音楽放談 pt.2

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真実は脳の中、選んだ現実は... ―Venometeoric

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最近日本のロックバンドでも複雑な曲展開をするものが多い。

例えば今一番勢いのある若手の一つである9mmとか、類型で凛として時雨、とかね。

メタル的な要素をかなり感じるが、1曲の中でも転調しまくりの曲はむしろプログレなのだろうか。

もっとも彼らに関してはプログレっていう感じはしないね。

音楽性にかぎっての話だけど。

とりあえずやりたい事を詰め込んだらこうなりました、というのが実際のようだ。

どっちもかっこいいとは思うけど、どこか夢中になれない。

まだ彼らは若すぎるのかもしれない。


さて、複雑な曲展開といえば、最新作でのBack Drop Bombもすごかった。

もはやカテゴライズ不可能な音楽性はさることながら、めくるめくヴォーカルもギターも、うねるベースも意外と軽快なドラムも、すべて刺激的で最高にかっこいい。

「Venometeoric」という造語でタイトルがつけられているわけであるが、もはや完全にどのシーンにも属さないオリジナリティを持っている。

彼らのアルバムは毎回"Intro"に始まり"Outro"に終わる。

このアルバムでももちろんそうであるが、それらは毎回アルバムごとのカラーを見事に表しているので、それだけ切り取っても彼らのモードがよくわかる思いである。

で、今作ではかなり祝祭的というか、大仰というか、お祭りだぜ、みたいなおめでたさすら感じる。

でも、決して馬鹿っぽい訳ではない。


で、いきなり爆音をかます"Great View"である。

前作から多用している日本詞の曲であるが、半分何を言っているかわからないほど速い曲である。

頭を叩き割らんばかりの骨太で硬質ギターリフがめちゃくちゃかっこいい。

更に僅か3分程度なのにコロコロとスリリングに転調していく。

個人的には一度ブレークを挟んだ後の、電子音とともにヴォーカルも高みに上っていくかのような感じが最高にしびれるね。


で、2曲目はギター1音入って即ヴォーカルの"Tokio on the Horse"。

「真実は脳の中、現実は何を選ぶ?」というフレーズが印象的な曲である。

この曲ではベースラインが特に冴えている。

ギターはむしろカッティング、ていうのかな、軽快にリズムを刻むような印象である。

そして、ある意味一番耳なじみするBDB的ミクスチャーな曲"Don't"。

前半と後半の展開の対比が非常に鮮やかである。

O, Oh!というかけ声も素敵である。

引き際はかなりあっさりしているので、あ、あら、見たいな感じで終わってしまう。

もう少し楽しみたかったのみ、見たいな。


で、次がかなり異色な"Nobody Gets It"。

小田島の裏声が微妙に気持ち悪い感じ何だが、完全にふざけてるとしか思えない。

でも、この曲のギターは一番複雑な印象もある。

一人で全部引いたらかなり変調に苦労しそうである。

ちなみにライヴではもちろんギター一本で再現してて、すげぇ~としびれた。

小田島のうまく裏返らない裏声にもしびれた。


そして次がアルバム中盤のハイライトともいうべき"The Light 'N' The Dark"。

この曲もギターのリフがかなり複雑だが、曲自体はかなりシンプルというか、それほどレイヤーを重ねてないような感じである。

ある意味一番ロック的なロックっぽい曲であるようにも思うし。

でも、この曲はマジでかっこいい。

ツインヴォーカルの真価を発揮しまくりの曲である。

互いに違うフレーズとリズムで歌うのに、コーラス部分ではばっちり合わせてくるあたりは、さすがである。

ライヴでの掛け合いはマジで引き込まれるよ。


ここからは比較的ヘヴィーな曲が続くのだが、唯一のインスト曲"The Knight”は、彼らの新境地的な曲である。

ライヴでは一部客がついていけてなかっただけあって、ややリスナーを試すような印象も受ける。

というのも、彼らはかつてバリバリのハードコア系で、暴れてなんぼというライヴであったらしい。

しかし、最近はむしろより音楽的であるし、モッシュ&ダイヴしまくりなばかりの音楽ではない。

そういった連中との距離を取るような、そんな印象というか、むしろ彼らなりのスタンスの表明ともいえるかもしれない。

ま、考え過ぎなんだけど。


で、歌詞も含めてかなりヘヴィな曲が続くが、そこで"Not Ever"はかなり違う空気をもたらすのに大きな力を発揮している。

音圧も少なく、すごく静かな曲である。

この曲の後に"Anything"は、サビというサビのある曲ではないが、特にツインヴォーカルを軸にどんどん上昇気流を描くような展開は、これまた今までにない曲である。


そしてラストの"Losin'"である。

この曲はイントロのギターリフで既に最強である。

シンプルで力強いドラムをバックに、序盤はシンプルに同じフレーズの反復であるが、サビ部分で一気に爆発する展開は、もう最高にかっこいいの。

ヴォーカルラインも文句なくかっこいいし。

間にややスペーシーな広がりのある展開を挟むんだけど、基本的にはミニマルというか、いわゆる同じフレーズの反復がとにかくかっこいい。

そしてラスト前のチャカチャカチャカというカッティングの部分から一気に爆発してスッと終わる展開も、しびれる。

この曲は、彼らの全キャリアの中でも一番かっこいいと思う。

曲は僅か2分ちょっとと短いんだけど、それ故に密度が半端じゃない。

音のじゃないよ。

感動のだよ。

で、"Outro"ではパーティは終わりだよ、見たいな、やや静かな幕引きである。

ちなみにライヴでも最初と最後はこれなんだけど、ショウとしてのまとまりを非常に見事に演出している(反面これが流れない限り終わりじゃないから、アンコールの意外性は皆無だけどね)。


彼らのアルバムは、別に時代とのシンクロとかもないため、孤高に鳴っているような印象がある。

様々な要素を楽曲中に感じることができる訳であるが、どれも無理なく顔をのぞかせるあたりい彼らのセンスを感じる思いである。

初期の方が素直というか、展開自体は割と多様ではあるけど、このアルバムではとにかくめちゃくちゃとすらいえる展開が多い。

旧来のファンの中にはもうついていけないという人も少なくないだろう。

あるいは、なんか向こう側に行っちゃったな、という印象の人もいるだろう。

実際初めて聞いたときは、とにかくめちゃくちゃで、好き勝手やりまくっている、という印象だったもの。

でも、聞いているうちにとにかくかっこ良くて、気づいたら完全にハマっていたね。

彼らは今ソロやコラボに走っているようで、もともとそういうフットワークの軽さが音楽にも素直には婦負されているようにも感じる。

次は何を持ってくるか。

早くも楽しみになる、そんなバンドである。