音楽放談 pt.2

SEO強化をしていこう。

深い海の蒼 ―Deep Blue

イメージ 1

好きなアーティストの数が増えれば、其の分毎年の楽しみも間断なく訪れていいことである。

ま、当然ちゃ当然だけどね。

日本人だと割と毎年出す人の方が結構いるのであんまりそう思わないんだけど、海の向こうの人たちは平気で2、3年は空く。

下手すると4年5年は当たり前、なんて人もいるから困ったものだ。

もっともそれだけ待った甲斐のあるアルバムを出してくれるので、まあいいんだけど。


さて、2008年も残り後わずかとなり、既に各誌でベストアルバムも発表されている。

そうなれば、もはや今年は終わったも同然である。

これで一段落、後はゆっくりこたつで団らん、なんてのが日本の風情。

そういえば今年はまだ炬燵を出していない。

それはいいとして、次は来年にむけて期待を寄せるばかりである。


既にいくつかのバンドが来年初頭にアルバムを出すことを決めており、すでに日程も出ているものもある。

私が期待しているのは、AA=(2.23頃)、Yeah Yeah Yeah's、Kasabian、これらは既に新作が確実にでる。

そして、おそらく出るであろうというのがCharlotte Hatherleyである。

新曲自体はもうライヴでも披露されているらしいが、10月頃からぱったりと情報が途絶えていた。

先日ようやくアップされた訳であるが、まあ来年春先には早ければ出るんじゃないかと勝手に思っている。

ソロになって3枚目となるアルバムが、はたしてどのような内容になるのか、非常委楽しみである。

既に1stについては以前書いているので今日は2ndについてである。


1stの頃はまだAshにいたとき、合間を縫って曲を書いていたため、彼女のポップ性を堪能できて面白かったが、一方アルバムとしてのまとまりにはどうしても欠けていた。

それに対して、2ndはまとまったテーマのもと、アルバムとして非常に統一感のある作品になり、曲お1stのようなパンク的な雰囲気ではなく、よりメロディアスで、内省的な印象のものが主流であった。

より女性的なアルバムであると言えるかもしれない。

彼女のパブリックイメージからするとかなりギャップを感じさせるものであったのではなかろうか。


1曲目はインストで、ややアンビエント的な空気も漂う”Coustaw”。

そこから真夜中の水の中へ静かに沈んでいくような”Be Thankful”。

歌詞の内容自体も、本人的にはそういう意図はなかったようだが、結果的にこれからの自分と過去の自分をつなぐような内容になっている。

穏やかで、静かで、しかし力強い印象のこの曲は、聴いているとすごく心地よく、大好きな曲である。

続く"I want you to know"はシングルにもなった曲で、1stのようなパンキッシュな印象のアッパーな曲である。

男を見返してやる、と言ったメッセージのこの曲は、昨今の女性アーティストの傾向と図らずもリンクしたような印象である。

ドコドコいうドラムが結構好きである。

ただ、この曲のPVはいまいちだと思う(ボクサーに扮したシャーロットが大男をのしていく、というもの)。

4曲目"Again"は、やや重たいフィーリングの曲で、過去の過ちを悔いる一方で、それを何度も繰り返してしまう愚かさに溜め息をつくような内容である。

かなり壮大な展開になってゆくので、ここでアルバムのムードが少しかわる。


続く"Wounded Sky"は打って変わって軽やかな曲展開で、やや救いを求めるような、あるいは不意に救いの手を観たような感じの内容である。

この曲も派手さはないけど、好きな曲である。

そして、6曲目"Behave”は、アルバム随一の名曲である。

かのデイヴィッド・ボウイも賞賛したこの楽曲は、ギターフレーズが非常に面白い。

ライヴで改めて感動したんだけど、不規則な捻くれたようなフレーズがいかにも彼女の音楽的嗜好を表しているようで。

「I'll be something that you do(あなたが手を出すような存在になる)」というフレーズが非常に印象的なのだが、フィーリング的には悲しいというか、哀れとすら思えるほどのやるせなさである。

