的に問題とされるようなお題目をドンと持ってきて、その後すぐにそれはともかく、みたいな展開が陽水の曲には結構多いのかなと思ったのである。

しばらくずっと歌詞を聞きながら、面白いなと思って、とりあえずSpotifyで聞いている。


陽水に限らず、テレビ番組でも昔の音楽を紹介したり分析したりしている番組が好きでよく見るんだけど、昔何気なく聞いていた曲でも改めて聞いてみると面白い曲だなと感じるものはたくさんある。

そもそも曲の歌詞についてあれこれ考えるということ自体、割と最近になって覚えた楽しみ方なんだけど、昨日はなぜか急に”おさかな天国”が頭の中に流れ出して、止まらなくなってしまった。


中学生くらいの頃に流行ったと思うんだけど、教育番組から流行った曲なので、特に一生懸命聞くこともなかったけど、この曲も歌詞もなかなか面白いのである。

ずっとダジャレで海産物の名前を上げていくだけなんだけど、おさかな天国と言いながらおさかな以外が安易に登場してくる。

いか、たこ、かになどに止まらず、ホタテ、あさりなど、魚だけでももっといっぱいいただろと思うわけだが、割と後半に行くに従って魚以外が頻繁に登場するイメージだ。

実際に日常生活で食べられる魚の種類ってそんなにないから、歌として成り立たせようと思った時に食べられない魚は入れられないし、かといって少なすぎると歌として困る、というはてだったのだろう。
仕方なくそのほかをぶち込んだのだろうなと思うが、改めて歌詞を読むとそんな苦悩が見えてくるようだ。

・・・そうでもないか。

もともと子供は魚が苦手がち、というところにさしておさかな食べましょうね!という狙いのはずで、だから曲のタイトルも”おさかな天国”というわけだし、サビ後のメロでも「さあさみんなで魚を食べよう、魚が僕らを待っている」と歌われている。

おさかな側の立場に立ったら天国どころか地獄だよな。

実に人間主体のエゴイスティックな歌である。


歌詞については、やはり日本語の歌の方がその意味内容について強く意識されるのは母国語であるがゆえに仕方ないことだが、英語の曲でも歌詞の翻訳を読む中で好きな歌詞は当然あるし、それがきっかけで好きになったアーティストもいるから、音楽の構成要素としてはとても大事だよね。

で、事あるごとになんとなく思い出す曲があるのだけど、それがBright Eyesの"First Day Of My Life"という曲。

有り体な言葉で言えば、運命の出会いということになるんだろうけど、その心情をとても綺麗に描いていると思う。

彼女と出遭ったその日を「今日が僕の生まれた日」と歌うわけだが、その中で相手の言葉として歌われる「あなたに会うまで死ななくてよかった」というのも奥行きを出すのに効果的に作用しているように感じる。

この主人公はきっとこれまで何かしらトラウマティックな体験や、傷心の中にあったのだろうなと思うわけだが、相手も同じように何かに打ちひしがれていたのかもしれない。

最後は「僕は、君が好きでいてくれると信じられるんだ」みたいな言葉で締められるのだけど、これは実に幸福なことだと思うわけだ。

人の幸せにおいて大事なことは、自分がそう思えることで、ただ思っているだけではなくてそれに疑いを持たないことだと思っている。

あまりジメジメしたしつこさや重たさはなくて、あくまでモノローグのように語られるので、この曲の歌詞はとても綺麗だし、素晴らしいなと感じるのだ。

何よりBright Eyes、コナーの歌声がとても柔らかくて、かすかに震えるような感じがより味を出しているのは間違いないだろう。

ちなみに、歌い方というのも、最近注視しているポイントである。

音楽ってのは面白いよね。