なぜかよくわからないけど、Joy Divisionが好きである。
音楽であったり、詩の世界であったり、もちろん挙げようと思えば好きな要素は挙げられるんだけど、もっと根本的というか、なにかもっと深いところで強い共感のような感情を覚える。
彼らの音楽を聞きながらいると、なぜかすごく自分が馴染むような感覚がする。
なんと言ってよいかわからないが、存在を肯定されているような感覚というべきかもしれない。
そんなJoy Divisionは、最近関連映像なども多数リリースされており、うれしいことである。
また、映画「Control」の公開記念とてアルバムがすべてライヴ音源付きで再発されたりして、結構悔しい思いもした。
なぜなら既に持っていたから。
ところが、一つだけ持っていなかったやつがあった。
それが「Still」という、ベスト的なアルバムである。
単純にベスト盤てあまり好きじゃないから、無条件でスルーしちゃってたんだけど、よく見たらオリジナルに入ってない曲が多数収録されている。
しかも、Warsaw名義で発表された音源に収録の曲がJD名義で収録されており、よりパンクなJDが聞けるという、実はかなり重要なアルバムであったのだ。
私はアホです。
さて、このアルバムでは多くの人が印象として抱いているダークなフィーリングから、先にも述べた勢いのあるよりパンクな感じまで、一枚でJDを俯瞰できる非常に秀逸な1枚である。
1曲目"Exercise One"はダークなフィーリングのする曲である。
静かに、そこを這うような始まりで、いかにもJD。
続く2曲目"Ice Age"はWarsawにも収録のパンクな曲。
ダンサブルでアグレッシヴなJDが聴ける。
大好きな曲である。
めちゃくちゃかっこいいよ。
このアルバムでは比較的初期の曲が多いせいか、やはりパンク的な曲が多い。
こうして並ぶと、結構Damndな影響である。
「Substance」1曲目の”Warsaw”なんかもそうなんだけど、直接的にはピストルズに影響されたことが大きいというのが有名な話であるが、音楽的にはダムドっぽいんだよね。
で、そんな中でもやはり出色のできなのが”Dead Souls”であろう。
NINがこの曲をカバーしているのであるが、実はそれがきっかけでこのバンドを聴くようになった。
YouTubeなどでもライヴ映像が観られる彼らの代表曲の一つといえる曲である。
「Keep on Calling Me」というさびのフレーズが印象的なこの曲は、かっこいいぞ。
漠然とした不安感を歌ったような歌詞も、なんか好きだね。
彼らの曲は結構文学的で、暗いけど美しさのあるものが多いのも魅力である。
そしてオリジナル未収録曲では最後の”Sister Ray”はThe Velvet Undergroundのカバーである。
かねてよりイアン・カーティスは彼らのファンであるというのも有名であるが、このカバーはオリジナルよりも聴きやすい、というとやや語弊があるが、ある種若さのあるアレンジでかっこいい。
オリジナルはアルバムのトーンも手伝ってすごくダーティな印象なのよ。
後はライヴ音源が入っているため、これもまた面白い。
曰く付きの2ndの曲はアルバムで聴くと凄まじく冷たく荒涼とした印象を受ける曲が多いのであるが、アルバムから切り離してみれば実はいままでもあった曲と同じ傾向は持っているのである。
ただ自殺という事件性と、同じトーンの曲が集まることにより全体としての色合いに曲も影響されているのだと思う。
これだからアルバム単位で聴くのは面白いのですよ。
ライヴなんかで曲が化けるのもよくわかるし。
と、まあ非常に雑にしちゃったんだけど、最近本当に感覚がJDとマッチするのよ。
なにか陰鬱な気分に見舞われているのかもしれない。
で、JDでいうと今年公開されたドキュメンタリー形式の映画「Joy Division」がDVDで発売される。
観たかったのだよ、これ。
うれしいじゃないの。
「Control」は映画として単純に面白かったし、イアン・カーティスという個人に関して非常に人間的描かれていて、映像や情景の美しさも秀逸な、非常にいい作品だったんだけど、これはドキュメンタリーということでまた全く別物である。
まあ、間違いなく買うんだけど、楽しみですよ。
聴いた誰もが感動するような音楽ではないかもしれないが、あるものにはかくも深く響き渡る、そんな音楽である。