思う相手の望む姿に自分はなる、どんな姿にもなって(Behave)みせるという、まあ健気っちゃ健気な心情であるが、おそらく報われないのだろうな、その気落ちは。

PVでは女性軍人に扮して、アニメと実写の中間のような映像になっているが、見透かされないように振る舞っていても、結局手のひらで踊らされているのだが、それには気づいていない、というようなストーリーになっている。

本人はすごくシリアスなんだけど、見透かされてしまっている時点で第3者的視点からすると馬鹿な女になってしまっているのが悲しいものである。

それにしても、なぜかこのアルバムのPVは戦い、あるいは戦う女性というのがモチーフになっている。

監督の意向だろうか、それとも本人の意向だろうか。

あんまりうまく行ってない気はするが、まあいいや。


続く"Love's Young Dream"は、タイトル通り「愛は幼い夢」という表現が非常に印象的である。

過去の自分との対話のようなスタイルで語られているのだと思うけど、昔の彼との思い出はいろいろあるけど、其のときの愛はどんなものだったのか、それが知りたいんだけど、少しも出てこないわね、というよ言うなやり取りが描かれており、決め台詞のように「愛は幼い夢」と続く。

幼い頃の夢というのは、観たことは覚えているし、其のとき自分が何を感じたかも何となく覚えているが、どんな内容だったかは思い出せないものばかりである。

そんな幼い夢と愛とを重ね合わせて、愛も確かにあったし、それによって色色楽しかったり、うれしかったり、悲しかったりしたはずだが、其の愛の実態のようなものを振り返るとどこにも見当たらなかったりする、ということであろうか。

で、シャーロットの美声?が存分に堪能できる"Roll Over(Let it go)"は、アルバム中最も穏やかで優しい印象の曲である。

一番彼女のパブリックイメージから遠い曲かもしれない。

つまり非常に女性的な印象を受ける曲であると言えよう。

いい曲だよ。

続く""Very Young"は、再びパンキッシュなのりで、ドラムやギターフレーズが結構コミカルでドタバタ感のある面白い曲である。

1stの"Bastard"という曲のような、ふざけんじゃないわよ、的なノリもやや感じる。

いかにも親切で素敵な男を相手に、序盤は「離れたところから観たら、私はちゃんと大人に見える?」なんてしおらしいんだけど、後半には「詐欺師、ハネムーンは終わりよ」と手のひらを返したようなセリフ。

短いながらストーリーテリングな内容になっていて、結構面白い歌である。


アルバムもいよいよ架橋な訳であるが、次は"Dawn Treader"という、あこがれのXTCのアンディ・パートリッジとの曲である。

しかし、曲はいわゆる捻くれギターポップではなく、すごく静かで、夜の海を帆も張らずに漂っていつような奇妙な静寂感がある。

ホーンなんかも入ってきて、アルバムの中ではかなり異色な印象である。

ちなみにDawn Treaderというのは、不思議の国のアリスに出てくる船の名前らしいね。

そして力強さを増す"It isn't Over"を挟んで、ラスト"Siberia"では再び得意のギターを鳴らして、アルバム全体を総括するような歌詞になっている。

曲調も非常に前向きで、ポップで、実にラストにふさわしく、また再スタートの決意のようにも感じられ、また良いあんばいである。


こうして改めて全体を俯瞰すると、ちょうど制作当時の彼女の心境が暗に現れているようで面白い。

歌詞のテーマも結構曲またいで展開しているようで、そういう視点で改めて読んでいくのもいいかもしれない。

アヴリルとかみたいな劇キャッチー満載でわかりやすさ満点な音楽ではなく、非常に捻くれて(XTC大好きだから)、個性的な音楽ではあるが、テーマ的には普遍性を持っていると思うし、内容自体も女の子お方がより深く理解できるんじゃないかと思うので、一度聴いてみてはいかがか。

単純にシャーロットはきれいで、それでいて男前なので、男にも女にも好かれる人であろうと思うし。

素敵な人ですよ。


ところで、自分はAshよりも彼女のソロの方が音楽的にも非常に好みなので、今やこちらの方が楽しみになっている。

まあ、Ash自体、実は入りは彼女であったりするから、別に本も末も転倒してないんだけどね。

いやぁ、それにしても、史上初、全曲レビューに挑戦してみたが、疲れた。

もうやんない。