音楽放談 pt.2

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朝になると・・・ ―Bright Eyes

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先日の記事ではNYが熱い、と書いた。

実際おもしろい奴がゴロゴロいるわけであるが、それだけではない。

もう一つ忘れていけないのが、オマハという都市である。

もう何度も登場しているが、私が最近好んで聴いているバンドの多くもこの街出身である。

The Faintはじめ、CursiveThe Velvet Teenなど、なんて刺激的。

こういう地方性がアメリカバンドにはしばしばある訳である。

少なくともここ数年hアメリカ産のバンドの方が面白い率が高いというのが個人的な感想である。


で、まだそこまでがっつり聴いている訳ではないが、Bright Eyesもやはり外せないであろう。

外せない、とか言っておいてまともに聴いた事あるのはこの1枚だけであったりする。

「I'm wide awake, it's morning」というやつ。

このアルバムは、非常に心癒される一方で、聴いていると切なくもなる、そんな音楽である。

このフィーリングは、なんていうか、私には非常にグッドなヴァイヴなんですね。

疲れているときに聴くと、本当にいいあんばいである。


中でも"Lua"はやっぱり珠玉である。

「夜には何でもなかった事が、朝になるととても厄介」みたいな感じの語りである分けだが、こういう感覚はすごくわかるような気がする。

どんな素敵な夢も、目が覚めた途端遥か彼方へ飛びさって、すっかりその姿を消してしまう。

そのときの何とも悔しいというか、寂しい感覚と、夢は夢として割り切って現実に向き合う瞬間の虚しさ、みたいな。

なんていうのか、希望にあふれたはずの朝なのに、実は何より現実の失望感を味あわされる瞬間でもある。

そういう感じかな。

よくわかんなくてすいません。

でも、歌詞を一つ一つ読んでいくと、きっとわかるはずである。

わかる人には、このアルバムはすごく響くはずである。


他にも「世界が急に変わったんだ、今日が僕の生まれた日」と歌われる"First day of my life"は非常に綺麗なラヴソングである。

非常にあたたかな希望というかな、そういうものを感じるよ。

「あなたに会うまで死ななくてよかった」という台詞、いわれてみたいね。

続く"Another traveling song"は、すごく深い心の傷を負った人が、自らのトラウマに苦しむ様が描かれているようで、すごく痛々しい曲である。

夢や、思い描くという言葉がよく使われている訳であるが、そうした視点の向こう側にそうしたものが見えてくるようで、悲しくなってくる。

「過去のどんなときを探しても、未来にどんなときが訪れようとも、今日のように感じられる日は2度とない」というフレーズが非常に印象的である。


ラストを飾る"Road to joy"は、不条理きわまりない現状に対して、理由を求めるよりもその不条理にとにかく立ち向かわなくちゃ、という意思が込められているように思う。

メロディも非常にアップテンポで、次第に盛り上がりをみせる展開も相まって、良い曲だよ。

アルバム通してある種のやり切れなさのようなモノを強く感じるが、この曲で、それでも生きていかなくちゃ、という感じがあって、そういう構造も非常に秀逸であると思う。


彼の書く詩は、すごく切なくて、やり切れなさがあるが、けっして後ろ向きではない。

また、諦めのような感覚があるが、あきらめてはいないし、優しいけど甘い訳じゃない、という、非常に絶妙な空間を行き来している印象がある。

ちなみに”Lua”という曲は全米チャートで1位にもなった曲である。

成金ヒップホップや、ハリウッド的クソポップが全盛な世にあって、こんなに静かな曲が1位になるなんて、驚きとしか言いようがない。

それだけ深く突き刺さる何かがあり、しかもそれは万人に共通のものであったという何よりの証左であろう。

彼の優しい歌声も、非常に大きなウエイトを占めているとは思うけどね。

こういうのをさしてポップソングというんではないかね。

言葉がどうのといって洋楽を毛嫌いする人があるが、そんなこと本質的な問題じゃないよ。

聴いてわからなきゃ、対訳付きが親切にあるんだから、それを読みながら聴けば良いだけである。

まあ、そこまで強要する必要はないけど、良い音楽を下らない理由で聴かないのはもったいなさすぎるのである。


彼はかつてFaintのメンバーと同じバンドにいた。

しかし、持っている指向性は全然違うんだな、というのがこれを聴いているとよくわかる。

ていうか、これ聴いてると違うじゃん、としか思えないんだけど、これと同時に出されたアルバムではもっと印象が違うのかもしれないので、それも聴かなきゃね。


ともあれ、すごく社会的なコンテクストでも読めるし、一方で極パーソナルなコンテクストでも読む事ができる。

深みもあって、興味深くて、その上非常に響くものもある。

ただ闇雲に愛を叫ぶよりもよほど愛に満ちているし、純粋な願いというものもここにはある。

やっぱりアメリカインディは、素敵だね。