ニューエキセントリック、なんて言葉がここ最近の若手バンドを括る言葉として、NMEだかにより作られた。
メディアはいかに時代の核を捉えるかが、そのレベルを表す指標にもなるからあれこれ考えるんだけど、でもそういう括り方がどんどん無意味に、しかも世の中的にも無関心になりつつあるように思うんだけど。
それはともかく、昔の音楽性を現代的にアップデートさせることで却って新鮮さを感じられたリバイバルの後のこの流れは、ロックが次の時代に入ったまさにその証左のような気がせられる。
合い言葉は「変が普通」て感じかな。
そうした音楽的に強烈な個性を持っているバンドたちに比べると、ややかすれて見えてしまうのが、Nine Black Alps。
音をちょっと聴いた分だと「Nirvanaじゃん」という人は決して少なくないどころか、ほとんどがそう思うんじゃなかろうか。
ダイナミックなギターに、ポップでややセンチメンタルなメロディ。
非常にアメリカ的な匂いを感じてしまうが、イギリスのバンドである。
音的にはアメリカであるが、歌詞を見るとイギリス的かな、と思うんだけど、そうでもないかな、まあいいや。
基本的にはラヴソングなんだけど、失恋系が多いような気がする。
画像の奴は彼らの2ndで、07年に出たアルバムである。
私はこのアルバムが最初に聴いたアルバムだったんだけど、やっぱり第1印象はニルヴァーナっぽいかな、であった。
でも、聴いていると、違うなと思うようになる。
確かに大きくみると共通項はあるんだけど、それはあくまで表面的なことなんだろうと思う。
じゃあ何が違うねん、というと、それをきれいに表すことは出来ないのが悔しいのであるが、別にニルヴァーナを真似しようとしているわけではないはずである。
影響を受けたから必然的にそれが反映されているだけ、みたいな。
世界中になんちゃってニルヴァーナはいるわけであるが、彼らは別にそれにあこがれてやっているわけではないんだと思う。
まあそれに、何のかんの言っても曲がよければグダグダ言うこと自体がナンセンスだよ。
彼らの曲は概して甘酸っぱいような、青春の香りがする(自分で書いてやや恥ずかしいが)。
傷心な心模様を描いたような歌詞が(英語だけど)そう思わせるのか、よくわからないけど。
"Painless"という曲はまさにそういう曲である。
「お前の写真を壁からはずした」というフレーズで始まるわけであるが、恋愛におけるすれ違いとかがテーマになっているのかな。
愛の名の下にあればどんなことも大丈夫、とか思ってたのに、実際はうまくいかなかった、とか言うことかと思うんだが、まあ私自身あんまり色恋事を好んで語ることをしないので、そういう方面に関するヴォキャブラリーはさらに少なくてね。
寂しい人生なんですよ。
まあそれはともかく、彼らのラヴソングはそうい傾向が強いように思う。
ただ、視点としてあくまで自分の中での出来事であり、ややいいわけ臭いほど俺はこう思ってたんだけどな、みたいなモノローグ的な語り口は、聴いていて(読んでみて)いやな気分がしない。
得てしてラヴソングというと、盲目的な自分の愛をこの世の至高のものだといわんばかりに押し付けようとするようなものが多く、その裏にはベトベトしい自己愛がはびこっているようで気持ち悪いんだけど、そう言うのはないんだよね。
まあ彼らも自己愛であるには変わりないし、それは避けようもないもので、逆にそれがないところには他社への愛情だってないと思うんだけど、要はそこに変な盲目さがあるかないかの問題である。
ちょっと女々しいっちゃあそうかもしれない。
でも、そう言うところにひょっとしたら思春期的な匂いを感じるのかもしれないね。
そろそろ同じことの繰り返しになりそうなので、締めようかしら、と思うのだが、あんまり曲について書いてないね。
でも、割とストレートな音だと思うし、単純に聴いていいじゃん、と思えるわかりやすさもある。
詞に関しても、テーマ自体は普遍的であるし、同時に視点はあくまで個人であるので必然的に個性も生じている。
それに、こういうアメリカ的な音がイギリスで生まれてるというそれ自体が結構特異な印象を与えているバンドである。
はっきり言って派手さはないけど、いい曲で、かっこよくて、口ずさみたくなるメロディもあるので、あんまり知られてないから、とか、売れてないから、という理由で聴かないのはもったいないバンドである。
これは素直にお勧めできる音楽ですよ。